第6話 調査開始

 ヘイムダルと霹靂が到着したのは、東京郊外の河川敷。

 「あーあ。わやだな。」

 霹靂が声をあげたのは、河川敷の一部の草が灰色に変色しているせいだった。

 今回の任務はこの現象の原因―ネフィリムの可能性が高い―を調査する事である。

 ヘイムダルは黒いマスクの上から鼻をつまんでいる。

 「水辺ってだけで生臭いのにさ、何コレ。鼻曲がるんだけど。」

 ヘイムダルの顔色は青ざめ、今にも吐きそうである。

 「今度からガスマスクにしな。経費で落ちるべさ。もし落ちんかったら俺が買ってやる。仕事にならんしょ?」

 ヘイムダルは首を振った。

 「ばかなの? 悪目立ちして仕事になんないじゃん。」

 「だから、お前。あんまりばかばか言うなっつの。そのばかに育てられたばかは誰だって話よ。」

 ヘイムダルは霹靂を置いて、ズボンのポケットに手を入れたまま、猫背で歩く。

 肩にかけていた防音ヘッドフォンを耳にかけ直して、変色した草の方へ向かった。

 霹靂は慌てて後を追う。

 「踏むなよ!」

 ヘイムダルが鬼の形相で振りかえる。

 「はあ?! わかってるっつーの!! いちいちうるっせぇなあ! 早く来いよ、バカトキ!!」

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