アイスクリーム わたしの恋人よ

日の出

第1話 8月

8月27日 夏も終盤に近づき、蝉たちは最後の力を振り絞るように鳴いていた。

日差しが木々を貫き、夏の影を一層濃くする。

夕方には温いスコールが降り、自由に伸び回る朝顔が嬉しそうに

ベランダで雨粒を受けて揺れていた。


場所は東京、その頃私は世界一好きな人と一緒にいた。


東京とはいっても、その響きからは想像しがたい街に住んでいた。セピア色の商店が並び、日に焼けた看板と夜になってもつかないネオンを横目にピンク街を抜けていく。その通りをしばらく行くと、去年塗り直されたばかりの壁の白さだけが眩しい、どちらかといえば古い四階建のアパートが見える。角部屋の304号室、そこが私たちの巣だった。近所にはコンビニが一軒、開いている日の方が珍しいタバコ屋と表のシャッターが壊れかけている花屋が並ぶ。


25歳だった


恋愛は終わろうとしていた


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