第2話 保健室のロマン。

桜の舞う暖かな季節。


目の前には、授業中ずっと見ていた彼女。


二人、桜の木の下。


彼女は少し頰を赤らめ、その細い唇を開き、


「私、あなたのことが....」


『起きろおおおおおおおおおおお!!!!』


---


「っっ!?」


「はぁ...やっと起きたか」


気がつくとそこは、硬く白いベッドの上。なんだかとてもいい夢を見ていた気がするんだが?....俺、何をどうしたんだっけ?


「....ここは?」


少しズキズキと痛む身体を無理に起こし、辺りを見回す。八畳ほどの小さな部屋に、俺の寝ているベッドと、小さな椅子と机がある。さながらここは、学校の保健室の様だった。


「ここはってお前...バイト志望のヤツだろ?」


「.....?」


何処かから声が聞こえるが、その声の主の姿が見当たらない。まさか、ここはまだ夢の中?


「ココだココッ!!貴様ァ!ワザとやっているのかッッ!」


「....あ」


よくよく見れば、ベッドの淵に細い指が十本、プルプル震えながら引っかかっている。もう少し身体を起こして下を覗くと、少女が一人、思いっきり背伸びをしてこちらを見上げている。


「.....幼稚園生?」


「ちっがああああう!!私は幼稚園生などではないっっ!!」


....よくよく見ればこのベッド、何故かかなり高くなっている。寝返りしてうっかり落ちたら骨折っちゃうかもー、ぐらいの高さはあるな。ということは、俺のこの少女への憶測は間違っていたという事だ。


「すまん、小学生だったか」


「ちがうっ!!私はココの工場長だっ!!」


「え」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪人を造るだけの簡単なお仕事です。 Ponkotsu @ponkotsu0612

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ