第13話

こちらもまた神職の会に参加していた頃のお話です。

今度は自分の体験です。その当時、定期的に会員

で県内の神道ゆかりの場所や神社等を巡るイベント

があり、大抵自分も参加をしていました。

とある郊外の小さな古社を訪れた時のお話です。


社殿の横や、裏側に樹木がうっそうと生い茂る中、

一本の堂々たる古木がありました。

さほど大きな木ではなく、丸みも高さも普通でした

が、周りに一種独特の雰囲気があり、いわくありげ

で会員の皆がその木を取り囲んで色々と説明したり

していました。すると…いきなり幹に真っ黒い蛇が

出現し、それに最初に気付いた私が「あっ、蛇!」

と言って、指差したところ仲間の神主さんの一人に

「指差しちゃだめだよ!」と注意されました。

そしてすぐに、手と手の間を人差し指で手刀を切る

まじないをしてもらいました。

確かに、日月等の天体や神仏等を指差すのはタブー

とされています。そうこうする内、急にその黒蛇が

姿を消しました。見ている間にでした。木の表面や

地面等あらゆる所を探しましたが、嘘のように消え

てしまったのです。

誰かが、そういえばここはこの神社の古墳があった

場所じゃなかったっけ?と言い、本殿の方に行って

神主の奥さんに伺ったところ、そういう伝えがある

とのお話でした。

自分が昔の殿さまか何かの偉い人だったら、ここに

記念碑でも建ったんじゃないの?というお話でした。

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