第12話
これも、神道史研究会でのお話です。
ある神社に迷惑な連中がやって来ました。終戦直後のオキュパイドジャパン
所謂、占領下の頃の実話です。
普段でも、神主すら開くことの出来ない神社の御神体が奉安されている開か
ずの扉を、事もあろうに土足で本殿に上がり込んだ進駐軍の兵士らが開けよ
うとしたんだそうです。神社の側ではおろおろとして何とかやめてもらおう
とはするものの、傍若無人な戦勝国の若者達に聞く耳は有りません。ずんずん
回廊を突き進み、神聖な御霊代の扉に近付いて行きます。恐らくは酒でも飲ん
でたんでしょうか、へらへらと笑い笑い小馬鹿にしたように…。
神社の人々が絶望した刹那、突如として悲鳴が上がりました。兵士たちが腰を
抜かし、這う這うの体で退散して行きます。
何と、彼らの行く先を遮るかの如く、回廊の床板に、見たことも無いような
大蛇が横たわっていたのです。上から落下して来たものか、あるいはどこか
らか這い出したのか、突然の蛇の出現にその場の全員があっけに取られたと
いうことです。
神社は蛇神にも関わっていたらしいのですが、はっきりしたことは不明です。
それでも、危機一髪でお宮の御神体を侵入者らから守って頂いたことは、神社
の一同には、今更ながら御神威のあらたかさに感じ入ったというお話でした。
このような事があったので、社殿にはよく今でもkeep outという札があるのです。
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