第7話

母方の祖父は、歯科医師をしていました。自分の志望ではなく、親戚一同に半ば

強制されたコースで、しかも最初は耳鼻科になるようにと親戚の耳鼻科に修行に

出されたのですが、やがてその親戚が「家じゃもう面倒を見れないから、お前親戚

の歯医者の方へ行け」等とたらい回しにされたそうです。勿論、国家試験があって

受験しなければならないんですが、当時は無茶苦茶難しくて、一人も合格者がいな

い年なんかもあったそうで、下宿してもう一人の仲間と押し入れに寝泊まりして勉強し

たんだそうです。受験会場では中年の小父さんみたいな人もいて受かるのかなあ

と気が重かったと言います。しかし、当時は無資格でも見よう見まねで雇われたりし

てるケースもあったそうですが。

その後、祖父は合格して歯科医を開業する事になったのですが、これを聞きつけた

本人の母方の祖父(こちらは、皮膚科や漢方医でした)が、家にやって来て、何かの

土産の様な物をくれたんだそうです。

「お前、歯医者をするんだそうだな。なら、山でいい物を拾ったから遣ろう」と言って

彼、私には高祖父になる人物が置いて行ったという物は、な、何としゃれこうべだった

といいます。祖父は噂話でもするように、どっかその辺にまだありゃあせんか?と言い

ましたので、慌てて納屋等まで屋探しをしたのですがさすがにもう、ありませんでした。


上記の高祖父は、普段の診療には馬に乗って、刀を忍者の様に背に斜めに担いで

闊歩していたそうですが、本当はちゃんと帯刀してないといけなくてばれるとやばか

ったらしいです。今の人とは感覚が違っていて、自分にとってはこちらも十分に怖い

話なんで、載せました。ちなみに、彼は祖父の連れ合い、つまり私の母方の祖母が

伯父を産んだ後、ほぼ臨死状態となっているのを発見して救命してくれたので、私に

とっては命の恩人ではあります。亡母は、伯父の妹なもんで。

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