第27話 くまさんの村はもう住めません!
キラーアントは、なんとか倒せましたが、回りは凄いことになってます。
カラフルきのこの家たちは、無事なものが1つもありません。半壊ならましな方で、ぺちゃんこに潰れているものもあります。そして、中には完全にかじられた後が付いた物もあります。
キラーアントって、きのこを食べるんですね。そして、このカラフルきのこって食べられたんですね。驚きです。食用きのこの家って凄すぎです。流石異世界です。
これは、マリアさんの娘さんの救出どころではないです。今日、これから住む家がないのです。助け出してとしても、寝る場所もありません。
村の回りにあった結界も、何故か知りませんが壊れてしまっているようです。
「くまぁ くまま(カムイさま、お願いがございます)」
戦っていた大きなくまさんが、膝間ついて上申しています。なんだか、嫌な予感がします。
「くまくま くまぁく くくま(見ての通り、村はこの有り様です。)」
「ああ、みなまで言わなくても分かっておる。予定を早めて、我の棲みかにまいるがよい」
ちょっ! 何いっているの?
私の引きこもり生活は??
「お前の言いたいことはわかるぞ。でも、彼らは人ではなく、くまだ!」
へっ? そんなの今更言われなくて見れば分かることでしょう。
「お前の、人と関わりたくないという要望には当てはまらないってことだ!」
偉そうにふんぞり返って、力説されても、何それでしょう。
でも、確かに『有言実行』には、引っ掛かりません。悔しいけど・・・・・・・・・。
「くくま きままぁ くまっあ(我々を助けてくれたそなたが、不快に思うようなことはしたくありません)」
うっ! ずるい、それに続く言葉は想像できます。
諦めるとかそんなことでしょ!
それって、せっかく助けたのに、あっという間にヒーローが悪役転身でしょう。
マァークくんっていう赤ちゃんもいるのに、何もないところに野宿なんてさせられないし、これから別の場所を探す時間も余裕もない。
「くんまぁ くまくま くくま(我々は、別の方法を考えます)」
ほいっ 来ました。
「いいです。大丈夫です」
男っとこ前のくまさんの手を掴んで、立ってもらいます。
「これから、直ぐに準備をして、カムイの洞窟まで移動しましょう」
はぁぁ 異世界2日目にして予定外です。マリアさんの娘の救助をホンの少し手伝うだけのつもりだったのに・・・・・・・
でも、くまさんと出会わなかったら、この村に来なかったら、ご飯に出会えたかわりません。
だから、今回のことは、ご飯で帳消しということにしましょう。
カムイの洞窟は、くまさんたちが増えた分、きっと部屋も何もかも足りないものばかりです。でも、今日はもう何もしたくない気分です。取り敢えずは、何とかなると思いましょう。
「ねえカムイ、私疲れたから、先に戻ってちょっと寝させもらっていいかな?」
「何と軟弱な。でも人というのはそういうものかな? 仕方ない、よいぞ」
カムイの許可もとれたので、重たい足をとぼとぼと来た道を戻り、『巣籠もり風テント』にさくらこさんと入ってごろんとすると、さくらこさんを無心で撫でまくり、もふりまくり眠ります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます