第26話 キラーアントのせん滅戦

カムイにキラーアントに効くフググの毒の玉を貰いました。でもこれって今更ですが手に持っても大丈夫なんでしょうか?


 空間結界箱に入れたまま、万能鑑定で確認します。


     [フググの毒玉]


 フググという魚の血の猛毒で、ギフトを持った者によって作成された、小さな丸い球。フググの毒で死なない様に一応コーティングされているので、触っても大丈夫だが、酸によってコーティングが解ける様になっているため、酸の傍などには置かない様に気をつけないといけない。



 うん。大丈夫なようで安心しました。後は、カムイから貰った数は10個なんだけど、キラーアントって、10匹より少ないのだろうか? 失敗してダメになったりして足りなくなったらどうしよう?


 取り合えず、何でも魔法である全魔法さんでこれがコピーで増やせるかチャレンジしてみよう。


 まず1つ空間結界箱から取り出して、「コピー」。普通に2つになった。


 万能鑑定で確かめると、ちゃんとフググの毒玉と出る。どうやら成功だ。今回の件だけでなく、今度からこれで、いろいろ増やしたい放題だね。


 やりーーー!!


 後は、実験に少し時間がかかったけど、キラーアントを倒すのみ。


 そうと決まれば、行動! 行くよ~~~。


「マリアさん! ちょっとキラーアントを退治してくるね。だから、安心して」


そう言うと、くまさんの村に向かって駆け出します。


「みゅみゅみゅ~(がんばってね)」


さくらこさんが、私の洋服の中、それも胸の谷間から顔をちょこんと出して見つめて応援してくれます。


 えっ? 走るのを一時止めて覗くと「みゅっ?(どうしたの)」


 ありゃ、またさくらこさんのことを忘れてた。


 まっ不味い、これを知られるわけにはいかない( 一 一)。


 バレたら、今度こそ捨てられるかもしれません。


 「えっと、危ないので・・・、きっと・・・・・そっ・そうそう危ないので、顔を出さないでね」


 「みゅっ みゅうっ(わかった ありがとう)」


 ふう何とか誤魔化せました。


 しかし、出来るだけさくらこさんが危なくないように、気を付けて戦うようにしないといけないので、ちょっとハードルが高くなってしまいました。が、もうこのまま突っ走るしかありません。


 そしてなんやかやと駆けていくと、キラーアントとくまさんたちが戦っているところが見えてきました。


 キラーアント4体に対してくまさんは2体。


 しかも、くまさんたちは武器らしいものをもっていないので、圧倒的に不利です。


 あれ? でもなんだかこのくまさんたち、マリアさんと比べて大きいです。だからまだ何とかなっているのでしょうか?


 しかし、このままでは、じり貧でしょう。


 丁度よく、キラーアントが立ち上がり大きく口を開けました。


 水上 小夜(みなかみ さや)選手、第一球目、大きく振りかぶって投げました!


 ひょろひょろ ころん  ころころ


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 そうでした。私は、どうしようもない運動音痴です。


 あんな小さな口の中にストライクなんて、万が一でも有り得なかった・・・ORZ


 とほほほ


 でもこのままでは、私の『有言実行』さんが、泣いてしまいます。


 ここは、魔法です。チート補正です。


 がばっ!! やってやるわよ~。成せばなる。


 「くまま!! くまくまくまぁー! (ここは、あぶない!! にげろ!)」


 くまさんが必死に叫ぶけど、任せて下さい! 


 チート補正つき第一球!! 投げました!


 かぽっ   見事なストライクです! あっという間にキラーアント1体、討伐完了。


 このまま、2体目いきますよ!


 「キラーアントの口を開くように誘導お願いします!」


 くまさんたちと協力して、見事4体全てのキラーアントをやっつけました。


 私も、なかなかやるもんでしょ。


 えっへん  と、胸を反らせた時、無情にも気が付いてしまいました。


 別に私が毒団子を食べさせなくても、くまさんたちに渡して任せてもよかったんじゃないでしょうか・・・。


 まあもう終わったことですが。


 落ち込んでいる間に、逃げていたくまさんたちが戻ってきました。でも、なんだか少ないですね。戦っていたくまさんも2体でしたし・・・・・・・・。


 何か理由があるのでしょう?


 知りたいですが、面倒なことに巻き込まれそうなので、聞かないことにしましょう。

 

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