第3話 ユメデハナイユメ

状況確認も出来た所で、ウィンドウのイベントリ欄をのぞいてみたんだが、残り滞在予測時間は17時間と出ている。

隣にはこの世界の時計も表示されている、現在の時刻は7時となっているので先ほどから1時間が経過したとして睡眠時間が6時間で計算されてるとしたら、おおよそ現実世界時間の3倍は居ることになるってことか。


とりあえず後17時間はこちらに居ないといけないから町とかへ向かおうか、ってか町とかってあるのかな???



【思考検索:町 が選択されました】

【付近の町、及び類する施設、宿泊可能箇所等を検索しますか?】


と言うメッセージが頭の中に鳴り響いた、僕がどこから聞こえたのか不思議に思っていると



【ウィンドウの付属機能となります、逢真おうま歩夢あゆむ様】

【同様のメッセージがディスプレイにも表示されておりますので聞き逃した際はお伝えいただくかご覧になることをお薦め致します】



そう言われて僕がウィンドウのディスプレイを確認すると、確かに新たにメッセージが表示されている。



【付近の町、及び類する施設、宿泊可能箇所等を検索しますか?】



ここに居ても何も始まらないのでウィンドウにお願いして検索してもらうと、G○○gleマップを拡大する様にこの世界の世界地図が表示されて、付近が丁度いい位の縮尺へとアップされた。


どうやら付近には何箇所か村があり一番近いのはそれなりに大きな町の様なので、そちらへと向かう事とした。


1時間ほどマップを頼りにイベントリやらスキルやら出来ることを確認しながら歩いてみたが、疲れる気配がなくこのまま日が暮れるまで歩いていても大丈夫そうだ。

恐らく、これがスキルの効果なんだろうな、チートはやっぱり良いなぁと思っていると、遠くに大きな壁やチラホラと歩く人たちが見えてきた。

どうやらあの町が、目的地のアップイースタンの町の様だ。



「良し、次!」



入町の為の列に並び、順番になった僕を呼んだのは門番?のおじさんだった。

取調室の様な部屋に入る僕に座るように促す門番?のおじさんは50歳位だろうか?人当たりの良い笑顔を浮かべてはいるが、雰囲気に隙が無い、とでも言うのだろうかこのまま逃げたとして逃げ切れる雰囲気ではない。



「特に荷物を持っているようにも見えないが、この町には何をしに来たんだい?」


「実はですね……」



神様が何かしてこの世界に来てしまったこと、当分の間はこちらの世界に居なければいけないらしいことを正直に伝える、と、聞いた内容におじさんは顔をしかめた。



「にわかに信じがたい、が無いこともないわけではない。 昔いらした担い手様も確か神様が異世界から召喚されたと聞く。 すまないが私では判断がつかないから少しの間この町に逗留して貰えないだろうか? 勿論入町税やその間の宿泊費はこちらで持とう」



特にお金とかを持っていなかったからラッキー!と言う事で



「お金もなかったからありがたいです! お願いします!!」


二つ返事で答えておいた。



宿への道すがらおじさんの部下の人から注意事項とかを聞いたが、特に町から出ずに指定された黄金の蜂蜜亭ってところに泊まっていれば、町の中を散策したりするのは自由ってことだった。


黄金の蜂蜜亭を案内してもらい連泊の手続きをしたら後は自由時間、疲れなんかもないので勿論町へと行って色々と見て回りたいよね!ってことでしゅっぱーつ!!


町は活気に溢れていて至る所で見たことのない物がいっぱい売り買いされている、一つ一つなんだろうと冷やかしているだけでも楽しいは楽しい、が、お金が無いため美味しそうな食べ物があっても買う事が出来ず軽く一回りして中央広場に戻ってはきたがしょぼん、と言う雰囲気を隠そうともせず座り込んでいた。



「おい、どうしたんだ?」

「お金でも落としたんですか?」



そんな僕に掛けられた二人分の声、それが僕とマリスさん、ノールさんとの出会いだった。



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