エピローグ

 まだ笑っている膝で僕達は帰路に着く。何だかんだで他の皆よりも遅くなってしまった。

「でも子猫達、大丈夫かな」

「そっとしておけば、そのうち親猫が戻ってくるわよ」

 それにしても、なんて力だ。火事場の馬鹿力みたいなものなんだろうか。そう言えば、空湖のお母さんが布団を軽々と持ち上げていたな。

 翌日、二階堂さんはケガはひどいものの命に別状はないと先生に教えられる。

 彼女の体重も軽く、田舎校舎だから土が柔らかかった事が幸いしたんだろう、という事だ。

 でも骨折はしているからしばらくは学校に来られない。

 早いとこ子猫が無事だった事を伝えて安心させてあげたいからお見舞いに行こう。

 子猫に会いたくなれば、それだけケガが早く治るかもしれない。

 その間、僕達で様子を見てあげればいい。写真を撮ってあげれば喜ぶかな。

 そんな事を考えていると、前を歩く空湖が振り向いた。

「ねぇ、お見舞い行くと入院している人のご飯もらえるって本当?」

 なにそれ?

 病気してる人は食欲ないからご飯あまり食べないとかいう発想?

「いや……、骨折だから、そんな事ないと思うけど。それに怪我してるんだからちゃんと食べないと」

 そっかー、と笑う空湖に、僕はお見舞いの品は多めに持っていこうと決めた。

 きっと二階堂さんなら「みんなも食べていいよ」とか言って空湖がほとんど食べそうだ。


 何度もお見舞いに行く事になるのなら、カルシウムの多い物にして、早く治ってくれるよう祈ろう。

 僕は今月のお小遣いの残りを確認した。

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