宇宙子の涙

 その日の放課後、帰ろうと校庭に出ると空湖が旧校舎の前に立っている。どうしたんだろうと近づくと彼女は泣いていた。

 気丈に振舞っていただけで、本当は深く傷ついていたのだろうか。こんな女の子があんな風に人を殺せるはずがないのに、変わり者というだけで人殺し扱いされているんだ。平気なはずないじゃないか。

 僕は自分の思慮の無さを恥じた。

 そばへ行き、何と声をかけていいものかと思案していると、空湖は涙を流した顔を向けて、

「私のせいで……私のせいで、あの子達は死んでしまったの」

 何? もしかして、本当に? 空湖は、あの数分の間に何かをしていたのだろうか。

「一体、どういう事? 僕が駆けつけるまでの間に何があったの?」

 そうだとしても何か理由があるはずだ。

 でなければ、ここで泣いていたりしない。

「だって、皆がそう言うから……」

「い、いや。それは……」

 ただのウワサで。

「私はあの子達と仲が良かったから、誰かの嫉妬を買ったのかも……」

 と言ってよよよと泣き崩れる。

 仲が良かった!? あいつらと? 僕はそれほどクラスの人間関係を知っているわけじゃないけど、それはないんじゃないかな。

「だって私高嶺の花だから、みんな遠慮して距離を置いてるじゃない? それをあの子達は……」

 空湖の星の価値観は置いといて、それよりも数人の児童が現場で泣き崩れる空湖を見て何やら言っている。これは余計に誤解を広めるんではないだろうか、と泣いている彼女を押しやるように校門から外へ出す。

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