宇宙子の鼓動
案の定というか、翌日は大変な事になっていた。
事件と決まったわけではないので学校は平常通りだったが、現場を目撃した児童もいたため話はあっという間に広まり、皆空湖の事を人殺しだとウワサした。
講堂で集会が開かれ、事のあらましと三人は旅行先での食中毒が原因だと説明され、好からぬウワサを流さないように注意されたが児童には通用しなかった。
児童が流すウワサは殺人者と同じ空間にいる事による恐怖から来るものではない。事を面白おかしく、空湖を誹謗中傷するために流しているものだ。
だけど保護者達はそれでは収まらなかった。学校には空湖を追い出すよう苦情が殺到し、教員は事態の収拾に追われているのが僕の目からも明らかだった。
三人の遺体が見つかった翌々日、食中毒によるものだからと臨時で全校生徒の健康診断が開かれる。
口の中を見て、目に光を当てて、心音を聞くだけの簡単なものだ。
保健室をカーテンのような衝立で仕切り、男女別れて診断を行う。僕の番になったので体操服を捲り上げると医師が聴診器を当てる。
ふと心音という言葉に引っかかって隣の衝立の向こうに目をやる。そっちでは女子の心音を調べているはずだ。
医師の姿は見えるが受診している子の姿は陰になって見えない。その医師は不審そうに何度も聴診器を叩いて調子を確かめていた。
「……まさかね」
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