野良仕事は効く

 困った時は筋肉に聞く。

 これ、王道!


 俺の筋肉は「まだまだ行ける」と言っている。ダッシュであぜ道をどんどん進む。

 

 しかし、奴らのアジトがある山って、目の前の3つのうち、どれだ?


 道に困った時は、現地の人に聞く。

 これも、王道!


 見渡すと、麦わら帽子をかぶったじいさんが居た。田んぼで、のら仕事をしてる。


「おーい! そこのじいさんー!」

「んぉ? なんじゃ? このあたりじゃ見かけん、ガキンチョじゃの」


 じいさんはのら仕事を中断して、よっこらよっこらと田んぼから出てきてくれた。


「あのさ。マキアートっていう、悪い奴らのアジトを探してんだけど、知らない?」

「マキアートじゃと?」


 じいさんの目が細くなった。


「マキアートに何の用じゃ? おぬしみたいな子供に関係するとも思えんがのう……」


「あいつら、こっから南の街に、火を放ちやがったらしいんだ。直接行ってぶっ倒す!」

「ぶっ倒すっておぬし……子供じゃないか。悪いことは言わんから、やめておけ。そういうのは、大人の仕事じゃよ」

「そんな事言ってると、どんどん被害が広がるかもしれないだろ! 悪い奴は、即刻ぶっ潰す!」


「だから、子供には無理じゃよ」

「オイラこれでも、山でずっと鍛えてんだ! ほら! 俺の筋肉も、行けるって言ってる!」


 オイラは右腕のちからこぶを見せた。


「ほう……。なかなかの力自慢のようじゃのう。だが、まだまだじゃな」

「なんだとー!」


「試してみるか?」

 じいさんも、腕を曲げた。すっげえ力こぶ!


「野良仕事で鍛えとるからの。儂のようなじじいにすら勝てぬようでは、奴らのアジトに行っても、こてんぱんにのされるだけじゃろうからな」


 じいさんは軽く笑って、麦わら帽子の向きを、くいっと直した。

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