こいつら……

 上空から見た西の街。

 そこは、火の海になっていた。


 飛行機は高度を下げる。 

 黒焦げになった、かつては人だったもの。


「なんてこと……」

 スカーチョは絶句しつつも、飛行機の目的地を変更操作。炎の中に着陸するわけにはいかないと、街外れの川沿いにオイラ達は降り立った。


 水辺なら、逃げ延びている人が居るかと思って。


「きゃああああ」

 さっそく、悲鳴が聞こえた。オイラは駆け出す。


「ちょっと中くん!」

 スカーチョもじきに追いついてくるだろう。


「やめて……やめてください!」


「この街はもう終わりなんだよ、ねえちゃん」

「せめて、俺らは楽しもうや」

「へへへへへへへへ」


 はだけたノースリーブに乱れた長髪の女性が、押し倒されている。

 女性の両腕を左右から押さえ込む、2人の男と。

 女性の上に馬乗りになって、鼻息を荒くしている男が1人。


 一気に距離をつめる。


 問答無用で蹴り飛ばす。

「ぐえええ!」


 問答無用で蹴り飛ばす。

「あぎゃっ!」


 問答無用で蹴り飛ばす。

「あ、なんだおがおぉっ!」


 こんな奴ら、人として扱おうとも思えない。


「はぁはぁ……大丈夫?」

 肌もあらわになっている女性のエスコートは、遅れてやってきたスカーチョに任せて、オイラは、暴漢どもを締め上げた。


 ……こんなことの為に、筋トレしたわけじゃないんだが。


 あっさりと昏倒し、ピクピクと痙攣する、暴漢3人組。


 スカーチョが、襲われた女性に上着かけ、きゅっと抱くようにして歩いてきた。そして言った。

「とりあえず、避難所を探しましょ。生き残った人は、避難所に居るはずだから」

 

 激しいサイレンの音。放水車が、オイラたちとは逆方向に向かって通過していく。


 川沿いの広場に、うつむきながら座っている集団を発見した。避難場所になっているようだ。先刻助けた女の子さんとかも、ここに逃げ延びていた。


「大丈夫か、あんたたち」

 オイラは駆け寄る。


「あ、ああ……ワシら、なんとかここまで逃げてきただよ……」

 泥に汚れたスーツ姿のおじいさんが言った。


「いったい、この街になにがあったの?」

 スカーチョが聞くと、おじいさんは教えてくれた。


「マキアートの連中が、侵攻してきただよ……」

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