弟殺し2
」
Iさんのメールはまだ続いたがここで私はいったん読むのをやめた。もちろんざっとは目を通していたのでこの後どんな展開になるのかについては私は把握していた。じっくり読みながらなおかつここに転記する時間がなかった。16時15分前には両親が私を迎えにくることになっていた。墓参りをするのだった。なぜならお盆であるからであった。私は本家に持って行くビールだけを用意しあとは何もせずにいた。父と母は15時半にはやったきて最初チャイムを鳴らしたが誰も出ず3度ほど鳴らしたら隣の一人暮らしの年老いた女が玄関をのぞき込んできて何故覗くのかというと私の家の玄関は南向きだが道路は東側が面していて女の家は私の家の北側にあった。つまり性格には女の家は隣ではなく裏だった。
「裏のおばさんが--」
父は私が車に乗るなりそう言い私は感心した。何故なら私はいつもつい「隣のおばさん」と言うがそれは間違っているからだ。本当は間違っているとは思ってなくていつも「裏ンち」と言う義父のほうが間違っていると思っていた。家には義母がいたが義母は耳が遠いので私の父と母が来たことに気づかなかった。私は耳は遠くなかったが2階にいたのでチャイムが聞こえなかった。携帯が鳴って小便をしてから出た。車に乗って少し行ったら部屋の窓を閉めたか気になって戻ってもらった。曇っていたからだった。窓は閉まっていたが洗濯物が出たままだった。私は今日は一日何もしなかった。私は調子が良ければ洗濯機を回したり掃除機をかけたりもするが今日は外の洗濯物を取り込むことすらしなかった。とりあえず中には入れた。よく燃える線香だった。
線香とはつまりお墓に供えるものであった。父が仏壇の前でチャッカマンをどれにすればいいのか悩んでいた。短いのと長いのとホルダーがついたのがあった。ホルダーのやつは黒いホルダーで中に100円ライターが埋め込まれていたがオイルが切れていた。父が「こういうのはどこに売ってる」というから私はホームセンターじゃないかと答えた。実際に売っているかは知らなかった。私はホームセンターに行くといつも広くて不安になってしまうのである。売っているものと売っていないものがあってイライラすることもあった。父の弟が100円ショップに売ってると言った。弟にはさらに弟がいてこの人は真ん中で独身だった。独身で数年前に祖母が死んで本家に一人暮らしで墓参りに行く姿を私は一度も見たことがなかった。子供の頃靴べらでチャンバラをした仲だった。私はチャッカマンはぜんぶ持って行けばいいと提案したが父は無視した。父はだいぶ耳が遠くなった。しかしそれは義母のものとは違い父のほうがずっとマシだし父は補聴器も用いた。義母は補聴器も使わないしだいいち補聴器をつけても聴力は変わらない。中学のころから悪くなったと義父に聞いた。中学にあがった頃に成績ががくんと下がり周囲が不思議に思って色々調べたら教師の言うことが聞こえてなかったのである。義母の難聴は心因性のものらしいが本人は何も言わない。それでも私の妻が子供の頃はもっと聞こえた。
墓参りをしたら線香がよく燃えた。ひさしぶりに従兄弟が来た。従兄弟は2人兄弟で兄のほうは工場に勤めていて9連休あった。用があると言って来なかった。従兄弟とは10年近く会っていなかった。イサムくん(従兄弟)は一度不動産屋に就職したら早速鹿児島支店に配属されてしかも営業車は持ち込みだったのでイサムくんはフェリーで現地に入った。数ヶ月で今度は福島支店に転勤となって今度は陸路で最後は三重だった。叔父が正月に遊びに行きがてら伊勢神宮に初詣する計画を立てたが年が明ける前には実家に戻っていた。兄のほうはテント屋に勤めたが一週間でやめた。イサムくんは弟のほうである。
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