アナタはワタシのもの♥ (狂愛、残酷描写あり)



 初めてのヤンデレ系になります。

残酷描写もあります。ソフトではありますが、苦手な方はバック推奨です。

パッと思いついたものをガッと書いたものになります。


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「別れよう」

「ん? 何で?」


 私の部屋へ来るなり、彼はそんなことを言った。

 締めてあるカーテンの隙間から漏れる午後の光が、薄暗いこの部屋に差し込む。


「何でって……」


 口ごもる彼を見て、私はニッコリ笑う。


「外、寒かったでしょ? いつもみたいに紅茶淹れるから、その辺座ってよ」

「いや、今日はそういうつもりで来てないし。それに座れる状態じゃないだろ」


 目線を下へ向けてそう言われた。


 うーーん、確かに少し散らかってるかも。

 部屋の中心にある四本足のローテーブルには、大学の参考書。それだけではなくて、レポート用紙や文房具も、整えられず置いてある。

その周りには空き缶や、カップ麺の空とか。


「でも歩く所や、座るところくらい、見つけられるよ?」

「あのな、俺、お前に別れ話しに来たんだけど」

「うん。なんで別れる必要があるの?」

「え?」


 平然と言って見せると、彼は表情を強張らせた。

 そりゃそうだよね。本心で言ってないってこと、私分かってるもん。それを見破られたら、誰だってそういう顔、するよね。


「私達、毎日会ってるし、連絡もしてるし? 休みの日だってよく旅行に行くよね」

「……顔を合わせるのは、大学で同じ講義とってるからだし、連絡はお前から一方的。二人で出掛けたのって、もう三ヶ月も前じゃん。いい加減、俺が冷めてるのに気付かないわけ?」


 表情を変えずに彼は言う。私はそれを聞いて、数回瞬きをした。


「気付いてないのはアナタでしょ? ワタシはこんなに好きなのに」

「……お前、重いんだよ」

「ううん、そんなことないよ。アナタだって同じ気持ちでしょ?」

「そこが重いんだって!」

「嘘つき。……ワタシが気付かせてあげる」

「えっ、おまっ――――」


 ローテーブルにあった文房具を手に取り、彼の心へ思い切り突き刺した。


「っ――――――」


 彼の左胸から、じわっと真っ赤な愛が溢れだす。どんどん流れていく。


「ほら、こんなに鮮やかな赤だよ。これでワタシへの愛が証明されたね。アナタにも愛が視えたでしょ?」


 ワタシは特別に満面の笑みを見せてあげる。彼はその場に座り込んだ。


「おまっ――ゴホッ」

「わぁ、言葉にならなかった愛が口からも! 嬉しい、こんなに想っててくれたなんて!」


 彼は反論しない。その代わり、しっかりと開かれた瞳がワタシを映していた。


「あ、そうだ。ワタシもアナタへの愛、見せないといけないね」


 彼のハートを射抜いたカッターをそっと引き抜く。

 それをそのまま、自分の心へ刺した。

 ワタシからも鮮やかな想いが零れだす。


「ほらね? ワタシたちは同じ想いだよ? わかったかな」


 彼は反論しない。認めてくれたんだね。


「アナタはワタシのもの」


 抱き締めると、彼はワタシに寄りかかってきた。


「もう……甘えんぼさん」


 だんだんと眠気がやってきた。


「——久しぶりに一緒に寝よっか」


 彼は反論しない。未だ、ワタシを見つめたままの瞳。


「さ、寝るよ?」


 その瞳を手で閉じて、自分自身の瞼もそっと下した。


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