幕間02
小さい頃、勇者に、英雄になりたいと憧れた。
寝物語に聞かされた英雄譚に出てくるような、英雄や勇者に心を奪われ、自分もそうなりたいと思ったのだ。
多くの人が諦め、どうしようもないような状況の中、一人諦めずに踏み出し、未来を切り開くそんな英雄に憧れた。
それがどれほど困難なことかはわからない。
彼らがどんな思いで踏み出したのかはわからない。
きっと想像もできないほど辛く厳しいことだったと思う。けれど、だからこそ彼らは輝いて見えた。
見返りを求めず、人々を助け勇気づける。それが、ただただカッコいいと思った。
勇者や英雄はなりたいと思ってなるものではないと思う。彼らは、彼らで何らかの思いがあって、突き進み、それが賞賛され英雄となり、勇者とたたえられるのだ。
賞賛されたくて、立ち上がったわけではない。許せなくて、諦められなくて立ち上がったのだ。
それでも俺は勇者や英雄に憧れ、なりたいと思った。
世界には多くの悲しいことが起こっている。
人よりはるかに強く、凶悪で、邪悪な存在が人々の生活を脅かし、多くの人の命が失われている。
今日もどこかで人の命が魔物によって奪われている。その一つでも助け出したいと思った。
自分にどれだけの力があるかはわからない。勇者に、英雄になれるだけの力が無いかもしれない。
けれど、少しでも、一つでも人の命を救うことができたなら、憧れるからに近付けると思った。
たとえ勇者に、英雄に成れなくても、誰かの命を救うことができたのなら、それはきっと変えようのないものだと思った。
だから、俺は英雄を目指した。
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