第29話 待ち構えるはゼンと亀part1
「じゃあ、もう少しここにいれば俺が作ったダンジョンに誰かが挑戦するということか?」
「そうじゃな、どれ、一緒に待ってみんか?」
「それはいいな。待とう」
そうして俺と亀はギルドから派遣されたであろう人を待つことにした。
30分後…かの冒険者は来た。しかし、ここは街からはかなり離れていて、とても一日では着くはずもない場所…。どうやってここまで来たのだろうか…?
「なあ、亀。あいつはどうやってここまで来たんだ?」
俺は各階層のいたる所に設置した防犯カメラを見て亀に尋ねる。
「あぁ、彼は恐らくテレポートの魔法を使ったのじゃろうな…。テレポートの魔法使える者は今この世には各国に一人しかおらず、新しいダンジョンができたなどの人々に害を与える可能性があるものが生まれたときに冒険者が送られてくるのじゃ。多分こやつもその一人じゃろう」
「へぇー。そんなものがあるのか」
納得してモニターを見ていると何やら男が呟いている。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
俺の名前はアギト。名前だけがかっこよく顔はまずまずの冒険者だ。
詳しい説明はいいとして、今日ギルドから至急の呼び出しがあった。なんだろう?と行ってみると、なんでも東の方に新しいダンジョンができたという事だった。それもとびきり上位の…。俺もまぁ冒険者登録して早3年。今やAランク冒険者だ。スピード出世だと周りからもてはやされていい気分だ。
そんな俺に舞い込んできた新しいダンジョンの探索。これは信頼の証とも言われるクエスト。腕がなる。
なんでも、新しいダンジョンで、一般人の被害があってはならないため、早急な対策が必要だそうだ。なのでテレポートの魔法を使える人を呼んですぐ行くらしい。今からワクワクが止まらないな!
---20分後
テレポートを使える魔術師がやって来た。その人は魔法陣を急ピッチで地面に書いていく。なんでも、書き終わってから5分以内じゃないと効果を失うとか。
それから3分後、魔術師は書き終わったらしく、俺を手招きして呼ぶ。
俺も魔法陣の中に入り静かに目を閉じる。
魔術師が何かを唱え、俺の体は光に包まれた。
目を開けるとそこには洞窟があった。入り口はつると苔に包まれていてわかりづらい。
中に入ると……なんか機械があった。ゲート?のような機械が3つ、道を塞ぐように設置してある。…なんだろうこれは。なんか機械の上に書かれてある…。
ようこそ東の洞窟へ!
ここは今までにない新しいダンジョンとなっています。
まず、挑戦者には挑戦料を払っていただきます。一人1000ゴールド。
しかし、このダンジョンで死ぬことはありません。下のゲートをくぐると、くぐった人のアバターを制作します。アバターとは、分身体のようなものであり、その分体身体が死んだ場合は元の体に意識が戻ります。そうして、何度でもこのダンジョンに挑戦していただいて構いません。
全五層で、ボスは幻獣、亀仙人。
第四層までの様々なトラップをクリアした者のみがボスと戦えます。ボスは貴重なアイテムをドロップします。
是非、挑戦ください。
……なんだこれは。
今までこんなダンジョン見たことがない。人間が作ったのでは?と思えるような流暢な言葉遣い。これがもし、ボスモンスターにやって作られたものなら、ものすごく高い知能を有しているということ。この世で1番恐ろしいものは、高い知能を持った魔物達。これは面白そうなダンジョンだ…。それじゃあ、攻略していこうかな…!
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