第28話 洞窟制作part2
「これで第三層の改変は終わり。次は第四層です」
「です!」
こうしてゼンのダンジョンクラフトは後半戦を迎える。
「さてさて、後半に差し掛かってきたこの、ゼンのダンジョンクラフティングですが、どんどん頑張っていきたいと思います
」
「思います!」
「助手のリズさんは仕事をしておりませんが、早速第四層の改変をしていきたいと思います」
「…ッ……ます」
「まずはここに生えている木。これを破壊不可能なオブジェクトとして設置し、また、全体を巨大な迷路のようにします」
「……なぜ破壊不可能にするのですかー?」
やっと仕事らしい仕事をするリズ。
「理由は二つあります。プレイヤーが木を全部刈り取って眺めを良くしそのまま強行突破されるのを防ぐことが一つの理由。二つ目は魔物の攻撃無効化です。破壊不可能になるということは、木の表面に凄まじく強力な結界が貼られるということであり、そこの中にはじめから待機している魔物はもはや無敵です。また、魔物からの攻撃は外側に向かって通し、プレイヤーの攻撃は反射するという効果を付け足すことで、より鬼畜な設定になります」
「流石ご主人様です!そんなことを思いつくなんて…。迷路のようにするのは…大体わかりますね」
「今、改変しているのは第四層。これだけでは足りません」
「……と言いますと?」
「…ここからは本当に鬼畜なルートを作っていきたいと思います!」
「な、なんだかご主人様のテンションがおかしいです……。(そんなご主人様も好きっ!)」
「まずはこの空間に細工を…よし。迷路を抜けてから10分経つと死ぬように設定しました」
「い、いきなり鬼畜…(ハァ…ハァ…そんなご主人様も…)」
「なんだか寒気がしますが、次です。一見普通の床に見える通路を用意します。しかし!この通路は魔法によって普通の通路に見えているだけ。そこにはぐつぐつとマグマが滾っております」
「最先端落とし穴…(死)」
「さて、このマグマを見切ったとき…普通は飛び越えようとしますね?」
「もちろんそうですね」
「しかし!そんな甘いては俺には通用しない。このジャンプしてから、上昇している中盤ぐらい、見えないブロックを設置しておきます」
「するとどうなるのですか?」
「そう!見えないブロックに当たるとそれ以上は上昇ができなくなる→強制的に落ちるということです!」
「…ハッ!そういうことですか!」
「これを通称、孔明◯罠!」
「流石です!ご主人様!」
「ああ。これの回避方法は、横からそのブロックにあたること。そのためには壁を使う必要があります」
「壁を走るということですね!」
「そういうことです!しかし、その壁にもトラップを…」
「な、なんて鬼畜ーー!!」
「その壁数カ所に第一層で設置したトラップを設置」
「それは……難易度が上がります!」
「このトラップ3連撃によってきっと、プレイヤーは心が折れることでしょう!」
「そうですね!…、ところで気になったのですが、このトラップで死んでしまうと、後に情報が伝わらず、元も子もないのでは?」
「そう、そのことを考えて、今回のダンジョンは、ゲーム感覚で挑戦できるようにしたいと思う」
「げえむ?」
「ああ。ゲーム感覚を出すために、まず入り口で自分の分身体を作ってもらい、それを遠くから操縦してもらう。そのループ分身体は死んでも、本人が死ぬことはなく、代わりに幾つかのアイテムがロストする仕組みにする予定だ。」
「なるほど!それでダンジョンにも利益を出すと!流石です、ご主人様!」
「ありがとう。だが、何度も何度も挑戦されるのは困るので、1人1日1回までの挑戦とさせてもらう」
「それが妥当だと思います」
「それで、さっきのトラップ3連撃のセットをあと5つ配置。慣れてきた最後には壁と床を逆転させ、油断を誘います」
「より鬼畜になりましたね!」
「ああ。これで第四層は終わりです。最後は第五層、主の間。ここは亀に戦ってもらうとして、改変は無しです」
「わかりました!これで全層の改変が終わりましたね!」
「そうですね。おっと、お時間となってしまいました…。ではこれにて、ゼンのダンジョンクラフティング、終わりで〜す。ありがとうございましたー」
「ありがとうなのです!」
「また次回、お会いしましょ〜」
こうして俺はダンジョンの改変を終えた。改変には魔力を使うそうで、心なしか疲れた気がする。
「おーい、亀ー。改変終わったぞ」
「む、はやいのぅ。どれ、見せてはくれぬか?」
「ん、ああ。好きにしてくれ」
「……なんじゃこれは…鬼畜すぎる」
「そうか?」
「わしが思とったもんより鬼畜じゃわい」
「あ、ああ、ありがとう?」
「にしても、すごいもんを作ってくれたのぅ。これがわしのダンジョン…これがわしのもの…」
「ああ、そうだよ。さ、約束通りその金をくれないか?」
「ん?あ、そうじゃったな。ほれ」
「ありがとう」
「そういえば、新しいダンジョンができると電波を発信するそうで、ギルドはそれを感知する魔道具を持っていると聞いたが…それが本当なら冒険者の一人や二人、派遣されとるかもしれんの」
「じゃあ、もう少しここにいれば俺が作ったダンジョンに誰かが挑戦するということか?」
「そうじゃな、どれ、一緒に待ってみんか?」
「それはいいな。待とう」
そうして俺と亀はギルドから派遣されたであろう人を待つことにした。
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