第15話 本心…じゃないよね?

シスカが酒を勧めてきたが、飲めないので断っておいた。残念そうな顔をしながら、シスカは自分のコップに酒を注いで、そして、飲み干した。途端、シスカの顔に赤みが差してトロンとした目になった。



「ゼンさぁーん、ゼンさんゼンさーんー。」

「どうしたんだシスカ…?まさか…酔った?」

「もぉー、どーしてゼンさんはわかってくれないんれすかぁー。」

「わかる、?なにをだ?」

「またまたぁー、気付いてるくせにぃー。」

ほんとになんだろう?

「なんでわからないのれすかぁー。」

ここで料理が届いた。大きな魔獣肉だ。おいしそう。

「し、シスカ料理食べよっか?」

「はぁーい、わかりましたぁーゼンさーん。言うこと聞けるいい子れすー。」

幼児退行してるな…。おい、聞いてないぞ。まぁ、なんとなくかわいいけども!

「あむあむ……んんーーおいしいれす!……ガツガツ」

俺も食べよっと。……んー!おいしい!地球の料理とほとんど変わらないな!

「シスカ、ゆっくり食べ…ってもう食べ終わったのか!」

「んふふ〜おいしかったれすー。ゼンさんと食べる料理だからおいしいのかもしれないれすー。」

なんだか少し嬉しい。

「ゼンさーん、なんでゼンさんはそんなにつよいのれすかー?」

んーなんて答えようかな?

「鍛えたからだよ。死ぬ気で修行したんだ。」

誤魔化してしまったな。まぁ転生のたぐいは言わないほうが良いだろう。

「おぉー。すごいれす!流石ゼンさんれすね!」

向かい側に座っていたシスカが身を乗り出して頭をなでてくる。ゆったりとした服装だったので胸元が…見てないからな!

「ふぁ〜、ゼンさん!明日もクエストお願いしますねー?」

「あぁ。わかったよ。」

「やったれすーー!」

そんなに嬉しいことなのかな?

「…これで明日もゼンさんに…フヒヒ」

「…ん?なんだって?」

「なんでもないれーす。」

今の聴き逃したのはなんだかとても痛い気がする。

「ふぁ〜。ねむくなってきたれすー。」

「俺もなんだか眠たくなってきたから今日はお開きにするか?」

「えぇ〜?いやれす!かえりたくないれす!ゼンさんとはなれたくないれす!」

おい、さらっととんでもないことを…。ドキッとしたじゃないか!!

「じゃあなんの話するか…っておい、シスカ?」

…寝ている。さっきまであんなに威勢が良かったのに…。じゃあ、シスカをシスカの宿に送って帰るか。

「おーい、シスカー。帰るぞー。」

「ふぁーゼンさん?おんぶれすー。」

「なっ…!き、今日だけだぞ…?」

「やったれす〜!」

俺はしゃがんでシスカを担ぎ上げる。そのまま代金を払って店を出る。さっきから胸が当たっている。大きな2つの丘が俺の背中に当たっている。すごくやわらかい。…っていかんいかん。何考えてるんだか!ちなみにリズはというと、足にしがみついて寝ています。どーなってるんだろう?

「シスカ、宿はどっちだ?」

「ふふ〜。ゼンさぁーん。ふふふ〜。」

だ、だめだ。完全に酔ってやがる。しかも一杯で。弱すぎだろ。…しょうがない、俺の宿に連れて行くか…。


---宿到着

……どす。よし、運送完了っと。このまま寝かせよう。この国には月に一度、仕事を全くせず体を休ませる日が設けられている。もちろんギルトも休みだ。だから、起きるまでここに居させてやろう。

「ん〜、ゼンさぁん。好き…れす…。」

…へ?今のははっきり聞こえたぞ?好き?ま、まじか…。ほ、本心じゃないよな?うん、本心じゃないはずだ。よし、俺も寝よう!と、いうことで、おやすみ!

俺はリズを抱えてシスカの隣で寝た。

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