第12話 ゼンさんについて

シスカside


みなさんこんにちは!シスカといいます。

ギルドで受付をやってます。

ここは始まりの町とも言われるところで、あまり強い人もおらず、こなされていくクエストは採取系や下級中級モンスターの討伐クエストばかり。なんだか、退屈な日々です。

普段はバリバリ尊敬語を使っているのですが、普段はもうちょっと砕けた感じなのです。そのせいで冷たいって言われることも多々ありますが…。

まぁ、そんなことはさておき、最近この町に面白い人物がやってきたのです。その人の名前はトガ・ゼンさんです。なんだか変わった名前ですよね。

最初ごっつい格好した人がギルドにやってきてめんどくさいと思っていました。さらに、飛び級試験を受けるとか言い出したんです。この試験を受ける約八割が試験中に死ぬので、できるだけ初心者には受けてほしくないのですが…。まぁ、個人が考えることなのでこちらからは止めることはできませんが。

次の日。やっぱり来ちゃいましたゼンさん。来ないと思ってたのになぁ。 

そんなわけで洞穴へと繋がる転移門まで案内しました。そしてゼンさんはその転移門に入って行きました。私は何日も覚悟でゼンさんの帰りを待って転移門の前にいました。なんだかゼンさんには特別なものを感じたのです。まだ出会って2日ですが、この気持ちは何なのでしょうか。

待つこと三十分、オレンジ色の光を放って転移門が輝き中からゼンさんが出てきました。カードの脱出機能を使ったのかと思いましたが、カードの脱出機能を使うと転移門は青色の光を放って人が戻ってくるので、おそらくダンジョンをクリアしたのでしょう。それにしても早すぎませんか!

その後、照れたようなゼンさんのただいまに不覚にもぐっとくるものがありました。

カードを確認させていただくとまぁびっくり。ダンジョンのすべてのモンスターを倒しているではありませんか。さらに、ボスも一撃で倒したと言っていました。たしか、ここの洞穴のボスってスケルトン・キングでしたよね…。あれを一撃?強すぎだろ、おい。

いけないいけない、キャラが崩壊していました。

それにしても強過ぎですよね。これはAランクからのスタートになりそうですかね。こんなこと異例中の異例ですよ!ますますゼンさんに惹かれてしまいました。

次の日、ギルドマスターに会っていただきましたが、私は席を外すようにいわれました。悲しい。ゼンさんの声を聞きたかったのに。あれ、この感情は何でしょうか。


ギルドマスターとの話が終わってゼンさんはクエストを受けて出発されました。ゼンさんと話せました。よかったです。

早く帰ってこないかな…ゼンさん。

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