第10話 飛び級試験
俺達は風呂に入り、布団に入るとすぐに睡魔に襲われて、眠りについた。
ーー翌朝。
目が覚めると俺の腕で腕枕をして眠っているリズが目に入った。何なんだこのかわいい生き物は…
そんなずっとそのままでいたいようなシチュエーションの中自分に鞭打って飛び級試験のためにギルドにいる支度をする。
「ほら、リズ。起きろー。今日は試験だぞー。」
「…ん、ご主人様ぁ。待ってくらさいよぉ。」
ちょっと口元が緩みそうになるが首を振ってリズの支度もする。
さて、行こうかね!
ギルドに入るとやはり視線が俺に集まった。しかし、すぐに視線は俺に集まらなくなる。
(さすが冒険者。慣れたんだな。)
ーーそう思ってた時期が俺にもありました。その後聞こえてきたひそひそ話には、あいつと目合わせたら殺られるぞ、とか、とにかく目合わせないように下むいとけ、とか聞こえる。おい、聞こえてるんだからな。
まぁいいや。俺は昨日の受付の人に声をかけた。
「試験お願いします。」
「…ほんとにいいんですね?」
なんだよその言い方は…怖くなってきたじゃないか!受けるけど!
「いえ、受けます。」
「…わかりました。では、奥について来てください。」
そう言われて受付の人はギルドの奥に入っていった。俺達はあわてて追いかける。
しばらく歩いていると、庭みたいな感じの開けた場所に出た。何やら庭の中央部には魔法陣みたいなものがある。
「あれは骨の洞穴に通じる魔法陣です。骨の洞穴の出入り口はギルドの方でふさいでいるんです。何分危険ですから。ですから、骨の洞穴に行く方法は1つ、ここから行くしかありません。あ、あと一つ、これを渡しておきます。」
そういって受付の人は何かカードのようなものを渡してきた。
「このカードは、あなたが倒したモンスターの数や種類が自動で記載されます。なので、倒した数や種類は偽装できなく、また、本当に倒したのか?などと疑われることもありません。」
これはすごいな。冒険者になればもらえるのだろうか?
「なお、ダンジョンからは、最深部のボスを倒すと現れるオレンジの魔法陣かこのカードに魔力を流して、脱出、といえばここに帰ってこられます。ピンチになったら必ず脱出を使ってくださいね…?使う間もなく死んでしまう人が多いのですが…。」
更にすごいな!
「では、そろそろ出発です。ご武運を。」
そういわれて俺は魔法陣の中に入った。すると、転生したときと勝るとも劣らないような光に包まれ視界が暗転した。
目が覚めると、土の中のトンネルみたいな場所にいた。恐らくダンジョンだろう。
とりあえず、一本道なので地道に歩いて行こう。リズは狼化してついてくる。
歩くこと5分、目の前に魔物が現れた。
名前:なし
種族:スケルトン
性別:なし
レベル:12
ランク:中級
HP 30/30 MP 15/15
物理攻撃 32 物理防御 26 魔法攻撃 12 魔法防御 30
武器
なし
装備
なし
スキル
なし
万物鑑定で見てみる。
これは多分1番雑魚いやつだな。
…ほら、リズが爪でつついただけて粉々。
まぁ当たり前かな。
さて、どんどん進んでいると、……うん、囲まれちゃった。
これはちょっとピンチか…?
ーーと思ってた自分を殴り飛ばしてやりたい。
リズが一瞬で終わらせた。
流石っすリズさん。
あ、ちなみに俺は2回目に出てきた魔物に炎属性の初歩の魔法をくらわせたので、戦闘開始してる扱いにはなっている。
さてさて、そんなこんなであっという間に大きな扉の前に立っています。なんかかんたんだったんだよなーこのダンジョン。こんなときは大概ボスは…。
そんなことを思いながら扉を開く。
………はい、完全にフラグ立ちまくりだった!
名前:なし
種族:スケルトン・キング
性別:オス
レベル:40
ランク:絶級
HP 480/480 MP 15/15
物理攻撃 400 物理防御 396 魔法攻撃 407 魔法防御 430
武器
ミスリルの混紡
ミスリルの大盾
装備
王のマント
スキル
スケルトンを統べしもの
…はぁ今まで中級とか、いっても上級までだったのに…いきなり超級越えて絶級って!あんまりだ…。
まぁうちのリズさんなら破級だし?まぁ余裕かn…!
またこのパターン。圧倒的に勝っているのに、俺のフラグによって…リズは吹き飛ばされる。
俺はすかさずリズにこの前覚えたスパティブヒールを唱える。回復魔法の最上級技だ。
リズの体からは一切の傷がきえ、元気だ。今は飛び跳ねている。よかった。でも、まだ俺は戦闘に出られない。それまで頑張ってリズに戦ってもらうしかないかな…。
(ピロン♪)
…もしかして!
(戦闘開始から30分経ちました。封印を解除します。)
来た!俺の体に力があふれるのがわかる。
ここで、俺は言いたい言葉というか決め台詞があるんだ。昨日の夜考えた。
ーーータイム・フルズ!!ーー
俺は地面を一蹴りし一気にスケルトン・キングに肉薄する。そのままの勢いで抜刀してスケルトン・キングを上下2つに切り裂いた。
やっぱり俺、強くね…?
「ご主人様ぁぁ!!かっこいいです!!!流石です!!!!」
リズからは熱い言葉を受ける。言葉を考えたかいがあったというものだ。
そうこうしてるうちに、スケルトン・キングの体は綺麗な結晶となって霧散した。
すると、奥にオレンジの魔法陣が現れる。
「あれが受付の人が言ってた魔法陣か。さぁリズ、帰ろっか。」
「はい!!ご主人様!!」
俺はいつの間にか人化していたリズの手を引いて魔法陣の中に入った。そして、視界は暗転した。
…ん。眩しい光が目に差し込んでくる。ここは多分ギルドの庭だろう。
「……ッッ!!」
そこにいたのは受付の人だ。驚きのあまり声が出ていない。
「…もう帰ってきたんですか…?まだ一時間も経っていませんが?」
怪しげに目を細めるも、心配そうな声色だ。ずっとここにいてくれてたんだろうか。なんだか嬉しいな。
「…えっと。ただいまです。ただ今戻りました。」
なんだか照れてしまっておかしな喋り方になってしまったが、まぁ良いとする。
「…で、ではカードを見せていただいても…?」
「…ん?あぁ、はいどうぞ。」
俺は受付の人にカードを渡した。
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