第9話 ご主人様の伝説のはじまり
「冒険者ギルドで冒険者登録していただくと、街への出入りが無料で自由にできるようになりますので、是非お立ち寄りくださいね!」
親切な門番だったな。
俺達はその足で冒険者ギルドへと向かった。
しばらく歩いていると一際目立つ大きな建物があった。きっとあれがギルドなんだろう。
扉は良くアニメとかに出てくる酒場の扉みたいな感じの扉だ。
「いらっしゃいませ〜」
若い女の子の声が響いた。すると、ギルドにいた人たち。一般人のみならず、ヒャッハーな感じの筋肉ムキムキの3人組、ローブをかぶったいかにも魔道士みたいな人。たくさんいるが、そのすべての視線が俺へと向けられた。
数秒経ってもその視線は俺を捉えて離さない。
なんだ?あの装備、とか、なんか子ども連れてるぞ、とか聞こえる。あ、俺の装備そういえば派手すぎるんだった。完全に忘れてた。できるだけ目立ちたくなかったんだけどなー。
俺とリズが立ち往生してると少し離れたところから話しかけられた。
「新規登録ですか〜?」
「ああ。頼む。」
「わかりましたぁ〜。では、説明しますね〜。」
なんか軽い感じの女だな。まぁいいや。
「冒険者はランクで強さが区別されています。そのランクで受けられるクエストも変わってきます。ランクは下からG、E、D、C、B、A、Sです。基本的にDランクまでは、薬草の採取依頼、下級モンスターの討伐依頼、Cランクからは中級、上級モンスターを、Bランクでは、数人でパーティを組んで超級、破級を、Aランクは単独での超級、破級のクエストそして、数人での絶級、複数のパーティでの滅級のクエストをSランクはすべてのクエストを受けることができます。まぁ、絶級より上のクエストはあまりありませんが。ちなみに、ランクはクエストの数をこなす事で上がります。」
軽いやつだと思ってけど、めちゃくちゃしっかりしてるな!
「本来はGランクからのスタートですが、それなりに強い人のために最初だけランク飛び級試験があります。」
ほう。最初の頃は薬草採取とかしなきゃなんないのかーとか思ってたけどそれなら良かった。
「試験の内容は骨の洞穴というところで行われます。…この試験に自分には力があると過信した者が挑むと、ほとんどが死にます。」
え、死ぬのかよ…。
「ですから、ギルドではGランクからのスタートをオススメしています。」
まぁ死ぬことはないだろうし、薬草採取とかしたくないから試験受けようかな。
「いえ、試験受けます。」
「…そうですか。わかりました。では、明日の朝ギルドに起こしください。」
「わかりました。」
そういって俺達はギルドを出ようとした。しかし、俺達の前に現れたヒャッハーな感じの3人組に行く手を阻まれた。
「おい、新入り。おれはDランク冒険者のマツだ。なに粋がって試験受けてんだ?ちょいと腕試ししようぜ!!」
なんかこういうのは嫌いな。無視しよう
「………。」
「っおい!何無視してやがる!」
無視されたことが意外だったのか、手を伸ばして肩を掴もうとしてくる。それを俺は躱して振り向きざまに殺意を込めてみる。
「ヒッ!!」
男は外見に似合わない高い声を出して顔を引きつらせた。今まで自分は関係ないとばかりに顔を俯けていた周りの人たちも俺の殺意に反応してこっちを見ている。
「…お、覚えておけよ!」
そんないかにも雑魚キャラが吐きそうな定番セリフを吐いてギルドを出ていった。俺達もなんだか周りの人たちの視線が怖くなってギルドから出た。まぁそんな中でもご主人様流石ですと言わんばかりのキラキラした目をして俺を見上げていたリズの視線はとても可愛かったから今日あった不愉快なことは全部忘れてしまった。
「じゃあリズ、宿を探そうか!」
「はい!ご主人様と一緒に寝たいです!」
サラッととんでもないことを言うリズには少しまいったが、とりあえず宿を探すことにした。
しばらく歩いていると『竜の巣窟』という宿を見つけた。なんかかっこいいな。よし、とりあえず入ろう。
「へいらっしゃい。」
低い声の筋肉ムキムキのの人が出迎えてくれた。いかついな。
「一部屋空いてますか?」
「ああ。一部屋用意しよう。お題は100ゴールドなんだか、ここでは食事は出せないんだ。すまないな。」
まぁだからこそこの値段なんだろう。
そういって俺たちを2階の端の部屋に案内してくれた。
中は普通の宿といった感じだ。決して悪くはない。
俺達は風呂に入り、布団に入るとすぐに睡魔に襲われて、眠りについた。
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