第6話 フェンリルとの出会い

そして最後に俺は叫んだ。


「フェンリル!召喚ッッ!!」


目の前に大きな魔方陣が現れた。




魔方陣がひかり輝く。まばゆい光に一瞬視界を奪われる。




目を開けるとそこには俺の身長の5倍はあろうかという大きさの青と白がまざった体毛をした大きなフェンリルがいた。


「俺の名前はゼン。君の召喚主だ。これからよろしく頼む。」


そういって俺はフェンリルの鼻に触れた。刹那、フェンリルの体が光に包まれた。


フェンリルは少しの間発光し続けた。そして、光がおさまった後、そこにいたのは……1人の少女だった。


フェンリル…メスなのか。まあいいや。いや、むしろこっちがいい。


フェンリルの時は何も着ていないはずなのに、今は、着ている。きっとここはそういう補正がかかる世界なんだろう。


「…ご主人様?」


少女が首をこてっと傾けて尋ねてくる。かわいい。


「…ああ、まあそうだな!」


俺が肯定すると、少女は俺に抱き着いた。俺は若干焦ったがすぐに受け入れる。ちなみに双丘の標高は低めだ。


「ご主人様!私に名前つけてっ!」


とフェンリルは言った。そうか、名前か。フェンリルのままだと変だしな。


「じゃあ今日からお前はリズ・スカイだ。名乗るときにはリズと名乗れ。」


「リズ………リズ!!いい名前!!ありがとうご主人様!!」


「ああ。どういたしまして。」


そういって再び抱き着いてくる。うん。たまらん。頭を撫でよう。


「……ん。」


恥ずかしそうに目を細める。らぶりー!!


「ねぇねぇご主人様!肩車して―!」


ん?肩車?いいけども。


リズを肩に乗せる。謎のフィット感だ。いい。リズも楽しそうだ。


そうだ、フェンリルのステータスを見てみよう。




名前 :リズ・スカイ


種族 :フェンリル


性別 :女


レベル:1


ランク:破級


【Low】


HP:500/500 MP:100/100


物理攻撃:445 物理防御:521 魔法攻撃:210 魔法防御:310


うん:45


〈装備〉


身体:村人の服 上下(人化)


〈スキル〉


人化




こんな感じ。というか俺のRowの時のステータス超えてる!?召喚獣なのにいいのかよ…まぁいいけど。


ところでランクってなんだ?フェンリルは破級だけど。


困ったときは全知の書だな。


〈ランク〉


魔物は7つのランクでその脅威度をあらわされる。


下級・中級・上級・超級・絶級・破級・滅級


なるほど。こんな感じか。ということはフェンリルって上から二番目ってことか。すげぇな。とんでもないやつを召喚したかもしれない。まぁとてもうれしいけども!


「ところでリズ、相談なんだけどさ、」


そういって俺の弱体化30分について説明して、手助けしてもらえないかどうか聞いた。


そしたら快くオッケーしてくれた。いい子だなぁ。




しばらく歩いていると、豚が人になったような魔物、オークが現れた。せっかくなのでリズに戦ってもらおう。


「リズ、いいかな?」


「うん!まっかせて!」


そういって俺の肩から飛び降りたリズは俺から少し離れて狼化した。そして爪を1振り。


刹那。オークは真っ二つに裂け、あたりに鮮血をまき散らして死んだ。うん。強い。強いよ!!流石破級!


「ご主人様すごいでしょ~えへへ~ほめてほめて?」


既に人化したリズが満面の笑みでこちらにやってくる。かわいい。手にはおそらくオークの核を持っている。討伐証明品だ。


「すごいな…」


そう言って頭をぽんと撫でる。リズは嬉しそうに目を細める。らぶりー!!


…ん?近くに気配がするな。そこに行ってみよう。


気配の近くまで移動してみると、そこにいたのは緑色で醜悪な見た目—ゴブリンだ。しかし、何やら頭上に豚を抱えているようだ。恐らく戦利品だろう。巣に持って帰っているのだろうか?ここで、俺はあることを思いつく。


「なぁリズ。多分あのゴブリンは巣に戦利品を持ち帰っている。そこでだ。俺達のレベル上げのために巣の殲滅をしないか?」


リズはキラキラした目でこちらを見ていた。


「いい考えです!!ご主人様ぁ!早速後をつけましょう!」


「おう。そうだな。」


そう言って俺らはゴブリンのあとをつけ始めた。

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