第7話 封印解除

「いい考えです!!ご主人様ぁ!早速後をつけましょう!」


「おう。そうだな。」


そう言って俺らはゴブリンのあとをつけ始めた。


つけること数10分、ゴブリンは洞穴に入っていった。


「あれが巣だな。」


「流石です!ご主人様ぁ!」


俺の肩の上から言っている。もうすっかりそこが定位位置だな。かわいいからいいんだけど。


「結構の数の気配を感じるな。」


「そうですね!突入しますか?」


「ああ。…いや、一回洞穴に入って、フェンリルの姿になってから突入しよう。」


「そうですね!それがいいですね!ではとりあえず洞穴に入りましょーかー。」 


そう言って洞穴の入り口まできた。


高さは少し低めでフェンリル完全状態では高さが収まりきらないので完全状態の半分までで狼化をとめることにした。


ここで一つ。問題が発生した。


完全状態の半分の体長のリズは、ステータスも半分になるらしい。まぁ、負けることはないだろうが、時間は掛かりそうだ。


「でも、リズはご主人様のために頑張る!」


…何この生き物。可愛すぎる。見た目は狼なんだが、言葉がかわいい。異世界来てよかった。 


「ああ。任せたよ、リズ。」


リズはにっこり笑って、歩き出した。フェンリルのにっこりって怖い。 


歩くことほんの30秒。ゴブリンが曲がり角から現れた。


「グルァェギャァァ!」


ゴブリンが奇声をあげて棍棒を振りかぶる。


しかし、半減したステータスでも、フェンリルのほうが素早く、爪で薙ぎ払う。ゴブリンは壁の方まで吹き飛ばされ、壁を少しえぐる。しかし、ゴブリンは立ち上がる。そのことに俺達は驚きを覚えつつももう一撃与えてやっと倒す。…ふむ。半減ステータスでは、2回の攻撃を繰り出さないと倒せないようだ…時間がかかるな。


そうこうしているうちに、次は2体のゴブリンが現れた。


このゴブリン達もそれぞれに2回ずつ攻撃を与えて倒す。既にはじめの戦闘開始から5分経過している。


その後、しばらく戦っていると、下に続く階段を発見した。どうやら一層だけではないらしい。俺達は下に進んでみることにした。


下に降りると、一層目の入り口のような作りをしたところに出た。どうやら、作りは同じようだ。作りは同じだったのだが…敵が違う。


一層目では皆が棍棒を持っていたはずなのに、2層目ではばらばらで、剣を持っているゴブリン、メイスを持っているゴブリン、魔法使いのような杖を持つゴブリンと様々だ。


しかも今回は3回攻撃しないと倒れてくれない。リズも所々傷を負ってるな。


よし。回復属性の魔法を1つ覚えるか。


ステータスを開いて魔法の欄に移動。そして回復属性の最初の初めの術のロックを解除する。そしてリズに向けてそれを唱える。


「ヒール!!」


リズの傷は全回復までとはいかなかったものの目に見えて状態は良くなっている。


続けてヒールを打つ。幸い魔力量だけは異常なのだ。


そして3回打ったところでリズは全回復した。よかった。


その後しばらくすると、俺達は大きな扉の前に立っていた。おそらく、この巣の親分的な存在がいるのだろう。


俺達は重い扉を開けて入っていく。


そこにいたのは今までのゴブリンの2倍はあろうかと思われる体長に大きな棍棒をを持っている。


ちょっと興味が湧いたのでステータス確認をしてみる。


名前:なし


種族:ゴブリン・キング


性別:男


レベル:32


ランク:超級


HP 400/400 MP 0/0


物理攻撃:316 物理防御:253 魔法攻撃:102 魔法防御:302


装備


王のローマクロス


武器


ビッグシルバークレイモア


スキル


同族を統べるもの


こんな感じだった。まって。ゴブリンの種族って超級までいるの?強くない?


まぁうちのフェンリルであるリズには敵わないとは思うg…!?


「へ…?」


俺の間抜けな声とともにリズが壁に吹きとばされた。リズが負けた…?そんなことあるのか?リズは半減しているとはいえ、破級だぞ?……あ、そうか。俺がフラグ立てたのがだめだったのか。流石定番世界だな。…というか今はとりあえずヒールだ。


5回連続でヒールを唱える。恐らく演算処理はウィズが代わりに高速でしてくれているはずだ。努力の結果一応見かけ上は全回復した。安心した。


走行しているうちに既にゴブリン・キングは俺の前に立っていた。そして、棍棒を振り上げた。しかし俺は物怖じせずに立ち上がる。そう。この世界が定番世界なら今から起こることも恐らく定番の出来事として起こるはずだと思ったからだ。


(…ピロン♪)


ほら来た!


(戦闘開始から30分経ちました。スキル、スロースタートによる封印が解除されました。)


アナウンスが流れると体にすごい大きな力が湧いてくるような感じを受けた。今ならなんでもできる気がするな。


俺は真剣カタストロフィを構える。そして一歩だけ軽く地面を蹴って踏み込んだ。


刹那、俺はゴブリン・キングの目の前にいた。そのまま頭の上から剣を振り下ろしてゴブリン・キングの体を縦に真っ二つにした。鮮血が舞う。俺が着地すると同時にゴブリン・キングは倒れ、絶命した。俺の足元には大きめのゴブリンの核と、1つの石が落ちていた。


鑑定してみる。


ゴブリン・キングの魔石


ゴブリン・キングが落とす魔石。


どうやら魔石のようだ。初めての魔石だな。


「ご主人様…すごい!!」


リズがこちらを見ていた。急いでリズに近づく。


「リズ!!大丈夫か…?」


「うん。へーき。ご主人様のヒールのおかげなのー。」


そう言って、リズは笑みを浮かべた。なんて破壊力なんだ。


「じゃあリズ、とりあえずここを出よっか。」


「うん!」


そう言って俺達はこの洞穴をもときた道を戻って出た。既にゴブリンの姿はなかった。



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