弐:接戦

「キャッハオォ!!」

 背中に強い圧力がして、オレの身体は吹き飛び壁に激突する。

 覗いていた窓の反対の方に奴がいた。

 吹き出す爆発音で耳が裂けそう。実際少しの間、聞こえなかったのだが……。

 金属と金属が擦れ合う音がして、そいつが部屋に入って来た。

 中年太りのおじさん形態、全身を鎧で完全武装しているが人ではない。

 文献で見たことがあるけど、本物を見るのは今日が始めて、なんの恨みがあるのか知らないけど寝込みをおそうなんて下賎ね。

 ウェポン……月光を浴び、金色の身体が光をかえ反す。

 顔を覆い隠すマスクの下で赤いライトが点滅していた。

 非・魔導生命体。

 製造元および方法は、一切秘密だそうだ。

 明らかなのは遠い昔、人が住んでいたのか、いないのかすらわからない時代に作られた物の縮小された複製。

 能力的に複製は劣っているが、絶対に裏切らない、疲れを知らない部下として、軍隊や反乱組織、ありとあらゆる戦闘を有する所に買われていると聞く。

「文献によると……」

 シャコ!

「腕が飛んでくる!」

 鋭い指のついた手が手首から離れる。両手なんて卑怯な。

 腹を狙って来たそれをなんなく交わし、もう一つの腕もわりとアッサリよけることが出来た。

 腕は鎖で繋がれ伸び縮み可能な物らしい。

 二つの腕は、壁に突き刺さるどころかぶち破って、隣の部屋に突き進んで行った。

 隣はウィルシュ! 別にいっか……。

 さよならできることを無情に喜び、ウェポンに身体を向けた。

「うをぉぉ! なんだこりゃ!?」

 ちぃっ。

 このウェポン、噂じゃ強いって聞いていたけど、さっきの攻撃からすると、倒せなくわない。

 俊敏な動きで腕を元に戻すと一歩踏み出た。

 威圧されないね。ぜーんぜん怖くないもん。むしろ、間抜けな姿に笑えるかも……。

じう。

「キル……」

「は?」

 キルって……殺すって意味だよね。

「ナウ」

 アハハ、今だって……。

「冗談。殺されたくないね!」

 オレは静かに月夜見の刃を名前も知らないウェポンに向けた。

 月は一瞬の戦いの見届け人に成り下がり、冷たい光を照らしつける。

 ウェポンの壊した壁は風に押され、他を巻き込み真っ逆様に落ちていった。

 ……気が滅入る雰囲気だ。

 風が変わった。

 来る! 動物ではないからオーラと言うものが感情で変化しない。

 心に見えない物は、物理的に見えてしまう物だ。いくら隠そうとしてもマスクの下の赤い瞳が動く時に強く光る。

 そんな奴に殺されるほどバカじゃない。

 前ぶれありの突進は足の裏でなにかを爆発させ加速している。

 後ろに下がるつもりはない。壁だし……。

 オレも物怖じせず、踏み込んだ。

 右手が伸びる。それは身体を傾けるだけで避け、すかさず伸びつづける鎖にそっと月夜見をつけた。

 加速のかかった鎖は、ちょっと触れるだけ。

 前に進もうとする鎖の流れを刃の腹で反転させ、ウェポンに向けた。

 続けてオレも走る!

 ウェポンは残った手で鎖を払おうとする。それがそいつの最後だった。

 頭の部分を一閃し、切り落とす。

 命令発信源と思われる頭部を砕かれたウェポンは、そのまま隣の部屋に勢いよく突っ込み、埃を舞い上げて動きを停止させた。

「じょうぶつしてね……一Fくらいは香典をあげるよ」

「誰に向かって成仏しろって言ってんだ?」

「もち、ウィルシュ! って生きてたの……残念ね」

 後ろから発せられる声に耳を傾け、ホントに残念に思った。

 声の主を見ないで火花を散らして倒れているウェポンに近づく。

 さすがに太古の遺産も頭を切られて、いちころのようだ。ぴくりともしない。

「なんだこれ……?」

 横に並んでウィルシュ。

「ウェポン……だと思う。昔のおもちゃの複製だよ。聞いたことあるでしょ、最近、世間に出まわってル」

「ああ、あれか……。

 にいいい!? これがそうなのか?」

 そうだとも……。

「それが本当なら……何で壊しちまうんだ。ガラクタ売っても金になんねえじゃんか。どうしてくれんだよ、てめぇ!」

「修理すれば……」

「アホか! 珍しいもんだから、どこでも修理してくれるってわけじゃないんだぞ! 修理するとしてもカネがいんだよ。もとでなしで稼いだ方がいいに決まってんだろ!」

 ホントにカネ以外に考えることないのか?

 ウィルシュはウェポンに近づき売れそうな部分を取ろうと必死になって、分解している。

 しかし……こんなのに恨まれる覚えないんだけどな、裏ありそだね。

 ピィーッ!

「うお、なんだこれ」

「変な所さわったの?」

 急にウェポンの背中、中央の右が赤く点滅しだした。

「ねえ……イヤな予感するんだけど……」

「そんなの知るか。とっとと分解して捨てちまえ」

 おいおい……。

 まだやるの。

 危機感を吹きつけるウェポンにウィルシュが近づき、作業を開始する。

 怖い物知らずだね、ホント、カネに命はってるよ。

 ウィルシュは、どこからともなく工具箱を持ってきて、慣れた手つきでどんどんネジを外したり、線を切っていったりする。もしかすると適当かもしれない。

 明らかに違う色の線に手をかけたのに気づいた時は、もう遅かった。赤、青、黒に混じ異質な一本、ゴールドを容赦なく切り伏せた。

 刹那、ウェポンの身体は膨れ上がり、閃光を発した次の瞬間、大音響を轟かせ彼の身体は散り散りに引き裂かれた。

 まだ形のあった壁は衝撃で夜空に舞い、床の板がめくれ上がった。

 オレの目の前に鉄の板が迫る。ウェポンの鎧だと思った時には、強烈なタックルをくらっていた。

 弧を描きベッドに落ちるが、弾みで身体が飛びあがり、天井にキスをかましてしまう。

「イテテ」

 ベッドの上で踊っている身体を立たせ、黒い煤のついた床と未だ埃の舞い上げているた。

 生きているか!?

 冗談で『死ね』っとか言うけど、ホントに死んでしまったら、シャレになんない。

 ベッドでバウンドをつけ、埃の中に飛びこむ。

 両手で風起こし、視界を開かせようすを見。

 床に転がっているウィルシュがいた。頭を両腕で抱え、身体を丸めうずくまっている。

「お、おい……? 生きてる?」

「ぬっ……」

 うめき少し身体を揺らした。

 よかった。口に出さないで心で言う。『生残り料だカネよこせ』なんて……ありえるかもしれないしね。

「おお、アデュ無事だったか」

 オレの顔を見上げ、声を上げた。

「なんとかね」

「見ろ! 分解した部品も無事だ。とっさに覆い被さってよかったぜ」

 ……なんて奴だ。

 その後、騒ぎになったことは言うまでもない。

 ホテルの支配人にこっぴどく怒られ、壊れた壁もウィルシュが変わりに弁償して、一応おさまった。後は他の部屋を借りて、眠りにつくだけ、どうせ宿泊料金はS.C.もちだしね……。

 まさか、ウィルシュが変わりに壁の弁償金、払うなんて思ってもみなかったけど……。

 とりあえず……おやすみ。


 オレは隣を歩くウィルシュに気づかれるように視線を流した。

 なんでつてくるかなぁ……の意。

 朝、太陽の光でった頃、オレはウィルシュに気づかれないようにホテルから抜け出した。

 しかし、甘かった。このカネだけのイヌを舐め過ぎていた。

 街の出口に差しかかったとき、ATSに寄りかかって座る影が見えた。

 ATSとはオートマチック・トランスミッション・シールドの略称で、モンスターなど敵が一定内に侵入すると自動で街全体を取り囲むように張られる防護壁の発生装置を言う。

 影の正体はもちろん、ワン太。昨日の襲撃の後、彼はオレが逃げることを予想してか、ホテルに泊まらずそこに野宿していたのだ。

 イヌだけあって、鼻が聞く。

「来て」なんて言ってないのにこの男は、なにも言わずにオレの隣を歩いている。

 まあ、役に立つかもしれないし……別にいいけどね。

 オレは昨日マリリンにあった場所を目指して歩いていた。

 確か茶を飲めと言っていたはず。と言うことは、あのまま進んでいればアジトについていた可能性が高い。

 今日が試験最後の日なのだ。なんとしてもがんばらねば。

「なあ……試験ってなにやんの?」

「赤いスネイキィ蛇人族を処刑するの」

「へえ……(赤いスネイキィ蛇人族か……むっふっふ賞金っふっふ)」

 ワン太は気のない返事を返すと黙ってしまった。どうせ、カネのこと考えてると思うけど……。

「どこにいるか知ってるのか?」

「知らなぁい」

「そうか……」

「いたぁぁぁぁぁ!! やっぱりここにいたのね!」

 またこの声は……。

 聞き覚えのある声は、風と共に後ろから大音量で流れて来た。

「うんもぉぉ! だぁあいスキぃぃぃ!!」

「ゲフ! 首、クビィ入ってるゅぅ!」

 背後から抱きつかれ、思いっきり首が絞められる。こんなことする奴はシンシアだけだ。

 なんとか離してもらって抜け出せたが、あのままいたら死んでたかもしれない。

 恐ろしいものね、レズ恋愛って……。

「アデュ、会いたかったわ! 昨日、空飛んでるの見かけてから、探したんだけど……どこにもいなくって……ってアラ!」

 隣で怪訝な視線を送るウィルシュと目が合うとシンシアは身体をそっちに向けた。

 もしかして、被害者二人目か……?

 自分から離れてくれることを期待して、この場は傍観者になることにした。

「お前……」

 ウィルシュの口が動いた。

 お前って呼ぶくらいだから、二人は恋人どうしだった説かな?

「こ……の……」

 シンシアもつられて言葉をゆっくりとだした。

「この! 浮気者ぉぉぉぉ!!」

 どうやら違ったようだ。

 シンシアは振り返ると同時に地面に落ちていた棒切を掴み、力の限り振り下ろして来た。

 いきなりのことで見動き取れないまま叩かれ続け、脳が揺さぶられる。

「なによ、なによ! 一日会えなくて寂しいからって他のに手ぇ出して、しかもその相手が男ですって! いくらかわいくてもホモの行為だけはしてほしくなかったのに! 今からでも遅くないわ。私と一緒に旅に出て、女として生まれ変わりましょ!」

「なんだとぉ! ホモだったのかお前は……てっきりレズかと思ってたのに! 一体何者なんだお前は、ホモレズなんて、両性族か!? せっかく高値で売っぱらおうとしたのに、パーじゃねぇか!」

「あなたたち、いいかげんその発想やめてよ!!」

 ホントに大バカなんだから!

 ちなみに両性族とは、水中と陸上で住む両生類の者とは別物、天変地異が起きた時、現れた男性と女性を持つ種族のことを指している。

 神によって創られ、その進化過程はなく、形は人であれど人でない始祖動物だ。

 もちろんのこと、オレは人であって、断じてそれではない。

「えっ、両性族! ……なら性転換しなくても女の子じゃない。よかったっ!」

「両性族なら学者に売っちまえば、カネになるな!」

 付合いきれない。

 かってに想像して、かってに嘆いている二人をそこに捨てて、オレは一人歩き出した。

 こんなのと一緒にいたら、できることも出来ない!

 ……

 ……丁度、いいところに待っていてくれてどうもありがとう。

 行く手を阻むように褐色の女――ジェシカがなぜか仁王立ちで道の真ん中にいた。

「待ちな。ここから先は一歩たりとも通さないよ」

「通らないよ……」

 半歩ならいいの?

「……いい心がけだ」

 どんな心がけだ?

 ジェシカはそう言うと挑戦的な動作で戦斧をオレの前に出す。

「決着をつけに来たよ。おとなしく勝負しな」

 おとなしくしてちゃ、勝負になんないと思うのだが……どうなの?

「売るですって! なに考えてんのあんた、アデュと私は一心同体なんだから、いくらアデュのことがスキだからって引き裂かないでくれる!」

「んだと、ババア! 俺のビジネスの邪魔すんだったら、てめえも売っちまうぞ!」

「お、おい……」

 オレの後ろで騒いでる二人を見て、ジェシカがガックリとした表情で話しかけて来た。

 そりゃそうだ。今から戦うって言うのに、外野であんなに派手に口論してたら気分がでない。

 それ以前にアイツら一体なんの話をしているのか。

「場所、変えないか?」

 ジェシカの提案にオレは深く頷いた。


 場所を移して森の中、街道を深く分け入った所でジェシカは立ち止まった。

 所狭しと木が立ち並び、戦斧を使うジェシカにとっても、巨大な曲刀を使うオレにもキツイ所だ。

 まだ好都合なのが不規則で生えていることだろうか。

 広めの所に陣どって、有利に戦いたいものね。

 オレの考えを察してか、ジェシカは木を根元付近で切り倒した。

 斧だけあってパワーは強い、一発で倒れてしまった。

「手伝いな……お互い全力で戦う、不利に戦ってたら面白くない」

 律儀と言うか……そこに一大きこり大会が始まった。

 ほんの少しだったが木を切り倒したおかげで、足場は悪いが円の試合会場が出来た。

 ジェシカは円の中に倒れている木を片手でほおり投げて、掃除するとオレを直視した。

 始めるか……と言っているのだろう。

「勝負!」

 木の根を蹴って飛び跳ね、ジェシカが斧を振りかざす。

 怪獣並みの腕力を見せつけられたばかりで、斧を受け止める勇気は湧いて来ない。

 打ち下ろされる斧を横に軽い足取りで交わす。薪割りのように切り株を断ち割り、地面に深く突き刺さる。

 チャンス、と普通は思うがそうではない。はず?

 片手で木を持つんだ両手ならそれ以上、一般人には重い戦斧でも彼女の場合、ナイフ同然だろう……たぶん。

「このやろぉお!」

 吼えるとホントに軽々と斧を持ち上げた。

 一度目に剣を交えたが、その時は本気を出していなのように強い。

 二つに割れた株の一つを蹴り上げ、斧で打ってくる。

「ウソォ!」

 打たれて来る根をなんとか交わす。人間業じゃない。打つことではなく、打って来た根の飛んでくる速さだ。

 小石を思いっきり投げたのと同じかそれ以上ある。一発くらっただけでもいちころ、骨が折れるどころか身体が真っ二つに裂ける。

 こっちも逃げてばかりじゃ、相手の調子が上がっちゃう。

「ジェシカ!」

「なんだ! 命ごいか!」

「そんなことしてたら、お父さん、お母さんが悲しむよ。乱暴に育っちゃいけません! 若いんだから、まだやり直せる」

「何を言っているか?」

「心理作戦よ。相手を動揺させ、隙を作るの」

 自信満々で言ってやったり、どうだろう聞いたかな?

「バカめ、あさましい手を使って! 敵に話したんじゃ意味ないだろ!」

「おお! 盲点!!」

「……所詮お前もバカどもの仲間、バカに変わりないか!」

 し、失礼な、バカどもと一緒にしないで。

 まだ抜き放っていなかった月夜見を抜き、睨みつけた。

「その瞳だ! その瞳を待っていたんだ……(かわいい顔して、目が据わると以外に怖いな)」

 ……

 二人の間に真剣が生まれた。

 二つの闘争心に怯えてか、小鳥のさえずりすら聞こえて来ない。

 ん? 当たり前か、木ぃ切ったのにいるわけないね。

 一瞬の気の緩みをジェシカは見逃さなかった。

 ジェシカは猛然とダッシュして来た。途中上手く切り株に足をかけ、更に速さを増して来る。

 次は受ける。そうさっき心に決まった。

 攻撃の威力が強いぶん、ミスった時のリスクが大きい、さっきの薪割りに似たのもそうだ。ちょっとだけだが隙間があいた。

 受け流して、一気に決着つけてやる。

 ジェシカが間近に迫る!

 身体を回転させ、斧に遠心力をつけた。

 回っているジェシカの顔が正面に来たとき、薄く唇をまげていた。

「してやったぜ!!」

 いうと同時にジェシカの動きが止まる。回転してる所でハプニングか急停止したのだ!

 月夜見の弧の部分に斧の刃が垂直に辺り、それに沿って受け流そうとする。

 しかし、考えが甘いのはオレ自信だと言うことを知った。

 ジェシカが止まったのは、意図的な行動。

 ダッシュした運動量と回転した運動量を急停止することで、斧に全て預けプラス、身体の進もうとする力も乗せて攻撃して来たのだ。

 最後の最後で軽軽しくそれに触れたオレが、流す間もなく吹き飛ばされることになった。

 背中から木の幹にぶつかって行き、呼吸が止まり脈が乱れる。

 不運にも若くて丈夫な木に当って行ったため、反作用で全神経が痙攣するほどの痛みが襲ってくる。首打った……。

「マズ……」

 今の一撃で月夜見がどこかに飛ばされてしまった。

「あたしの勝ちだ! これで成功報酬はあたしの一人占めだ。アハハハハ! 昨日のウェポンを潰したのはすごかったが……所詮だな」

 バカね、この女は……誰もまだやられたなんて言ってなし……成功報酬? そして、ウェポンを送り込んだのはこの女か。

 こうなれば、怒りの一撃でも竜に吼えてもらわないとダメかな……?

「じゃあな。若いS.C.どの」

「ああ?」

 オレこの女に身分のこと話たっけ?

「今……僕に向かって刃物を投げたのは、誰だ……」

 また、声がした……今度はどんな変人? わりと涼しげな声だが。

 オレのぶつかった木の後ろから現れたのは女……男だった。手には月夜見を持っている。

 オレンジの混じった優しい金髪にウサギのような赤い瞳をした綺麗な顔の男だった。

 人ではなかった。頭から生えているのは先の尖ったまぎれもない動物の耳、なに人かははっきりしない、人の血を多く受け継いでいる。

 男は……全裸に青、紫色が主の鎧を装備した、薄での風貌、と言うよりやたら露出した、神秘的ならぬ、怪しい露出症スタイルだった。

 夏は過ぎて、熱いと言うわけではないのだが……?

「この高貴なネコと言われるガルシアのチンチラの血筋を持つ僕に嫉妬する者は、誰かと聞いて入る」

 ネコ? フィライン猫人族か……。

 確かナルシストが多いと聞いているが……これもそうか。

「おい小僧、お前か嫉妬した者……美しい顔だ。僕に劣っているが……と言うことは嫉妬したのは貴様だな、野卑で臭い女」

「野卑、臭いだと? フン、誰がお前みたいな変態野郎に嫉妬するか気色わりぃ!」

「ククク、美的センスの欠片もない者が。美しい僕の魅力を計るには、知能が低過ぎたようだ……小僧くんならわかるよね、僕の美しさが」

 悲しいな、変態の性は……。

「さっぱし」

 ハッキリとよく聞こえるように言ったオレの言葉を男はムシして、月夜見を木に投げつけた。オレの愛刀!

「さて、小僧くんも僕の美しさを褒め称えてくれたところで、貴様……汚いドブに住む者よ。永遠に日の目を見せるわけにはいかない……」

 男はそう言うと両手を突き出し、なにやら呟き始める。

 これは……魔法!?

 ってことは……リビド・ヒューム自己保存本能か?

「マシス リック フレイム! スティム ソール フレア!  

 そら天に仕えし、神なる者! 悠久より咆哮せしえんしん炎神、バルカン!」

 おお? ちょっと……。

 オレが言葉を出すより速く男は動いた。

「ウルカヌス!!」

 唱えた魔法は、男の最後の発進スイッチ『ウルカヌス』に反応して、手の平に神々しい太陽に似た光を出した。

 辺りの空気を赤い余波が燃やし、男の足もとの草が煙を吐いている。

 熱せられた風は、始めてそれを見るジェシカの頬を焦がす。

 威圧と灼熱で動くことが出来なくなったジェシカを容赦なく男は狙う。

 空中に止まっている光を押す、以上なまでに加熱し重い重力を持ったそれは、見た目以上に強く押さなければならない。実際、男の動きはスローだ。

 ちなみにオレも一度この魔法を使おうと試みたの、結果……あまりの熱さに耐え切れず力を暴走させ全身を火傷し、一ヶ月間苦しんだ思い出がある。

 それから魔法と言うものがスキじゃなくなった。

 ようやく押し出された光はジェシカを目指して、地面を黒く焦がす。

 止まっていた時間が動き出すように、ジェシカは逃げようとしたが光の起こす風で身体が煽られ上手く走れない。

 光の爆発! 

 暗闇の中から出て、太陽を見たとき以上に激しい光が瞳孔を貫き、熱閃が肌を焼きつける。

 初めて成功したウルカヌスを見るのに夢中になって、爆発のとき目を開いていたから、ジェシカがどうなったかわからない。

 真っ白な視界はどうしようもない。

 そんな中、男の笑い声だけが聞こえて来た。

 リビド・ヒューム自己保存本能……。

 通称リビド。ハッキリしたことは、確認されていないが、不安と崩壊に働く防衛機関といわれている。

 トラウマを持ってないのに生まれつきの多重人格者や、前世の記憶がある残っている、などに働く作用で、新しく生まれた自分を守るために、生まれてすぐ無意識の内に精霊を取り込み、それから防衛するらしい。

 異物的自分が巨大な力を持っていれば、それに比例して取り込む精霊のランクも上がっていくらしい。

 『らしい』と言うのは、誰も真実を知らないからである。研究している者もいるが、さっぱりのようだ。

 オレもリビドだから、それなりに調べて見たんだけどね。

 そして、魔法。

 すぅごく昔には、皆が使えたものなんだけど、今はその資質が薄れていって、どんな種族の者でも使えるのは一兆人に一人の確率らしい。

 普通じゃない者、リビドが精霊を取り込む副作用で使うことが出来る。

 実際の話、リビド自体少ないから、魔法なんて知っている人いないんだけどね……。

 

視界が開けて来た。

 やっと物が見えるようになって、前を見るとなぜか男がオレの顔をまじまじと見ていた。


 ホモ……と思ったが、ナルシストは自分以外スキにならないから、違う意味があるのだろう。

「な……にか?」

 視線が繋がっているって言うのも、進展がないし、とにかく話しかけて見た。

 ……。

 ムシするし……。

「美しい……君、メイクはしているのか?」

 はい? メイクって、お化粧のこと言っているんだよね?

 ……あなた男なのにそんなのしてるの!?

「返事がないところを見るとしていないようだな。よし! 僕に任せろ、君は素顔がいいからメイク次第でもっと美しくなれるぞ!」

 メイクって、なんでオレがそんなことしなきゃいけないんだ。

 かってなことされてたまるか。

「結構。オレ急ぐから」

「なに! 君は僕の親切を裏切るつもりか」

 大きなお世話だってーの。

 こんなのに構ってたら、すぐに時間がなくなってしまうよ。前例あり。

 そう言えばあの二人、どうしてるかな……まだ、口ゲンカしてたり、ありえるかも……

「そうか……わかった」

 う……以外と素直。

 今までのと反応が同じじゃないから、拍子抜けしてしまう。

「名前を名乗ってなかったから、急ぐんだな! 聞くがいい! 僕の美しい名前を!」

 聞きたくないし、急いでいる理由も全然違う。

「ルージュ・ビィショットだ。君の名前はときになんだ?」

「アデュ……」

「したは?」

「カーレン」

「アデュ……可憐?」

 オレは木に刺さっている月夜見を取ると、あることに気づいた。

 そう言えば……ジェシカの姿が見えないの……だが?

 辺りを見渡しても、ウルカヌスが焦がした土の後以外見えない。ジェシカがいなくなる前に立っていたところは他の焦げより黒い円が出来ていた。

 亡くなった? ゴーン!

 死んだ! ホントに死んだの? 

 もしそうなら、オレは深い絶望を感じてしまう。マリリンがどこにいるか、わからなくなってしまったと言うことになる!

「あ、あ、あ、」

 どうも声がでない。

「あ? なんだ? あなたは美しいだって、その通り。もっと誉めていいぞ」

「違う! ルージュ、ジェシカがどうなったか知らないか?」

「ジェシカ? あの女か……しらないな。美しくないものは見たくないし、覚えたくない主義だから」

 役立たず!

 いーや、もしかして役に立ってるかもしれない。

 木の間に赤い陰が見え隠れしている。

 身体のほとんどが赤に染まり、特徴的な計六本の腕、見間違えることなし! マリリン。

「フンフフン。フガー!? なんだこりゃ、物音が聞こえたから来て見れば、なんだナ!」

 相変わらず、のん気な口調と言うか……とにかく、マリリンに周りに強暴な同族がいないか聞いて見ないと。

 オレは、なんとか話し合おうとゆっくり歩き出した。

 しかしできるのかな。木は切る、土も燃やす、ジェシカも殺した? 何と言い訳したらいいのか。

「マリリン、話を聞いてくれ、実は、ここの木一帯何者かの毒牙にかかってしまって、切らなきゃいけなかったんだ。

 そして土は焼き畑農業できるかと……。

 ジェシカは、鳥になりたいって言ってね、ハハハ……は?」

 オレの素晴らしい言い訳なんか、サッパリ聞かないでマリリンは、俯いたまま地面に伏せた。

 身体が震え、髪の毛が意思を持ったように徐々にヘビの動きになっていく。

 髪の毛が動いている時点で、怒りモードに入っていると思う。

「許さないナ……人間なんて……どれも同じ。木だって、土だって生きてるのに、なんでもかんでも自分の思い通りにしようとする……全部、全部、ぶち殺してやる」

 ぶち殺すって、物騒なことを……あれ、口調変わってないかい?

 表は能天気でも、裏の顔は殺戮者なんてあり?

「エクセインも同じ、アタシの同族殺した……アタシも殺す、一人残らず。

 アデュ、ウソつき……悪人……コロス」

 マリリンは、完璧に別人になった。性格もそうだが、身体から出るオーラさえも、異なる物になってしまった。

 オーラは、その人をあらわす一生変わることがない物と聞いている。

 その法則を打ち破った、マリリンはスゴイ。

 なんて冗談言ってる場合じゃない、殺されてたまるもんか。

 にしても……エクセインが同族を殺した? 裏がありそうだね。

「おい、アデュどうなっている。説明してくれ……言って置くが聞くだけだぞ。僕は綺麗な身体を傷つけたくないんでね」

 あっそうですかい。

 この緊迫して来た雰囲気のなかで、自分の肌のこと考えているなんて、根性あるな。

 ルージュはオレの後ろに隠れながら、月夜見を鏡にして、自分の顔を……見ていた……。

「ええっと、何を説明すればいいのか?」

「美しいか、美しくないかだ」

 そんなのわかんないよ。蛇人族の容姿なんてどれも一緒だろ、どんな気持ちで見ればいいんだ?

「マズイ……とでも言って置くよ」

「なるほど……敵か」

 マリリンは身体を起こしながら、腕を土の中に潜り込ませる。顔には黒い模様が浮かび上がり、瞳は紅蓮に燃えていた。

 身体全体が怒りのせいか変貌して行く、と言っても、顔と同じ模様が上半身にも浮かび、下半身の蛇の鱗が逆立ったと言うだけのこと。

 土に突っ込んだ腕をゆっくりと持ち上げ、それを見せた。

 そこに埋めてあったのか、土の成分を固めたのか、六本の腕には鐵を塗ったような剣が握られていた。

「おい……何か来るぞ、僕の後ろから」

 ルージュが耳元で囁いた。そして……まゆ毛書くな、バカ。

 こともあろうにこの男、メイクを直しているではないか。確かに、ウルカヌスを放った時、熱さで汗を掻いたかもしれないけど、それはないよ。

 後ろから来る……?

 オレの予想が正ば、奴らに違いない!

「見つけたわ! マイスイートハート!!」

「置いてくなんて酷いぜぇ! 相棒!!」

 誰が恋人だ。

 誰が相棒だ。

 予想通り、シンシアとウィルシュだった。

 二人は、再会を喜んでか抱きついてくる始末、どう見ても変態の団体にしか見えないだろう。第三者のルージュも十分変だし、オレはノーマルだけど。

「あー!! また、愛人作ったの。この浮気者、今度は露出症じゃない」

「またか……今度はクソネコ野郎族か!」

 おや、ウィルシュがいつものカネのことじゃなく、悪口言ったぞ。なんか起こりそ。

「ん、貴様は、腐れイヌクソ汚いゲス野郎ではないか!」

 知り合いか?

 ウィルシュとルージュは鼻がくっつきそうなくらい、顔を近づけて、睨み合っている。ルージュは美しさを求めていないようだ。

 もしかして、イヌとネコだからいがみ合っている……なんて、童話じゃあるまいし……。

 オレの考えはもろくも崩れた。

「クソイヌ、僕の美しさにひれ伏すがいい!」

「んだとクソネコ、ノミまみれになって、笑って死ね!」

「クソイヌ!」

「クソネコ!」

 その後クソクソ汚い言葉で二人はいいあい続けるのだ。彼女が動くまで……。

「やあねぇ、アデュ。そんなクソクソって、クソ動物じゃない。とっとと別れて私の所に戻ってらっしゃい」

「んだと、このクソアマ!」

 見事。シンシアの言ったセリフで二人のケシンシアを交えた三人になっちゃたよ……。

 効果なし、ミイラ取りがミイラになった。

 もちろん、シンシアは始めっからミイラを取ろうとしたわけではない。

 二人の関係ない所で話したことが、ただ引火しただけ。

 見苦しい。

「ちょっといいかナ?」

 不意に肩を叩かれて、振り返るとそこには赤い蛇人族の姿があった。

 攻撃しに来たわけではないようだ。身体を覆っていた怒りのオーラも、のん気だったときのに戻っている。

 怒りが、バカのおかげで静まった?

「戦う気あるのか?」

「ない!」

 ハッキリ、キッパリ答えた。

「そうか……お前たち、おかしいぞ、変だぞナ。どうも戦う気が起きないんだナ」

 マリリンは、剣をどことなく地面に突き立てるとシッポを丸めて座った。

 つられて、オレも月夜見をなかったが座る。

「ねえ、一つ聞いていいか? 変ってオレも入ってる?」

「オウ、入っているぞ。前、抱いたとき知ったんだが、お前男だナ。それなのに女の格好しているなんて変だナ」

「抱いたああ!?それ本当なの、マリリン!」

 ケンカを二人に任せ、オレらの話にシンシアが割り込んできた。

「オウ、抱いたぞナ」

「な、な、な、な、な、なんてことするのよ! いくら友達でも、人の恋人と、そ、そ、そんな、いか、いか、いか、如何わしいことを……!」

「……?」

 マリリンはなぜがオレに救ってくれと言う視線を投げかけてくる。

「友達だったの?」

「アデュ! 知らないで抱かれたの?」

「あのね。抱くって言う意味、食い違ってるよ。たぶん……持ち上げたの意味でマリリンは言ったのよ、ね」

 オレのフォローにコクコクと首を振って対応する。

「そうなの……そう……そうだよね、アデュが浮気するなんて、私信じているわ。いつも私のことを思ってくれてるって」

 なぜそっちに進む!

「クソイヌ!」

「クソネコ!」

 まだやってたの……。

「で、エクセインが何かしたの? さっき言ってたでしょ」

「エクセインっておん――ムガっ」

 エクセインって女? と聞くつもりだったのだろう。シンシアの口を塞いでそれを阻止する。せっかく、話を元に戻しかけたのに、捻らせてたまるもんですか!

 思い悩んだ顔で、マリリンは語り始めた。


 名のない街の崩壊……。

 2年前のことだ。そいつがマリリンの住んでいた街の人を無差別に殺して言った。

 街は、深い霧と夜が覆う森の中にある。自炊しているため、人里に下りることもなく、街の存在すら人はしらないし、怪しい森になんか入るはずもない……そいつ――エクセイン以外は……。

 たった一人、森を抜け街に来た瞬間、殺戮が始まった。子供だろうが年寄りだろうが関係ない、地面に三角形が交わった六紡星を描き、モンスターを呼び出し、墓地まで消滅させたと言う。

 その光景はマリリン自身見ていないらしい。

 赤い皮膚を持って生まれたことと、生まれを神が告知したことで、街の中で異質な存在だった。悪い意味ではなく、いい意味で特別対偶を与えられ、豪勢な生活をしていたらしい。マリリンがシンシアと知り合ったのは四歳だとサ。今は二人とも一九歳らしい。

 いち早く危険を察知した者、数名が神に加護を受けたマリリンを世界に逃がしたと言う。

 数日後、街を探したが街は見つからなかった。代わりに街のあった場所が紅蓮の土に覆い尽されていた。

 呆然と佇んで見ているマリリンの後ろにエクセインがいた。穏やかに微笑んだ顔のくせに冷たく一言呟く。

「お前も死ね」

 逆上して襲いかかるマリリンに容赦なくエネルギーの雨を降らせた。

 死ぬ! と確信して、それに打たれたマリリンだったが、なぜか痛くも痒くもない。当る感触はするのだが、わっとした、マッサージされているみたいで気持ちよかったと言う。

 エネルギーが赤い土を焦がし、煙を立たせる。煙と雨が治まったとき、エクセインの姿はなかった。

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 それから2年、ちょくちょくマリリンの前に現れては消え、現れては消えが繰り返し続き、ちょっと仕返しにマリリンも攻撃に出たのだ。それが、街に運ばれるはずだった食料であることは言うまでもない。

「とまあ、大雑把で悪いけどいいかナ?」

「……オーケー……」

 オレはガラにもなく、腕を組んで考えていた。なんか、引っ掛かる所がちらほらとあるのよ……。

 モンスターを呼び出した……? エクセインもリビドかと思ったが、呼び出すときに魔法陣のようなものを描いた……精霊を呼ぶのにそんな物描かなくてもいい。オレや他の人が出すときは、呼べば出て来た……と言うことでリビド説は却下。

 マリリンの話、魔法ではなくエネルギーとあった。リビドでないかも……と言う以上、魔法は使えない。言ったいエネルギーとは何……?

「アデュ、聞くがエクセインのことなんで知ってるナ」

 マリリンが不信そうな目でを見つめてくる。

「オレの依頼主だよ。赤い蛇人族を殺せって言う」

 正直に白状した。ウソついてなんになる、いずれにしても直談判しないと……?

 アララ……マリリン、目ぇ据わってるぞ……。

「マリリン! アデュを疑う気? アデュは私のプライベート・ガールよそんな、へなちょこなエクセインとか言う人の仲間なはずないじゃない、ねぇ」

「仲間じゃない……それはそうだ」

 なんで仲間になんなきゃいけないの……て

ゆーか、プライベート・ガールって何?

 そして、意味不明なシンシアの言葉でマリリンの瞳の色がよくなった。

 信じれるのか……? それで……

「なあ……」

 ケンカを終えたのか、ウィルシュが声をかけてきた。ちょっと清清しく見えるのは気のせいか?

「試験どーすんだ?」

 あっ……あまりにも和み過ぎて忘れていたが、どうしよう。今更、戦おうなんて、雰囲気的にも精神的にも苦しい。

 まあ、いいか……と言いたいところもあるが、一回試験すべると、筆記からやり直しだし、出される問題も、二回目受ける人の方が難しいて言うし……でも、殺すわけにもいかない。

「試験って何ナ?」マリリン。

「何?」シンシア。

「別に聞きたくもないけど……その剣貸して、バカイヌのせいでメイクが落ちちゃった」

 ルージュ……。

 しかたなく月夜見を貸そうと手を伸ばしたとき、身体に電流が走り大きく揺さぶられた……と思ったわけであったが、ホントは木が倒れるくらいの地震が立続け何回か起こった。

 どんどん震源地が近づいてくるのがわかる。どうやら足音のようだ。

 しかし、木が揺れる足ふみって、いったい。

 そいつはぬっと顔を出した。

 木が立ち並ぶ、てっぺんの間から……。

 

「で、でけぇぇぇぇ!?」

 何本か木を薙ぎ倒して、現れたのはウィルシュの言った通り『デカイ!』の一言だった。

 人であって人でない、似て非なる種族、ティターン巨人族である。

 木よりも長身で五頭身。頭がデカク、オレの身長と同じくらいある。

 ダークブルーの不気味な皮膚、灰色に近い緑色の長髪を後ろに撫で、なぜかまゆ毛が生えない種族である。

 瞳は、瞳孔もなにもなく全部が真っ赤に染まっていた。

 短気で単細胞、力バカで石頭、いつも怒った顔で、ケンカっ早い。お近づきになりたくない者の一つだろう。

「あのアマは、待てとか言うとったが、ワイの力で捻り潰せないもんなんてないんや!」

 腹の底が沸騰しているような、重い声で自信たっぷりに言って来た。

 これは独り言と考えなくていいのかな?

「知り合いナ?」

「まさか、恋人!? なの、私と言う物がありながら…… このバカさんたちは、聞……。

「知り合いでもなければ、恋人でもない……カネヅルでもないし、ましてかかりつけの美容師でもない!」

 イヌとネコの口が動きそうになったのを感じて、言いそうな質問を聞く前に答えた。

 案の定言うつもりだった二人は『なーんだ』と興味が薄れたように化粧直しや木に寄り掛って寝ようとする。

「おい……ヘビ女、前に出え、貴様にだけようあんのや。他は死にとうなかったら、消えろ、目障りやさかい……」

「あのね。ウド!」

 名前がわからないので取りあえず、ウドの大木から取って、ウドと言っておこう。

 オレは鏡に使われていた月夜見を手に取ると、ルージュの批難をムシしてウドを指差し。

「マリリンが殺されるのを見てろってことならお断りだね」

「お前は……エクセインに雇われたもんやな。なんで、赤い蛇人族の肩もつようにになっとんねん? ワレ裏切ったんやったら、ぶち殺すで!」

 重い声質だから、なに言ってるかわかんないよ。胃液吸収するぞ。

 どうやって……?

 そして、なぜオレがウドと言ったことに反論して来ない。

 ウドは右手をゆっくりと上げた。手には太い鉄製の棍棒が握られていた。ティターン巨人族サイズに拡大され大きさではない。

 それを重力に任せて地面に叩きつける。身オソルルニタラズ感触が襲い、ウドが棍棒を浮き上げると地面には叩きつけた後がくっきり残っていた。

 重力だけでそれだけの威力があるのだ。力バカのティターン巨人族が降り回したりしたら……考えただけでおぞましい物となろう。

 しかし……。

「しかし! こっちにもいるよ! マリリン、身体を伸ばして、全長ならマリリンの方が長いはず! ピーンと張って!」

「んでそーなんだよ。お前、普段は飄々としてるけど、かなりバカじゃねーの」

 後ろから頭を小突いて、寝たと思ったはずのウィルシュがツッコミを入れて来た。

 そうなると……

「あんた、なにすんのよ! アデュに恨みでもあるわけ!?」

 黙っていないのが、………シンシアである。

「ああん? 恨みなんてあるに決まってんだろ! それにボケにツッコミ入れんのは当たり前だって!」

 まあ、オレもィルシュの意見に賛成するな。

 ボケてる人見ると、ムショーにツッコミたくなるもの……人の性かしら?

 何を思ったかウドは足を地面に叩きつけた。重い響きが身体に伝わってくる。

 いくらバカでもティターン巨人族は止められないのか……? 怒りの顔はいつものままだけど、怒っていると意思表示かなんかかな。

 ……イヤ、歩いただけだった。

たが、一歩前に足を出した、それだけだ。

「お前ら、ほんまバカやな。漫才で食っていけるんとちゃうか? まあ、死ぬ奴らに何言うと、走り出した。

 足が短いから、距離がなくても大丈夫のようだ。でも、足出すんとかなんないかな。

「グオオオ!」

 鼓膜が弾けそうな大音量で叫ぶとウドは両足ジャンプで高く飛びあがった。

 巨人の視点ならそれほど高くないだろうが、人の目で……見る……と!

「めちゃくちゃ高いぞ! 落ちて着たらマズイんじゃないのか!? クッソオ、カネにもなんないことで死ねるか!!」

 だそうだ……。

 そんなこと言ってる場合じゃない。

 あの巨体がヒュウウなんて落ちて着たら、地面はへこむだけですむかもしれないけど、オレたちなんかが下敷きになったら、紙以下、グロテスクに死んじゃう!

 それだけは何としても……!

「フッ……しかたがないな。君たちがどうなろうと知ったことじゃないが、僕に被害が及ぶのは許されないな……」

 そう言うとメイクを直したルージュがおもむろに立ち上がり、空のウドを直視した。

「テイク スティル エア! カム フィール ドライヴ!

 海を渡り、空を行く者! 過ぎ去りし流れ風神、オファニム!

 フライ!」

 滑舌よく一呼吸で読み上げると、空にいるウド目掛けて解き放った。

 普通は自分が空を飛ぶために使う物を相手に向かって放ち、動きを封じようとしたのだろう。なにせ相手はバカだし……。

 しかし、それは落ちてくるスピードを遅くしただけになってしまった。

 ウドの体重が重すぎるのだ。

 ……くそう!

 キライだなんていてられない。

 魔法の方が力負けしていると言うことは、魔法事態がなくなってしまう可能性がある。許容範囲オーバーで……。

 思うよりはやく口は動いていた。

「ペルト ハード ブラスト! エアァ カム フィール ドライブ!

 ……ウインド!!」

 オレの放った風の魔法は、ルージュの風を取り込み、ウドの周りを物凄い速さで走り出した。丸く球を作らせ、空中にウドを縫いつける。

 魔法の呪文が二つのパートに別れるなら、一つは属性と作用に関係し、もう一つは、その力を借りる者に敬意を表して言うらしい、それによってパワーもアップするのだが、基本的に言わなくても発動させることは出来る。

 学校で聞いた話だとね。

「おい……君も……魔法が使えるのか?」

 以外なのか、絞り出すようにルージュが聞いて来た。

 確かに、ジェシカに殺されそうになったときも使わなかったし……驚くよね、いきなりだし。

「ってことは、君も……」

「リビド・ヒューム自己保存本能……」

 ルージュの言おうとした言葉を続けてオレが代わりに言った。

 その言葉にルージュの自信たっぷりな人を見下した表情が綻んだ……ように見えたのだが、すぐに元の表情に戻った。

「なんだ……君みたいな女少年までリビドだったのか……ショックが大きすぎて、太陽が燃えているよ」

 太陽は、最初から燃えてるって……。

 つっこもうとしたけど、なんか綻んだ顔が気になって、言い出せなかった。

 ザンネン……っ。

「おい……どーすんだこれ、ずっとこのままにしとくのか? いらないんだったら、どっかバトル・オフィス闘技会社に売っちまおうぜ!」

 闘技会社とは、闘技場と言われる円形の建造物を持ち、モンスター対モンスター、モンスター対人間また他の種族、モンスター以外の者の戦いを賭けたりする、娯楽施設を運す道楽る会社を言う。

「賛成だね、殺すよりそっちの方がいいかな」とオレはウィルシュの意見をのんだ。

「アデュがいいって言うなら、私もいいわ」

 シンシアもなぜか抱きつきながら、言って来た。

 もし反対者がいたとしてもウィルシュを止めるのは不可能だろう。だって、自分が提案した時点で、いくらで売るか勘定してるし。粉砕は反対だ!! なんでイヌの言うことなんて聞かなきゃならない。売るならサーカスに売った方が見せ物になっていいと思うけど」

「バカかお前、サーカスなんかに売って、暴れたら誰が止める、闘技会社に売りゃ、こんなんよか強いモンスター一杯いるから止められるし、そっちの方が高く売れんだよ。だからネコは、自分勝手なんだ!」

 それに真っ向から反論したのは言うまでもなくウィルシュだった。

 イヌ、ネコ関係あるなし置いといて、カネのことでルージュがウィルシュに勝つことな

 ネコ、もといルージュは立てていた耳を倒し、ムスッとした顔で、オレを睨んで来た。

 ……なぜにオレを睨むの?

 睨むと言うより、助けてくれって哀願しているようにも見えるのは気のせいか……?

「で、でも、売るって言っても、この地域一帯にそんな会社なかったはずだったよ。他の地域の会社に売るとしても、そこまでもって行くのは不可能……」

 最後に『じゃないけど』をつけずに嬉しそうに勘定しているウィルシュに言ってみた。

 心なしか、ルージュの耳も起きたように思える。

「エッ! マジかよ。そう言えばこの地域ってそれ系の会社進出してなかったけ、ああもう! どおすんだよ、せっかくのカネになるもんなのに!!」

「ふふふ、だからイヌは甘いんだ。どうだ参ったか!? 諦めて、僕にひれ伏せばよかったものを!」

 元気を取り戻したルージュは、攻撃を開始した。つーか参ったかって、あなた何もしてないじゃない!

 反対にウィルシュがしぼんで萎んでしまった。しかも、オレに視線を合わせてくるし……。

「ハハハハハ! 面白いな、お前たち。見てて飽きないナ」

 振り向くとマリリンが六本の手で顔を押え、笑っているではないか!?

 そう言えば、マリリンが笑ってるところって見たことなかったよ。

「マリリンが笑ったの始めて見た!」

 シンシアもそれに気づき、驚きの声を上げた。およそ一五年付き合っていて、一度も笑っている顔を見ていない!? と言うことはそれほど珍しいものなの?

「何がおかしいんだ……? 俺がこんなに苦しんでいるのに……」

「まったくだ。君と意見なんかがあうのは、世界が一億回崩壊してもイヤだけど、その通りだ……」

 不思議そうにオレも含め三人は、マリリンを遠い目で眺めていた。

 マリリンの笑いのツボと言うのがよくわかんない。

 別に面白くしているわけでもないし、オレも楽しんでいるわけじゃない。むしろ、変な二人に挟まれて、苦悩しているほうだよ。

「フフフ、ホントにおかしいナ。アー! おかしい、こんなに笑ったの生まれて初めてだナ……あ、ホントに笑うこと事態初めてだナ」

 ああ、そうかい……。

 バカにされているようで、なんか複雑ゥ……。

 マリリンの笑いにまき込まれて、オレ以外の動物はつられて笑っていた。なぜか?

 オレは、どうもこの笑いと言うものがよくわからない……人と笑いのツボが違うのだろうか?

 それとも、オレがまとも人間だからだろうか、雰囲気に本能的に飲み込まれないようにしていた。

 上に敵がいるのに、のん気に笑うことなど出来ない。

 それに……。

 なんだろう……イヤな……予感が……する……。

「アハハハハ……はッ……!!」

 笑い声を上げていたマリリンの顔が止まった。

 楽しくて、嬉しくて、軟らかな笑顔が崩れ去る。瞬間、彼女の顔は蛇のような鋭い憎悪を激しく振り撒き悲しみに頬を濡らした。それもつかの間、一瞬の出来事だった。喜怒哀楽のこもった表情は、ドライアイスに漬けられた、バラのように生命のある、無に帰った。

 彼女の異変はそばにいた者の時間を凍りにかせ、静かで冷たい空気で満たしていく。

 彼女は体を震わせた……。

 涼んだ風は彼女を揺する。途端に視界がピンク色になってオレやみんなは飲み込まれて

 マリリンの首が後ろに傾き、空を見上げ身体から離れてい……く?

 火山が噴火する以上に熱気がオレを爆破して……。

 絶叫が上がる! 笑い声も上がる! 花火のように連続して音が唸りを上げて、頭の中を駆け回った。空気が燃える。ごうごうと渦を巻いて、オレを打つ。

 もうなにを考えているのか、サッパリわからない。誰がなにをしているのか、何を言っているのか……そんなものは関係ない、目の前の事実をオレは受け入れなれなかった。

 さっきまで、場を和ませていた物が銀色に割れ、彼女は自分を見せることが出来ない、なにもかも透けている空気になってしまった。

「アーハハハハハ! これで成功報酬はあたしがいただきだ! アデュ、あたしのために殺すのを手伝ってくれて、ありがとう!」

 オレの目を覚まさせたのは、『ありがとう』と言う言葉だった。

 なぜ、ありがとう!

 なにが、ありがたいの!?

 殺しの手伝い?

 成功報酬!?

 崩れ去ったマリリンの身体の向こうに死んだ……とは言っていないけど、ジェシカがいた。手には戦斧が握られている。

 マリリンの身体から吹き出したピンク色の血を浴びても、なんの悲しみも見せていない。むしろ、喜んでいるふうに見えた……。

「どう……言うこと!?」

 オレは沸き立つ動揺を押し殺して、声を絞り出した。

「どうって、なんのことを言っている? 質問はたくさんあるんじゃないのか? お前の聞きたいことなどわかるものか?」

「どうして、マリリンを殺したんだ! あなた、一体なんの……目的で……マリリンに雇われたんでしょ!?」

 オレの質問にジェシカは唇を歪めた。

「マリリンに雇われた? 表向きはそうかもしれないがな。本当はエクセインに雇われていたんだよ! アデュ! お前はエクセインの思い通りに動いてくれたんだ。全て、エクインは知っていたんだ、結末はどうなるかね」

 エク、エクセイン……!

 あの女、やっぱり裏があるとは思っていたけど、こんな、こんな、オレをハメやがった。

 ……イヤ、オレも元々殺さなきゃいけなかったんだけど。

「女は恐いぜ! 特にあのエクセインって女はS.C.を利用して、役に立ちそうなお前をここに来させたんだからな!」

「なに!?」

「あいつはS.C.の中にも知人が多い。裏傭兵操ることなんて、簡単らしいぜ。ヘヘヘ」

 膝を地面につけオレは崩れた。マリリンから流れ出た血がオレの足に生暖かく絡んでくる。証拠

 出来ない……少しも身体を動かすことが出来ない。足に、手に腰に力を入れるが上手くいかない。

 激しい地響きが起こった。身体が地面から離れ、また落ちる。

 オレが作った風の呪縛から離れたウドが、落ちて来たと言うことはすぐにわかった。なにかジェシカと話しているが、耳から耳へ素通りしていって内容が聞こえない。

 マリリンの血の温度が上がっている気がして来た。気のせいではない。彼女の血は生きているように温かさを消さずに反対に熱気を帯びていった。

 虚ろな瞳だろう、自分で自分が情けなる。生まれてこのかた、魂のこもっていない瞳でいのだ、オレは顔を上げマリリンの骸を見た。

 誰もが言葉を飲んでしまった。彼女の肉体、虹色の光を発しながら美しく悲しみを持たない光の粒に分裂していった。記憶が光となって、シャボン玉のように弾けてる……?

 ……それはマリリンに関係のない所で起こっていた。

 虹色の光、粒子それはホントにシャボン玉だった。

「なぜこんなところに……シャボン玉が?」

「命ってシャボン玉のようね、生きているときは太陽の光を浴びて、綺麗な姿を見ることが出来る、同じ姿などない……けど、なにかにちょっとでも干渉されただけで消えちゃう。動物も植物も……星さえも……同じ」

 ……?

「死ぬことなんて簡単なこと、生き続けることは、死ぬことの数千倍難しい。人生にトラブルがないのはおかしいことだわ。これもトラブルとして、考えてもいいんじゃないの?」

 声の主はハッキリとした口調で、木の枝に座りシャボン玉を作っていた。

 出会ったときと違う印象を受けるのは、白いスーツを着ていないからだけでない。青い服を来たそれの顔は、冷たく微笑んでいた。

 エクセイン! オレをハメた女。

「アデュ! 見ろ、マリリンの身体が……」

 隣に立っていたウィルシュが狼狽していた。オレの肩を叩き、どうすればいいのか苦しんだ声で顔をマリリンに向かせる。

 マリリンの身体があった場所には真っ赤な砂が、顔と身体を象っていた。

 エクセインはひょいっと木から飛び降りると彼女の砂を手で掬い上げて、優しく払っていった。何度かそれを繰り返し、頭の部分の砂を掻き分けたとき、エクセインの表情が歓喜を表す。

「フフフ、 見つけた、見つけたわ。どれほどこのとき瞬間を待っていたことか、長い道乗りだったわ。フフフ」

 エクセインは喜びを狂ったように声に出すと、右手の親指と人差し指でそれを摘まみ太陽にかざして、熱い視線を投げつけた。

 指輪? ……だろう。

 それはごく小さな物だった。赤い砂が風にさらわの輪郭がハッキリ照らし出されていく。なんの変哲もない、さほど大きくもないルビーのような赤い石が二つつけられてだけの、高くもなく安くもなさそうなそんな物だった。

「ウィルシュ……? あれ、いくらぐらいすると思う?」

 物価のことはウィルシュの方が詳しいはずと思い聞いて見る。

「そうだな。デザインはまあまあとして、あの宝石二つはなんか不思議なもんが入っているな……呪いとはちょっと違うけど、モンスターの体が砂になって、そこから出て来たていうのは、珍しいし、高く売れる素質はあるな」

 ……確かにウィルシュの言った通り、呪しいとは違うなにかがあるような。

「エクセイン……こいつらの始末、ワシがつけてええか?」

 怒りのこもった声で、ウドが低く唸った。

「どうぞ……好きにしていいわ。私は帰らせてもらうわ。明日から忙しくなりそうだしね」

「あたしも同行する、こいつらのことは任せた」

 エクセインはきびすを返して、オレに背を向けて走り出すと、それに連れ立ってジェシカも走る。

 オレは彼女の背になにも語り掛けられないまま、眺めているしかなかった。

 言いたいことは山ほどある。と思う……でも、単語ばかり思い浮かんで来て、文にならない。

「よっしゃ、ほんならお前らそこ動くなよ。さっきのお返し十二分にはらしてくれるさかいな」

 言い返す言葉すら出ない。

「じょうだん……冗談! 立ちな、君はここで死ぬのか? 僕はイヤだね。ようやくオレと同類を見つけたのに……それに、僕の……僕の顔に泥をつけたヤツラを許して置くわけにいかないんでね!」

 ルージュはオレの腕を引っ張って強引に立ち上がらせる。よろめくオレをシンシアが支えてくれた。なにも言わずに……珍しい。

 頬にピンク色の血をつけられたルージュはオレたちの前に盾のように立ち、怒りに瞳を焼いていた。

「腹いせに……このデカイだけの筋肉ゴリラをぶちのめしてあげるぜ! 見てな、君と同じ力を……」

「なんでぇ、生意気なナルシスト野郎めが筋肉で世の中を変えることだって出来るんや!」

 出来ない、出来ない……。

 ルージュは髪をふわっと払い瞳を閉じる。そして呟きだした……。

「僕の内に眠るもの。僕の意思を知るもの……僕に姿を見せてくれ……」

 ルージュの右手が黄金色に瞬き、それを天高く掲げた。力を込め、自分の胸に手を当て、そのまま押し込ませる。泥に入って行くように皮膚に波紋が広がりどんどん腕が身体に入って行く。

 やがて関節部分に達すると進行が止まり、身体からそれを引っ張り出そうとする。

 なにが始まるのか、ウドも興味津々とそれを見ている……悪役の悪いところだ。その間に殺せばいいのに……でも、今は待ってくれて正解だけど。

 それはルージュの身体から姿を現して来た。上から下まで深紅に染まった長い棒だ。片手だけじゃ、取り出せないからもう片方も使っている。

 全貌が見えて来たとき、それがなんなのかハッキリとわかった。棒ではなく、先端が鋭く尖った槍だった。ルージュの身長を頭二つは越す物……槍だし当たり前か……。

「僕の精霊……グングニルよ。不細工なあいつを貫け……!」

 その槍を空の彼方、雲に当るくらいまで思いっきり投げるとルージュはオレたちを木の影に促した。

 槍は意思を持っているかのように空に浮いて、全然落ちて来ない。

 太陽に照らされ、進撃は突然始まった。

 グングニルは、雷のように空を断ち、天空を飛来してくる。

 それはウドには捕らえることが出来ない速さだった。一瞬にして脳天から突き刺すと、眩い光が爆発的振動を起こし、断末魔さえ残すことなく彼は消滅していった……。

 虚しく、悲しい終わり……ではない。これは始まりでもあるのか……? オレは今すべきことを光に問い掛けてみる……。

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