第27話 転生の真意

「…まさか、いやそういえばそうだったな。」


直人は目の前にある物を見てあることを思い出した。


(トールは一言もこの世界の文明については何も言って無かったな。)


だから、この世界に「「銃(こんな物)」」があっても何もおかしくは無い。

というよりも俺は、そういうことに酷く無関心だったとさえ言える。

ただ町並みが、人の服装が、中世ヨーロッパに似ていることだけで判断していた。


「ははっ、これは考えていなかったな。」


奢っていたのだ。ただ「「生き返れること(転生)」」と、「「力(アイテム配布)」」がされるということだけで何も考えずに突っ走っていた。

だから、このような事態を引き起こした。

なんて簡単なことだろうか。いつもとは違う体験ができると頭の認識していいたはずなのに、ゲームと同じことができるとなぜご認識したのだろうか。

トールがそのようなことを言っていたから?

それとも俺が今、持っている能力?

それとも、イリス(彼女)?」

いや、そうじゃない。だからこそ、彼等はその可能性を捨てて「「死ぬ」」ことを選んだ。


転生って、言うのは「「生き返ること」」ではなく「「悪夢の再臨」」であり、「「安らかな眠り」」から起こされ、「「社会」」という構造から生き物としての「「生」」を解き放ち、人々を解放していた「「死」」からの「「追放」」、そして再び「「生者」」として、「「秩序」」と「「社会」」に縛られた者に「「還る(もどる)」」ことこそが「「転生」」である。


(…それじゃあ、間違っていたのか。また、繰り返しなのか。俺は、その繰り返しから逃げたくて「「転生」」したはずなのに…。)


「「ああ、ほとんどが転生を選ばなかったからだよ。まあ、さすがに説得はしてみたんだけどね。どうやら、君の居た世界は辛いことばかりのようだ。おそらく、それが原因だろう。異世界に行っても苦労することがあるというのは、目に見えていたらしい。それで、断られたよ。」」


「…最初からなんだよな。…わかった、やっぱり俺はダメなのかもしれないな。すぐにあきらめて流されて、他人の願望ばかりを背負って生きていくしかない凡人なのかもしれない…そう、神様から貰った力さえも満足には使えない。」


そうだな確かにこの世界は俺にとってはゲームだと他人から見ればそう見えるのかもしれない。神様という運営がいて、この世界を作ったクリエイターがいて、そして、プレイヤーの俺がいる。けれど、そこには物語を作るライターが居なくてプレイヤーが物語となり歩いて行く。そんなゲームだ。とてつもなく面白くもないし、人によって出来上がる話も異なる。そんな世界に俺は来てしまった。昔(前の世界での出来事)のことを持ったまま。


「だとしたら、やっぱり俺は間違えたな。転生なんかしなければよかった。」


この止まっている時間は俺の物だ。だが、支配をしているわけではない。なら、せいぜいそれを使って自分にとっての最善を作って行けばいい。そんな風に思えた。


「さて、俺の行動選択時間(ターン)はここからだ。」

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