第14話 壁の向こうへ
「ところで、イリスさん?」
「はい、何でしょうか?」
「国境まであとどのくらいですか?」
「えっ、あっはい。」
俺はイリスさんと共にかれこれ四日ほど広大な森をただイリスさんの指示に従い歩いていた。
「開け、記憶の地図(カルテルプラン)」
このように、イリスさんに現在位置を教えてもらいながら進んでいる。
「「記憶の地図(カルテルプラン)」」とは、この世界の高位魔法の一つだ。
この前、トールに教えてもらい俺も使えるようにはなった。
しかし、まだその事を伝えてはいない。
言っちゃなんだけど。
俺は、彼女のことをまだ信用できていない。
友達もいなかったからね。
…つらかった。
「わかりました、もうすぐ国境です!」っと、イリスさんは宣言した。
「あと、何メートルくらいですか?」
「あっはい、あと15キロメートル程です。」
…思ったよりも遠いな。
まあ、仕方ないよね。
「他には何かある?」
「あっはい、味方の陣地が見えてきました。市民解放軍の部隊が展開しています。」
「って、言う事は見方がすぐ近くに?」
「はい、そうです。けど、この辺りはエルフもいますし、何よりこの国を出るには分離壁を超えなくては行けません。」
「分離壁?」
「はい、聖騎士団が作っている壁です。もうすぐ見えてきますよ。」
「ああ、わかった。」
…分離壁か。
この世界にもやっぱり壁はあるんだな。
まあ、万里の長城的な感じだとは思うな。
「あのさあ…。」
「はい?何でしょうか?」
「その壁、乗り越えるほとんど無理じゃないですか?」
「いえ、そんなことはありません。
市民解放軍南部方面軍第8,9戦団が一か月かかって攻略に成功しました。
構成人数約87000人による大規模戦闘だったようです。
だから、余裕ですよ。」
…それは余裕の範疇なのか?
「それって、どのくらいの規模なの?」
「南部方面軍が確か、10戦団から構成されていますのでそんなに多くはありませんよ。」
「…そうなの?」
「はい、これでも少ない方ですよ。この前の大規模作戦では役25万人動員しましたから。」
「…駄目だ、想像できない。」
…いや、軍人の数多すぎないか?
まあ、それくらい大変何だろうけども。
「ひょっとして、戦闘員の数だと思ってはいませんか?違いますよ。ちゃんと、後方と前方で分かれていますよ。」
「あっ、そうなの?」
「はい、それに国境防衛軍を含めての数でもありますから。まあ、それでも警備としてしか機能してないですからね。」
「あはは、そうなのかー。俺、そういうのわからないから。」
「そうですか、私も最近学んだばかりなんですよね。」
「さて、ここからが難所なんですけど。」
「うん。」
「エルフの村がこの辺りにあります。私たち市民軍は彼等とは敵対関係はありませんが味方でもありません。しかし、それは正教会側も同じです。
ここで、問題となるのが彼等なのですが…所属するを国を持たないエルフなんですよね。」
「それって、どういうことなの?」
「はい、エルフは私たち人類が絶滅させたオークとは違い友好的でありまた、昔から交流というか混血の人も街にいたため憲法により定められた亜人の一種で国民権を持っています。
けれど、私たちとは暮らしが違うなど少数でありますが国を持たず、自警団を作るエルフもいます。
その中の一つがこの国境沿いにいるエルフ達です。」
「つまり、難民?」
「難民?何ですか、それは?」
「いや、俺の世界の言葉だから…続けて。」
「はい、それでですが…うまくその村を避けて進ままければならないんですけど。
ちょうど、その先が分離壁なのでだいぶ大回りになりますし、何より警備塔があるのでうまくたどり着けるかどうかあやしいです。」
「そうですか…ん?」
ふと、空を見上げると煙が上がっていた。
灰を含みながら色を上げる白煙はどうやら分離壁の方から上がっているようにも見えた。
「…煙、少しお待ちください記憶の地図(カルテルプラン)!
…熱源を探索、やっぱりですか…あれはエルフの村からのようです。」
「つまり、それって…。」
「さあ、とりあえず先を急ぎましょう!正教会が来る前に!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます