第6話 スタートダッシュ!

「あの…もう大丈夫ですから。」


俺はただ彼女を強く握っていた。

彼女の顔から無数の擦り傷は消え、綺麗になった。

いや、本来の彼女はこの顔なのかもしれない。

俺が、殺したかもしれないあの太ったら奴の腰には鞭が携えられていた。

革でできていて、全体的に細身、威力は低いのかもしれないけど扱い易い、つまり、パフォーマンスの為には都合が良いものだった。


「すいません、イリスさん。あっ、えっと…。」

「イリスでいいです。直人さん。」

「そうですか。」  


何て言うかものすごく気まずい。

それにしても、なんでこの娘があの場所にいたのだろうか。

奴隷…にしては服の質はいい気がする。

まあ、傷がついていたとしても今ので治してしまっただろう。

というか、あれが魔法?

あの野郎(トール)、何も言わなかったぞ。

手で握っただけ?

発動条件が、よくわからないな。

それは、そうとして。


「あの、イリスさん?」

「はい、何でしょうか?」

「あなたは、何者なんですか?」

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