第3話 初心者特典は異世界でも!

「う~ん、ここは…。」

「やあ、気が付いたかい?」

「なんだ…トールか…なぜ黄色になっているんだ?」

「さあ、まあこの世界に来たからかな?」


っと、トールは言った。

とは言ってもそれがどういう風に言っているのかということは彼の声くらいしか情報が無いためぜんぜんわからない。


「はあ…ここが俺の転生先なのか…。」

「まあ、そうなるね。…私が君と話していられるのはもう少しだけだ。」

「なんでだ?」

「ああ、どうやらこの世界にいる神様と干渉するようだ。」

「はあ…そういうものなのか?」

「ああ、それぞれ領域があるからねえ。」

「そっか…あのさあ…俺はこれからどうすればいいんだ?」

「…君の自由だ。ああ、待ってくれまずは贈り物について説明するよ。」

「ああ、頼む。」

「そうだなあ…まずは今いる場所についてだ。ここは、街道から西に約150メートル離れた森の中だ。そして、近くの街までは約5キロメートルほどの場所に今、私たちはいる。それじゃあ、まず君に贈った機能について説明するよ。最初は君の目に贈った物だ。とりあえず、そこにある木に目を向けてくれ。」

「こうか?」っと、おもむろに目を向けた。

「ああ、それで右のこめかみを触るといい。」


俺は、トールに言われた通りに右手でこめかみを押した。

すると、どうやらヘッドアップディスプレイのように何やらゲージのようなものが表示された。


「なんだ…これ?」

「ああ、どうやら正常に機能しているようだね。おそらく君には二本の線が見えているはずだ。一つは生命を表すもので、もう一つは魔力を表すものだ。」

「はあ…よく見ているよ…画面越しだけど。」

「そうだね、君には見慣れたものかもしれない。まあ、これが使えるのは君とあと何人かだけだけどね。まあ、もちろんゼロになったら死ぬよ。」

「ゼロになったら死ぬって…。」

おいおいおい、いくら何でもこれは…。

いくら表示がゲーム風だと言っても可愛らしいものじゃないじゃん。


「ああ、それで死亡から蘇生できるまで時間は場合によるけど上限は72時間で、一部のアイテムや、魔法でなら蘇生できるから。」

「…そこは変わらないのか。」

「ああ、この世界はどうやら物好きな人が作ったらしいね。」

「…蘇生かあ…やりたくないな。」

「ああ、おすすめはしないよ。それと、あとは…ストレージって言った方がいいかな?そういう、機能を贈ったよ。使い方は君の世界のゲームと同じだけど使うには、コマンドを入力しなければならないから。」

「コマンド入力…んな面倒くさいシステムが…。」

「そうだねえ…でも覚えられるよ。手足どの指でもいいから身体に10センチなぞると使えるよ。」

「…えらく簡単だな。」

実際、簡単だった。

最悪、指が一本あればこれは使えるようだし。

俺は、右手で左腕をなぞるとボックスが表示された。

16/330

おそらくストックできる種類の数だろう。

というか絶対そうだ、これ!

中身を確認すると、寝間着が二つ、下着が上下5つずつ、短刀が一つ、槍が一つ、日本刀が一つ、サバイバルキットという名称のものが一つ、携帯食料100個、飲料水・・なぜかペットボトル型が500リットル、黒い外套が一つ、拳銃が一つ、アサルトライフルが一つ、機関銃が一艇、で、弾がそれぞれ拳銃の弾倉が50、ライフルの弾倉が50、機関銃が200連のものが30。


…どこに行くんだこれ?

あと、お金表記がそこには、有った。


「あのさあ・・・なんで中身がすでに入っているんだ?」

「ああ、私が入れたよ。おっと、所持金が足りなかったね。」


そういうと、表示された金額が100.001.000っとなった。


「…ありがとうございます。」

「ああ、あとそれを使っている時間は無敵状態だから。時間も無制限だよ。あっ、忘れ物!」


ボックスに回復薬、重症回復薬、属性付加薬がそれぞれ1000ずつ。

蘇生(単体)のアイテムが100個、蘇生(大多数)のアイテムが10個新たに増えた…。


「…こんなに、たくさん。」

「まあね、それと君が生きている間、毎日アイテムを支給するよ。さて、もう行かなきゃならない…ああ、支給品に手紙書いて入れておくよ。」

「これで、さよならなのか?」

「ああ、いや、そうではないけど…あと、今日は異世界初日ということで…。こういうやつだろ、ゲームの最初って…。」


そうトールは言うと、さらに俺のボックスにはアイテムが追加された。

白銀の鎧、黒鋼の鎧、雷神の槌、白炎の剣、草薙の鎌。

天啓者の石版、天啓者の杖、天啓者の旗、天啓者の刀。

必殺の槍、反逆の小刀、吸収の棺桶、戦神の双眼鏡、識者の辞典。

最後に・・・皇帝の爆弾。


いや、いくら何でも過剰すぎないか!


「…ああ、そうだね。」っと、俺は顔を少しひきつきながら笑った。

「それじゃあ、さようなら!」


そういうと、彼もしくは彼女…いや、トールはもういなかった。






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