第17話 いるの?

「…って、藍?聞いてた?」


「え、何?」


「だからー、今日の藍が撮ってきた写真の話していたんでしょうが。」


「ご、ごめん。」


美波にこの間言われたことばかり考えていた。


あの日質問しようとしたけれど、結局出来ずに一週間も経ってしまっている。


好きな人を聞いたところでどうなるのだろうか。


仮に、瑠依に好きな人がいたとして、私はどうすればいいのだろうか。


「何かあった?」


「な、何もないよ?どうして?」


「ここ一週間ずっと上の空だから。何もないならいいや。」


まただ、胸がきゅっとした。


もう、これは恋と認めてしまわなければいけないのかもしれない…。


「今日の質問は何にしようかな。」


「今日は私からしてもいい?」


しまった。ついつい言ってしまった。


「おっ、珍しいね!良いよ。」


これでもう、後には戻れない…


「…いる?」


「え?ごめん、聞こえなかった。」


「瑠依には、好きな人、いる?」


「え…」


聞いてしまった。ちらっと上を見上げると瑠依は戸惑っている。


どうしよう。きっといるんだ。好きな人が。


だけど、私に教えるか迷っているんだ。


言わなければよかった。


「ごめん、何でもない。帰る。」


瑠依に言い捨てて走り出そうとした。


しかし、


「待って!」


瑠依に勢いよく腕を掴まれた。


「あ、」


勢いよく掴まれ、引っ張られてしまったから、そのまま後ろに倒れてしまった。


そして、何かが私の唇に当たっている。


これは…




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