第9話 信じるとは


「ありがとう。じゃあ、話すね…」


瑠依と出逢ったこと、夜に会っていることなど、美波に変わったと言われて思い当たることを話した。


「結構雑に説明したけど、多分私が美波に変わったと言われる理由はこれ。」


美波が下を向いたまま何度か頷いている。


もしかしたら、いや、もしかしなくても、つまらなくて何も返事をしたくないのだうか。


「美波?ごめん、こんな話…」


「なんで謝るの!とっても素敵なんだけど!」


「え!?」


少しだけ目をうるうるさせている美波。


「だって、その瑠依くん?には悪いけど、病気を持ってる男の子に出逢って、その子の力になれることを藍はしてるんでしょ?素敵だよ、漫画みたい!」


私は思わず目をぱちくりさせてしまった。


想像していた反応と違っていたから。


「素敵?つまらないの間違いじゃなくて?」


「つまらないわけないよ、素敵。私がつまらないなんて言うと思う?」


「お、思わない。」


「よし!」


美波と仲良くなって覚えた事は'信じる'ということ。


今までなら心の底から返事をすることが出来ていなかったと思う。


だけど、今の私は多分ちょっとしたことでさえ、本音を出すことが出来る。


こんな事一生ないと思っていたけど。

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