第4話 どうして…

それから毎日、夜遅くの時間にあの公園へ来て、何気ない写真を見せては


「やっぱりすごい」


と、言われても素直に喜べない私。ただ、


「うん」


と、だけ返すやり取りをしていた。


だけど、私は何故か瑠依の言葉にすぐに引っかかってしまうようで、思わず…


「何故、写真を見せては'やっぱり'っていうの?そんなにまだ見せてないのに。」


まだ出会って1ヶ月も経って人をこのように褒めるだろうか。


「癖かな?それより…」


悪戯な笑みで、少し誤魔化すように話を変えてきた。だから私も、


「どんな癖だよ。」


なんて言って笑って済ませていた。


「藍って、もう少し可愛く笑えないの?」


この男は、どうして(乙女)心に刺さるようなことをズバッと言う奴なんだろうか。


「こんな笑い方しか知らないから。」


「なら、僕が君の可愛い笑顔を引き出してあげる。」


そんな事が、こんな可愛くない私に出来るわけがないのに。でも…


まるで、本当にやってしまうのではないかと感じさせられた。

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