断ずる



表か裏か

白か黒か


零か百か

良いか悪いか


人は何かを断ずるとき

優柔であることを許さない


例えそれが

優しくてもの柔らかであっても

中途半端なことを良しとしない




なんと寛容でないことか



側面でも

灰でも


三でも

程々でも


自分自身が

それを最善とし後悔しないなら

収まりが良くなくとも、いいのだ


常に収まりよく

型にピタリとはまる

それを正とするならば


収まりがわるく

型にはまらぬもの

それが異と呼ばれる



ただ

正が必ずしも善でないように

異は必ずしも悪ではない



それを

白黒つくものが正

つかないものが異

無理に断ずるから

おかしくなるのだ


あたかも異が悪のように

あたかも正が善のように

当たり前のように振る舞ってしまう



争いはそうして、生まれるのだ



でも

私たちはわかっているはずだ


白も黒も

同じ「色」であること

表も裏も

同じ「もの」であること

零も百も

同じ「数」であること


本当は、わかっているのだ


不安な私たちは

これらの万物を

一つの型にはめようとする


でも

同じ「色」でも

同じ「もの」でも

同じ「数」でも

人によって

型は様々なのだ


私たちはもっと

大いなる世界を思いながら

ものを断じねばならないのだ

























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