第6話
「それから数日のうちに、君は犯行現場に居合わせてしまうわけだ」
「そう、そうだ」
俺は警官の話に頷く。
「原田に呼ばれたんだろう?」
「ああ」
「どうしてだ?携帯番号の交換はしてなさそうだが」
「ぶらぶらしてたら、また会っちまったんだよ」
「ふむ。それで言われるままついていったのか。すると、そこの公園裏で……」
「あいつは小指を大量に立ててたんだ」
「小指は小さくて可愛い」
確かに奴はそう言っていた。
「ほら、これが新しいのだぜ。人間には平等に二本ずつ小指があるから良いなあ」とも聞いた。
すぐにあいつは捕まったが、俺にはその光景が忘れられなかった。
「……加害者ではないね。被害者、でもないかな。目撃者だ」
「違う。俺はその小指達が無造作に立ち並んでいるのを見て酷く興奮したんだ。あれは神聖なものだ」
「ただ、君が何を言おうと、ほら、何もしていないんだ。だから、逮捕できるはずもない」
「いやだね。俺は原田と同じ刑に処されなけりゃならないと思うね」
「それは」
警察は冗談らしく笑った。
「死刑もいとわないと?」
俺は首を傾けて微笑んだ。
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