真っ向勝負
◇
城壁を飛び越えて、中央広場にほど近い建物に下り立った。屋上から市街を見渡すと、
さっきまでは全くなかった
また、人間かゾンビかの
「今よ! 急いで!」
眼下から女性の大声が上がった。見下ろすと、
「建物の中はゾンビだらけみたいです。岩の巨人がいるから、できるかぎり外へ出ないように言っているんですけど、どうしても出てきてしまうので、こちら側の建物へ避難させているところです」
レイヴン城の
「ゾンビを先にどうにかすべきなんですが、東地区や西地区も同様の状況で手が足りません。岩の巨人のせいで、思うように身動きがとれませんし」
「今はどういう方針なんですか?」
「岩の巨人は後回しで、ゾンビへの対処を最優先にするという話になってます。どっちにしろ、岩の巨人は私たちの手に負えないんですけど」
「わかりました。だったら、岩の巨人は僕がどうにかします。その
「……岩の巨人をですか?」
目の届く範囲だけでも三体の岩の巨人がいる。そのうちの二体はだいぶ距離がある。敵の視界に入らないよう注意しながら、一番近くの一体に接近を試みる。
この手で岩の巨人を残らず
ジェネラルがそうしていたように、水路に落下させるのが一番の
近くにレイヴン城を取り囲む
魔法単独でどうにかならないか考えた。手始めに、
距離をとった状態で、背を向けた敵へ『かまいたち』を撃ち放つ。そして、相手が振り返るのを待たずに、次の攻撃準備へ取りかかった。
「おい、よせ!」
近くの路地から
岩の巨人がこちらに向かって突進を始めた。
オーソドックスな『かまいたち』は
たとえ身がまえていても、人間ならその場でこらえるのが困難なほど
けれど、その程度では巨体をようする相手にとっては、
普通の『かまいたち』ではダメだ。十秒近い時間をかけ、
その結果、全長と太さは自身の体を
本来なら、『かまいたち』を物ともしない岩の巨人が空中に舞った。どよめきが聞こえたかと思うと、周辺の建物から歓声がわき起こった。
ただ、自分としては
しかし、距離はたかだか五メートル程度。ダメージも見受けられず、
もっと吹き飛ばせる距離をかせげれば、石の壁と衝突させるなり、水路といった場所へ突き落とすなり、選択の幅が生まれる。
他に策はないか。魔法と
「早く逃げろ!」
顔を上げると、目前にせまった岩の巨人が右腕を振りかぶっていた。とっさに上空へ舞い上がり、
相手の背後へ着地したものの、あっさり発見された。
『かまいたち』と重力無効化を組み合わせられないか。
空中飛行は、地面に向けた『
『かまいたち』ならどうなるか。ぶっつけ本番で実行に移した。かがんだ状態で重力を無効化し、立ちはだかる敵を見上げながら、『かまいたち』を放った。
予想以上の結果だった。岩の巨人が空中を回転しながら吹き飛ばされる。先ほどよりも、速くかつ遠くまで飛ばせた。自分も
次のアイデアは、石の壁に思いきり衝突させ、その衝撃で破壊すること。交差点の
そして、限界まで引きつけてから、『かまいたち』で建物にたたきつけた。
(この程度の衝撃じゃダメか……)
起き上がろうとした相手に『
効果がないと見て『
未熟な『電撃』では、動きをにぶらせるのが
対して、他の三つの属性は、ヒマを見つけてコツコツと練習を重ねたものの、目に見えて
連続して形成したそれを、続けざまに敵へたたきつける。自分ですらゾッとするような衝撃音が、何度もひびいた。それでも岩の巨人は沈黙しなかった。
まだ敵を一体もしとめられていない。あまりにふがいない。情けなくてしょうがなかった。
(もっと力が――もっと力がほしい)
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