トランスポーターと侵入者
◇
「我々はこれまで〈侵入者〉の
彼らが侵入先に〈樹海〉を選ぶのは、
この国の
「彼らが単独行動なのも能力的制限が
「そのトランスポーターっていうのが、この国に現れたことはないのか?」
「ありません。彼の
障害物とか距離とか、女も制約の話をしていた。
「彼らの行動パターンは
「命令をしないということは、トランスポーターと〈侵入者〉は連絡が取れないんですか?」
「できません。また、約束の
「スージーの能力があったら泣いて喜びそうですね」
〈侵入者〉は外部との連絡を絶たれ、孤独な戦いを強いられていた。仮に自分がその立場だったら、手をこまねいたまま、
「ちなみに、拘束した三名は全員命を取らずに解放しました。
ただ、ほとぼりが冷めた頃に能力を解いたので、もう相手方に知れ渡っているでしょう。今思えば、その後から〈侵入者〉の足どりがつかめなくなりましたから、それが彼らの警戒を招いたのかもしれません」
「そんな状況だから、デリックのような協力者を作る方針に変えたんでしょうか」
「そうとも言えますね」
「でも、女が
「そうだな。こっちから〈外の世界〉へ行くことも可能ってことか」
ヒューゴがにわかに色めき立った。その考えが頭になかったのか、パトリックはかたまった。
「おっしゃる通りです。能力の借り方にもよると思いますが……」
パトリックがおどろいたのも無理はない。
「しかし、その女は単独行動だったんですよね?」
「仲間は見当たらなかったです」
「では、まだ何らかの障害があると見るべきではないでしょうか。複数で行動する〈侵入者〉が発見された例は、いまだかつてありません」
言われてみればそうか。できることをしない理由はない。それができない理由、もしくはしたくない理由があるはずだ。
◇
「デリック・ソーンはどうなりました?」
「ベレスフォード卿の屋敷にも、ハンプトン商会にも姿を見せていません」
「もう〈外の世界〉へ逃げおおせたかもな」
断言できないとはいえ、やはりあの女の仲間だったと考えるべきか。
「あの人は〈侵入者〉じゃないんですか?」
「確実なことは言えませんが、そういった話は入ってきていません」
「ベレスフォード卿はなんて言っているんですか?」
「彼が何も言わずにいなくなったので、困惑している様子でした。昨日のパーティーで、彼とご
そうすると、ベレスフォード卿は無関係だろうか……。
「もう屋敷の中は調べたのか?」
「まだです」
「証拠をつかんだんだから、強引にでも調べればいいだろ」
「現時点では、ベレスフォード卿本人に疑いをかけるわけにはいきません。デリック・ソーンと〈侵入者〉の関係は証明できませんし、マスケット銃についても屋敷の部屋からどう持ち出したんだという話になりますから」
いくら言いわけしても、部屋に忍び込んで盗みだした事実は変わらない。
「もう証拠は処分されているかもしれませんしね」
「それでどうするんだ。クサいものにフタをして、また見て見ぬフリか?」
「私が最も
確かに、
「不用意に
「グズグズして、五年前みたいなことになっても知らないぞ。全部、お前が責任を取れよ」
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