第3話 P,P,P そして……。

 今日は学校を休み私は本来の任務であるオメガクライシスの感染による、世界の終わりを防ぐ為に美詠の母親が務めるゲーム会社『P,P,P』なる会社にアポイントメントを取ろうした。

 小さな自社ビルを持つかなり大きめの会社であった。

 しかし、私も高校生なので大人の世界の事はよく分からず。とにかくホームページに乗っていたメールアドレスにメールをする事にした。

 内容はオメガクライシスに関するもので内容を考えるのに苦労した。

 返事は数時間後に来た。

 そして、部長クラスの人と会う事となった。

 やはり、メールにオメガクライシスの名前を出したのが効いたらしい。

 場所はP,P,Pの本社ビルの会議室であった。

 飾り気の無い部屋は本当に普段から会議にだけ使われている事を想像させていた。

 そして、少し待たされると『加藤』なる人物が入ってきた。

 風格のあるスーツ姿の男性はいかにもお偉いさんと言う感じで、緊張の糸が張りつめていた。

 そして、渡される名刺、本来ならこちらも名刺を渡したいのだがその様な物は無く気まずい思いをした。

 本題のオメガクライシスについて聞く事にした。


「確かにわが社は人体のデータ化について研究をしていますが、それはあくまでも、ゲームとして楽しむ為であってウイルスのような物は作っておりません」

「では、お聞きしますが今まで人体のデータ化に成功した事は有りますか?」


 加藤なる人物は長い沈黙の後、重い口を開いた。


「お答えしかねます」


 しかし、この加藤なる人物の口調からして人体のデータ化は成功していると判断した。

 加藤なる人物が席を立ち会議室を出ようとする。どうやら、話はこれ以上聞けそうにない。

 何故、美詠がデータ化して、その結果オメガクライシスになるウイルスが生まれたのだろうか?やはり美詠の母親に直接会うしかないのか。

 それから、私はいつの間にか会社の玄関にいた。収穫はあったが手詰まり感が酷く焦りを隠せないでいた。

 P,P,Pからの帰り道にいつものコンビニに寄る。

 ふと、野菜ジュースに目が止まる。

 最近はジャンクフードばかりで野菜など食べていなかった。

 たまには良いか……野菜ジュースをかごに入れレジに向かう。

 私は無機質な部屋に戻っていた。

 軽く食事を済ませ最後に野菜ジュースを飲む。

 そして、ささくれた気分を紛らわす為にCDをかける事にした。今日はビートルズを聞く気分ではなかったので、選曲に迷った。

 迷った結果、90年代後半のJホップにした。

 少し心が落ち着きを取り戻した。

 私は交換したばかりの美詠にメールをする事にした。

 返事は直ぐに来た。

 私は何をしているのだろう?任務上、恋人になれるわけもなく。

 まして私はデータ化の塊……。

 それでも、今は美詠に会いたかった。

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