第8話 授業以前な劣等感。
――翌朝。
今日は本町と待ち合わせをしていない、一人での登校。
そうはいっても元々、
その設定は本日も変更されることなく、ホームでの待ち時間、目的の駅に着くまでの
たまにふいと周りの様子を確認したりするのだが、今や車内にいる
なにしてるのかまでは分かりかねるところだが、他人の画面をのぞき込んでまで知りたいとも思わないので、「ニュースでも見てんじゃないのか」程度の
ちなみに俺はパズドラ以外では『Temple run』をインストールしている。文字通り、
あまり良いスコアも期待できないので基本的に通学中はやらないことにしている。
テクりにもスマホにも半端な集中力しか割けないのではそれこそ時間の無駄だろう。あとはまぁ、危険だし。一応ね。
よいっしょ――。
教室に入り、机に荷物を置いたのちに席に座る。通学時間が徒歩含めて片道約1時間なんてのは初めての経験で、しかも
「おはようクソ部長ー」
「おっす黒川、おはよう」
「教科書のお金持ってきたー?」
「明日から授業とか、なんか嫌だよなぁー」
「まぁ、授業全くなくて暇を持て余すのもアレだけどな」
「確かにね笑笑」
1stグループ(最初のメンバー)のひとり。
今のとこ一番接しやすいのは黒川だ。『好青年』がすごくマッチする、いかにも人のよさそうなこの少年は、中学時代、陸上部に所属していた。
勝手な想像をするに、彼はきっと『優等生タイプ』に違いない。
同中にもこういうやつは何人かいたな。深い仲ではなかったが。
俺との軽い会話を終えると、黒川はまた別の友達のところへ。
こうして『ボッチ状態』となった俺は、「よぉ」・「おはよう」と自分の机の周りを行くクラスメイト達に
間違いなく時間の
「矛盾がはなはだしい」とは言ってくれるな。百も承知だ。――その時。
「ねぇ」
「ん? あぁ、水林か」
「あのさ、近藤って中三の時、
「あ、うん。中一からずっとだよ」
「やっぱりかぁ。講習の時に見かけたことあったからさ、もしかしてーとか思ってたんだけど、そっかそうだったか」
「あ、待って。言われてみれば俺もなんとなーく心当たりがあるような……講習クラス一緒だったっけか」
「そう。
「あのクラスか、安藤な笑 あいつ一人でボケて
俺自身もぼんやりとしか覚えていなかったが、
そういや、水林こと『
ついでにいえば、彼は真面目でかつノリも良いハイスペックタイプの人間。
俺にはないものを持っている輩が、ちと多すぎやしないだろうか……?いまのとこ『運』を除けば優れた面など一つもないんだが。
水林と塾の話題で盛り上がっていると、
「はーい! みんなおはよう! まずきょうはー、教科書!」
「これをね、えー、皆さんに買いに行ってもらいたいなと思います」
「お金は各々持ってきてると思うので、さっそくえーっと、
「近藤今から行くでしょ?」
「あぁ、金持ってきてるし」
「んじゃ一緒にいこーぜ」
「いいよ、いこいこ」
席を立って水林と『会議室』へ向かおうとした時、
「あ!! やっべーー! 俺やったわ。 金忘れたんだけどwww」
真壁が少しニヤつきながらそんなことを言っているのが耳に入った。
おそらく
『天然』で『忘れん坊』な要素もクラスで打ち解けるには非常に
おいちょっと待て、
いよいよもって俺の特徴ってなんなんだよ。個性ってなんだよ。
『え〇り』? 『ピ〇子』?
うっせぇよ。
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