第7話 続:新入生歓迎会
先生の号令で各々グループで固まりつつ、しゃべりながら教室から出る。
「廊下に名前順」と担任が言ったのをしっかり聞いていた俺は、どうすれば良いのか分からず、
「はーい! じゃあ体育館いきましょうねー」
特に並び順を気にすることもなく高瀬も適当に対応している。
『自由な校風』とはよく聞くもんだが、これはただの『いい加減』では……?
そんな疑問が心の中でフワフワと浮かび上がる一方で、この初日メンツと共に行動できることがうれしくもあった。
結局、『名前順』なんてものを誰も相手にしないままに、体育館へ。
館内には新入生が座る用のパイプ椅子が
俺たちが座ったのはステージから見て一番右端に位置する場所。
正直位置なんかどうでもよくて、誰と座るかだけが
「今日ってさぁー、マジで何やんの?笑」
「プログラムみたいなん何も貰ってねぇべ?」
「そこも適当かよ笑笑」
「それな。実際謎だわ」
新歓に関する話はもう何度もしているが、いかんせん情報がないだけにほんとうに分からない。先生に聞いても「さぁ~」とはぐらかされる。
だから定期的にこの話題は
「俺の兄貴もヤド高で今年三年なんだけど、何も教えてくれなかったわ」
「え――」
ギュイイーーーーン!!!
山村がボソッと言ったその言葉に反応しようとしたまさにその
けたたましいギターの音とともにステージの幕が上がり始める。どうやら最初は軽音部の演奏らしい。
「イエエエエイ!」
山村と俺を除いたメンバーはライブのような雰囲気とノリで一気に騒ぎ始める。
俺はこういったノリが少し、というかガッツリ苦手なので参加を控えることに。
山村も察するに、きっと俺と同じ理由だ。
――
こいつは周りのやつらとは
ウェーイ系統の真壁や赤城とは異なり、『クール』と『怖そう』が同居しているような人間だ。無意識の
まとめると話しかけづらい。理由は前述。
まぁそんな性格なわけで山村もノリには参加をしていない。俺にとってはありがたい限りではある。
「兄貴もヤド高なの? というか、兄弟いたんだ」
「おう。三年で、今バド部の部長やってるよ」
「兄貴の代が一人しか男子部員いなくてさ、強制的に部長なんだと」
「バド部なの?! 俺バドやろうと思ってんだよね!」
「あ、そう。んじゃ伝えとくわ」
「なんか
「あぁ……うん、お願い……」
ナチュラルに怖い上に冗談もキチーよ!!
俺も
話し相手山村しかいないんだからマズいってこれは!!!
「え? ねぇ、君もバド部入る予定なの??」
「ん?」
俺のちょうど目の前の席に座っていたやつがこっちを振り返って聞いてくる。
誰だ……? 1-5では見なかった顔だが……。
「う、うん。入ろうと思ってる。俺中学もバド部だからさ」
「マジか!!いいじゃん! 俺もバドやる予定だよ!! 名前なんていうの?」
「近藤晃。そっちは?」
「俺は
「1-5だよ」
「そっかぁ、俺1-4だわ! 隣じゃん!よろしく!!」
「よろしくねー」
たまたま目の前に座っていたやつがバドミントンをやっていたやつだなんて。
なんだかんだで入学以来、運は俺の味方をしてくれているみたいだ。
それから俺と山村、渡部は新歓が終わるまで基本三人で喋っていた。
共通の話題である『バドミントン』、山村は兄貴がバド部なだけであって本人はサッカー部だったそうだが。兄貴から聞いたという『ヤド高』についての情報もこれまた盛り上がった、友達らしい雰囲気の会話だ。
俺たちの話は新歓の終了とともに途切れた。
クラスに帰ってからは「あんま新歓よく見てなかったわー」なんてことを言いながら再び最初のグループ。
今日は新歓以外の予定も特にないみたいで、ホームルームも
放課後になると多少の会話を交わしてから「じゃあまた明日」と言葉を残して解散、帰宅と。
そうか。渡部もバドミントンなのか。あいつって上手いのかな?
帰りの電車でパズドラをやりながらふとそんなことを思うが、それを本人に聞いてしまうのは
とりあえずはまぁ、区大会でシングルス3位の
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