第八話:召喚士の価値

 青葉はすっかりこの世界に慣れていた。

 初めは家族や友達の事を思い出して枕を濡らした日もあったが、今ではその頻度も少なくなった。

 帰る手段は探すつもりだが、それ以上に、この世界では――働かなければ生きていけない。泣いてばかりで生きていける程この世界は甘くない。


 親の庇護下ではない。自分の力で金を稼ぎ生きるというのは青葉にとって初めての経験だった。


 もちろん、それはアイリスの単騎兵という眷属あってのものだ。


 たった一人で危険なダンジョンやフィールドに向かい、魔物の素材や貴重な薬草の類を入手する。青葉が一人で生きていけるのも、それが本来一般人ならば難しい所業だからである。


 アイリスの単騎兵はそれを青葉を守りながらできる。それくらいに強い。


 召喚士仲間もできた。召喚士になってずっと一緒に古都で仕事をしているというメンバー。渡り鳥のように外の街から古都を訪れたというメンバー。青葉は元来明るく社交性のある性格であり、そんな青葉が受け入れられるのに時間はいらなかった。


 中には青葉よりも年下の召喚士の女の子もいて、それも心の支えになった。


 新たに出来た召喚士仲間からの評価も上々だ。たまにパーティを組んで討伐クエストに向かう事もあるが、単騎兵は他の召喚士の眷属と比べても決して負けてはいない。

 いや、むしろ――アイリスの単騎兵は強い方だ。青葉の眷属には癖がない。頑丈な装甲に鋭い斬撃はどんな所でも、大体の魔物を相手に戦っていける特性だった。強みがないとも言えるがそれは弱点がないとも言い換えられる。


 古都周辺のフィールドやダンジョンでは問題なく戦っていけるだけの実力があった。


 青葉は自分の眷属がブロガーの言うような弱い者ではない事に気づいていた。

 既に青葉の召喚士ランクは度重なる依頼達成により、鉄ランクから銅ランクにあがっている。そろそろ一人前の召喚士として認められるランクだ。


 眷属の力も、度重なる戦闘により少しずつ上昇していっている。それがレベルアップと呼ばれる現象である事を青葉は既に知っていた。


 今ならば育成ゲーと言っていた理由もわかった。

 召喚士の力は眷属の力。眷属の成長が青葉には我が事のように嬉しい。青葉はアビス・コーリングをプレイしたことがないが、これがもしもゲームだったとしても、プレイしていたらはまっていたかも知れない。


 期待の新人と持て囃され、青葉は人生の絶頂にあった。


 今日もスライムコアよりももう少し難しい採取クエストを終え、入れてもらった他のパーティ――先輩召喚士コーラー達と一緒に打ち上げをしていた。ギルドに併設された酒場スペースは今日も仕事を終えた召喚士の姿で埋まっている。


 最近ではブロガーといるのは一日の終わりくらいだ。世界が広がれば広がる程に共にいる時間は短くなる。


 召喚士になって三年だという金色の毛を持つ猫のような眷属を連れた金髪の青年――パトリックが陽気そうな笑い声を上げ、青葉に言う。


「いやー、たった一ヶ月足らずで銅ランクになるなんて、素人とは思えないよ、本当に」


「アイちゃんが強いだけですから……運が良かったんです」


 とかいいつつも、褒められるのは悪い気分ではない。

 周りの他の仲間たちもそれにパトリックの言葉に同意の声をあげる。


 パトリックのパーティは中堅のメンバーを集めた男女混合の四人パーティだ。だが、それぞれの召喚士が連れている眷属の力は青葉と余り変わらない。

 三年間の間依頼を受け研鑽した結果その程度なのかと青葉は一瞬がっかりしたが、冷静に考えると召喚士の力とは眷属の力。そして召喚で出てくる眷属は完全ランダムだと聞いている。

 青葉はアイリスの単騎兵で十分満足しているが、今となってはブロガーがリセマラすると言っていた理由もなんとなくわかる。リセマラができるかどうかは別として。


 青葉は幾つかのパーティに入れてもらって何度か依頼を受けたが、中でもパトリックのパーティに入れてもらう機会が多かった。他のパーティは男性ばかりだが、女性も混じっているというパーティは一女子として安心感がある。


「ねぇ、青葉ちゃん。うちのパーティに正式に入らない? まだ一人くらいは入れるし」


 パトリックの隣で薄緑の飲み物を飲んでいた赤髪の女召喚士――イレーナがやや酔っ払った眼で聞いてくる。

 ギルドの規定にはパーティの人数制限はないが、報酬やギルドの評価は人数で割られるので四人から六人くらいが一般的だと言われていた。


「そうすればうちのパーティの力関係も変わるんだけどねえ……パトリック?」


「おいおい、青葉ちゃんを勝手に取り込まないでくれよ。肩身が狭くなるだろぉ?」


 その言葉に、パトリックが冗談めかして答えた。

 残り二人の仲間――ウバルドとグルナラがそれを囃し立てる。


 青葉はパトリックのパーティ――『金猫の調べ』を初めとして、もう既に数カ所のパーティからスカウトを受けていた。それを受けていないのは、もう少し様子を見たいと思っていたと同時に、同郷の青年の存在があるからだ。


 パーティに興味はある。

 一番初め、納品クエストを行う上で青葉はたった一人で湿原に挑んだが、他のパーティと共に依頼を熟す上で、その必要性を青葉は感じていた。

 パトリック達だって、眷属の力は青葉と余り変わらなくても、依頼を熟す上でのテクニック――依頼者との交渉やフィールドを歩き回るたえのノウハウなどは青葉の比ではない。そして何より、アイリスの単騎兵は強力でも青葉自身は一人の女の子でしかないのだ。

 顔なじみになったギルドの職員からも、召喚士本体に向かってくる攻撃にだけは注意するよう再三言われている。


 安全性を鑑みても、どこかのパーティに入れてもらうべきだろう。

 そして、きっとブロガーはそれを受け入れる。笑顔で見送ってくれるだろう。

 その青年は一番初めから青葉と一緒にいるにもかかわらず、一番青葉に対してドライだ。だが、だからこそ言い出せなかった。


 物憂げにため息をつく青葉。その心情を見透かしたようにパトリックが言う。

 青葉がうだつのあがらない風采の男と一緒にいる姿は何度も目撃されていたものだ。


「ああ、青葉ちゃんは、あの雑用マスターの事を気にしているんだな」


「……ブロガーさんですよ。まぁ、確かに雑用クエストばっかりやってますけど」


 雑用マスター。本来ほとんど受領者がいない雑用クエストばかり受ける召喚士が現れたなどとなれば噂になるのも道理である。

 青葉も何回も討伐クエストに誘ったのだが、一度も受け入れてもらえていない。


 青葉の言葉に、パトリックが周囲を確認し、声を潜めて言った。


「青葉ちゃん、悪い事は言わない。あれはやめておいた方がいいよ」


「……なんか変な誤解を受けてる気がしますが、なんでですか?」


 深刻そうなパトリックの表情に、青葉の隣に座っていたパーティメンバーの一人、グルナラが呆れたようにため息をついていった。小さな声で言う。


「冥種持ちの召喚士は問題のある人格が多い。ただの……迷信、です。パトリックさん」


「そうかもしれないけどよぉ。あんな眷属見たことないぜ? 俺は」


 冥種。

 青葉の持つ眷属――天種の正反対とされる種だ。眷属にその種類が書かれているわけではないのでなんとも言えないのだが、青葉はサイレント以外に冥種を一度しか見たことがない。初日に自分に手を出してきた男が一人連れていたはずだ。


 パトリックがかがみ込み、足元の金色の毛をした猫を抱き上げた。


「やっぱり眷属は獣種が一番だよ」


「……選べないけどね」


 パトリックのパーティメンバーの眷属は皆、獣種だ。動植物に似た姿をした眷属達である。

 自然と集まって出来たパーティらしいが、皆可愛らしい姿形をしている。


「まぁ、そんなわけで、ぜひ一度考えてみてよ」


 気怠げにこちらを見てくるパトリックの眷属を眺め、青葉が頷きかけた瞬間、ふとギルドの扉が勢い良く開いた。


「は、はぁはぁ、お、おい、大変だ」


 召喚士ではない。壮年の男は泡を食ったように飛び込んでくると、青褪めた表情で声をあげる。ギルド内に響き渡るような声に、パトリックを初めとした何人もの召喚士の視線がそちらに向けられる。


 その時、青葉はその男の顔に見覚えがある事に気づいた。ブロガーと一緒に雑用クエストをやった時の依頼人だ。


「いつも掃除をやってくれてるおたくの召喚士が連れて行かれた」



§



「『赤獣の王』のギオルギだ。間違いない。問題を起こしたと聞いていたんだ。クソッ、絶対にこうなると思っていた」


 パトリックが唇を噛み締め、暗い声を出す。


 召喚士と一口に言っても、皆がまともな人間なわけではない。

 召喚士の実力は才能と運だ。中には強力な眷属を手に入れたことで狼藉を働くものもいる。


 そして、弱肉強食のこの世界では、強者の下に人が集まる。


 何がなんだかわからず、呆然とする青葉の肩をイレーナがゆすり、説明する。


「獣種の眷属を召喚した者の中では一番の召喚士コーラーよ。一番初めの眷属召喚で『ゲール』っていう眷属を召喚した男で――」


「この辺りではでかいパーティの一つだ。所属数は十人を超えていたはずだ。評判も……一番悪い」


 駆け込んできた男の言葉に、ギルドの職員が眉を顰めているのが見えた。


 召喚士は召喚士ギルドにとっての宝だ。特に、所属数が魔導師ギルドや剣士ギルドと比べてずっと少ないのでそれだけ強力な召喚士は優先度が高くなる。

 評判の悪い、しかし強力な眷属を持つギオルギが未だギルドに所属出来ているのはそのためである。


「ど、は、じゃあ……早く助けに行かないと……」


 青葉の漏らした言葉に、パトリックが自分の眷属をちらりと見た。周りの席にいた召喚士達も皆自らの眷属を難しい表情で確認する。

 古都は巨大な都だが、周辺に強い魔物などは生息しておらず、強力な眷属を持つ召喚士はほとんどいない。


 周りの空気に気づかず、青葉が立ち上がる。アイリスの単騎兵が主の思いに答えるかのように剣を控えた。


「わ、私、行ってきます……」


「ま、まて。青葉ちゃん」


 走り出そうとする青葉の腕をパトリックが掴んで止めた。


「『ゲール』は強い。獣種の王とまで噂されているし、奴はそれを鍛えている。多分俺達四人と青葉ちゃんがいても傷つけられない。その上、ギオルギには仲間だっている!」


「じゃ、じゃあ、どうしろって言うんですかッ!」


 握られた腕を振りほどく。自分よりもずっと年下の少女の剣幕にパトリックが一瞬圧される。


 青葉の脳裏に浮かんでいたのは、初日に自分を助けてくれたブロガーの姿だった。

 言葉も挙動もそのどれもが冷ややかだったが、その青年は確かに青葉を助けてくれたのだ。


 青葉はずっと、恩は返すように教育を受けてきた。パトリックの言うことは本当なのだろう、何しろ彼は青葉とは違い三年もこの街にいるし、ギオルギとも面識がある。

 でも、手は、足は、身体は震えても、例え相手が遥かに強力な相手だったとしても、何もせずにいるわけにはいかない。


 青褪めた青葉の様子に、パトリックが大声をあげた。


「ここにいる……全員で行くッ!」


 その声に酒場が静まり返った。あっけにとられたように互いの顔を見合わせる。


 規模の小さなギルドとはいえ、時間帯もあり、酒場には五パーティ――二十一人もの召喚士がいた。


 誰かが文句を言い出す前にパトリックが続ける。ばんとテーブルを叩き、険しい声で言った。


「正直、ここにいる全員出かかってもギオルギを倒せるかどうかはわからない。だが、これだけの人数を見ればさすがに手を止めるはずだ」


 険しいパトリックの表情に、青葉は改めてそれがどれだけの難事なのか理解した。

 アイリスの単騎兵では、ここにいるメンバー全員と同時に戦うなんて不可能だ。


 ましてや、それで倒せるかどうかわからないとなると――。


 青葉にはどんな眷属なのか全く予想がつかない。


 張り詰めた空気が漂っていた。

 やがて、その中の一人―五十センチ程の大きさのスライムを連れた小男が声をあげた。


「む、無茶だ――ギオルギに逆らったら――この街じゃ生きていけねえ。『ゲール』を見たことがないからそんな事、言えるんだ……あれは、モノが違う。一時的に手を止めたって、今度は俺達が標的になるかもしれないんだぞッ!?」


 悲痛に満ちた声。青葉も一緒にパーティを組んだことのある男だ。陽気で人のいい男だった。そんな顔見知りの出す声に、青葉がぞくりと震える。


 その表情を見て、男が目尻を下げた。罰が悪そうに続ける。


「大体、も、もしかしたら……連れて行かれたのだって、何かの間違いかもしれない。そうだろッ!?」


 同意を求める声に、しかし他の召喚士の顔色はすぐれない。ギオルギがそういう性格だというのを皆理解しているのだろう。

 味方がいないことに気づき、慌てたように男が更に声を張り上げる。


「それに、お、俺は知ってるぞ。雑用が悪いんだ……あいつが、ギオルギの仲間を倒したりするから――」


「……え……?」


「あ……いや……」


 男が失言したという表情をする。


 しかし、青葉は一瞬で、その表情と言葉で理解してしまった。

 ずっと雑用クエストをやっていたブロガーがサイレントを攻撃に使ったのは青葉の知る限り一度だけだ。


 青葉の身体がふらつく。倒れかけた小さな身体を、イレーナがとっさに支えた。

 支えられたことにすら気づかず、青葉が呟く。


「そんな……」 


 血の気が引き、生気が見えない青葉はぞっとするくらいに美しい。

 召喚士の何人かが状況を忘れまるで目を奪われるかのようにそちらに視線を取られる。


 そこで、パトリックがもう一度机を叩いた。グラスががたりと大きな音を立て、男たちが我に変える。


「……このままじゃ、いけない。ずっとそう思っていた。そうだろ?」


「だ、だがな、パトリック。俺だってなんとかしてはやりたいが――俺は……『ゲール』の戦闘を、一度だけ見たことがある。あれは作戦でどうにかなるもんじゃない」


 種族にはそれぞれ特徴がある。獣種の特徴は純粋な能力の高さにあった。

 妙な能力は持っていない事が多いが、ステータスだけは随一の伸びを見せる物理攻撃を得意とする眷属だ。

 小男が真剣な表情で周りの召喚士たちを見る。召喚士の数は少ないだけあって、その殆どは顔見知りだ、眷属の力もなんとなく予想がつく。


「数で……今ここにいる全員で向かったところで二十一人しかいないんだ。その程度で――止まるのか?」


「……やってみるしかないだろ」


 パトリックの声は重かったが、どこか自信なさげに聞こえた。


「大丈夫。何も倒せと言っているわけじゃないんだ。ギオルギに、相手をするのは面倒だ、そう思わせるだけでいいんだ」


 その言葉に、酒場が静まり返る。答える声はない。

 パトリック自身の声に既に力がなかったのだ。分が悪いのは誰が見ても明白だった。


 一度、立ち上がりかけた意志の炎は今、また消えつつあった。


 だが、時間が経てば経つ程に状況は悪くなる。

 ギルドの職員も、そして駆け込んできた待ち人も、皆が酒場の動向に注目している。


 早く――助けに行かないと。


 青葉がふらつきながらもイレーナの手を振り払い、二本足で立つ。

 意識が朦朧としていた。そのせいか、恐怖は感じなかった。現実感さえ。


「お願い……します」


 かすれた声酒場に響き渡る。

 その真摯な眼がゆっくりと周りの召喚士を順番に見つめる。 


「なんでも、します。パーティにも、入ります。私にできることなら、なんだって」


 その声はささやくようなものだったが、力があった。

 視線が青葉に集中する。青葉の言葉を待っている。


 そして、青葉の唇が小さくつぶやいた。


「だから、ブロガーさんを……助けて、くれませんか?」







§ § §





 ちょっと数が多いな。僕は目の前に屯している召喚士達を見てそう思った。


 連れてこられた、と言うよりは、ついていった先にあったのは寂れたビルだった。コンクリートのビル、世界観ぶち壊しである。

 天井の高さも広さもかなり広いが、そこかしこに破壊の跡があり、恐らく僕がクエストで倒した召喚士達のアジトという設定なのだろう。

 僕のようないたいけな召喚士コーラーを連れ込んで暴行を働いているのだきっと。最低のクズ野郎共め。僕は自分勝手な連中が一番嫌いなんだ。死ね。


 ビルの壁にはベッタリと赤いペンキで獣のマークが記されている。以前財布に入っていたカードに記載されていたマークだ。もしかしたらこいつら、グループのシンボルなのかもしれない。


 ストーリークエストというのは大抵、一個目より二個目、二個目より三個目の方が難易度が高めに設定されている。

 だが、ならばこの眼の前の光景はどういう事だろうか。


 一個目のクエストは相手が五人だった。


 僕は指を差して一人一人ゆっくり人数を数え、眉を顰めた。

 二個目のクエストなのに人数が倍以上になっている。どいつもこいつも男男男、半分くらいは油断しているようで、こちらを見てにやにやと笑みを浮かべていた。


 サイレントが僕を守るように前に立ち、呆れたように言う。


「主、いっぱいいるな」


「まぁ、誤差だよね」


「主の図太さを、我は見習いたいぞ」


 男達はどうやら何かを待っているようで、こちらを逃さぬように威圧しながらもかかってくる様子はない。


 三十分くらい待っていたが、何も起こらない。イベントスキップ機能ないのかな……僕は暇じゃないのだ。

 

 追加で十分程待ったが、やはり何も起こらない。糞イベントである。

 僕はもう飽きてきたのでさっさと終わらせる事にした。


 かかってこないことをいい事に、一体一体眷属を指差し言う。薄暗いビルの中に僕の声が反響する。



「黄昏のアンダードッグ。死と絶望のアフレイドフレイム。暗き天のウェザードール。鏡面世界のポーンナイト、雷光纒うホワイトリザード。星王配下のアッパーテイル――」


 唐突に名前を言い出した僕に、連中の表情がにやついたものから強張ったものに変わる。

 注視すると同時に眷属の頭の上に名前が浮かぶが、僕はそれを読んでいるわけではない。


 すべて覚えているのだ。覚えようとしていたわけではないが、眷属召喚でこの手の眷属はうんざりするくらい出た。嫌でも覚えてしまう。


 そして、最後に僕をここまで連れてきた焦げ茶髪の男、大兄貴の足元にかしこまる眷属を指差す。

 銀色の鎧甲に槍を装備した、少しだけナナシノの眷属に似た眷属だ。似たような眷属だが、こちらのレア度は10であり、似て非なるものである。



「そして――アイリスの重槍兵」


 似たような名前だがナナシノの眷属を進化させても重槍兵になったりしない。

 こちらは出た当初の時点では単騎兵よりも強いが、最後まで進化させても大して能力が上がらない外れ眷属だ。


 クソがッ! 似たような眷属で召喚対象の種類水増ししやがって! 殺意が湧くぜ。


 僕はその思いを言葉に込め、殺意に変えて目の前のモブNPC達に宣戦布告した。






「僕なら間違いなく『リセマラ』だ」

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