第5話
飛行訓練を始めて早1カ月が経っていた。
今日は
「スーコースーコー」
酸素マスクでの呼吸音が永遠と聞こえていた
「一菱候補生、高高度での飛行は低高度での飛行 何か違いが分かるかしら」
「いつもより速度が速い気がする」
「よく気がつきました、そうです高高度では空気密度が低くなり空気抵抗が少なくなりますイメージではサラサラな水と泥水みた...」
「ピーピーピー」
教官が説明をしてくれていた途中に警告音が鳴り響いた。
よく見ると燃料計からの警告音だった、これが燃料計から鳴るのは燃料切れが起こる直前になっている。
「教官ど、どうすれば..」
急な事で全然考えられない心拍が自分でも分かるくらい上がっていた。
(こんな非常事態は始めてだ)
と思っていたら
「一菱候補生今から飛行場に戻ります至急、管制塔に連絡を」
「了解」
「5番機から管制塔へ 5番機から管制塔へ」
「こちら管制塔、何があった」
「燃料漏れが発生至急着陸許可を」
「了解した。着陸を許可する。しかし一番近い2番滑走路は輸送機の関係で着陸不可能だ1番か3番滑走路を使ってくれ」
「了解」
「き、教官どうすれば...ね、燃料が...」
「落ち着きなさいまず出力を下げて緩降下し燃料消費を少なく速度を維持して」
「教官これでも燃料が持つか五分五分です」
「そうだな、後は降下時の速度を頼りにしていくしかないわね」
2番滑走路が見えてきた管制塔の言う通り輸送機が滑走路に3機もいた、あれでは千里が着陸出来ない 2番滑走路を過ぎ去り次に近い1番滑走路に向かった。しかし発動機の出力を4割近く落としているので空気抵抗の関係も有り速度がどんどん下がっていく。
「一菱候補生、速度が下がりすぎてる出力を上げて」
「でもそれでは燃料が.... り、了解です」
(教官にはしっかりと考えがあるはずだ信じよう)
速度は戻ったが残り燃料が2分を切っていて機体の高度も1200mを切っていた。
2番滑走路が見えてきた。
着陸態勢に入った。
「一菱候補生まだフラップを出さずに行きなさいできるだけ速度を殺さずにして」
「了解 しかしいつ出せば」
「着陸の30秒程前くらいで着陸脚と一緒に出すのよ」
「了解」
「キューン」
後滑走路まで1.5km程の所で発動機の燃料が切れた。
速度と高度がどんどん下がっていくが滑走路も近くまでやってきた。
着陸脚を出した数秒後
「ガコーン」
着陸脚が地面に着いたしかしフラップを下げるのをためらったため、意外にも速度が落ちず地面を2回ほど軽くバウンドして機体の中で頭を打ってしまった。
一方機体は、バランスを崩し右翼についてる、垂直尾翼を擦り方向舵が吹っ飛びながら機体が止まった。
「着陸でき...」
着陸出来たの余り一菱は安心して気を失ってしまった。
「う...ここは?」
目を開けると医務室のベッドで寝ていた。
外を見ると暗くなっていた
「やっと起きましたか、軽く6時間ぐらいは寝てましたね」
「じゃあずっとここにいたんですか、心配をかけました。すみません」
「いえここに来たのは、ほんの30分前ですので死にかけてましたけど、ここで死んだらそこまでの人間だと思ってましたので」
(えっ!さっきまで死にかけてた人に言うこと!?)
「明日からどうしますか?」
「えっ?明日も千里に乗って練習するじゃないんですか...まさか」
「そのまさかだ」
僕は絶句した。
「な、なんで乗れないんですか?」
「そんな当たり前じゃないですかここには予備機体が無いので私達が乗ってる5番機が治らないことには千里には乗れません。なので明日からは違う訓練を受けてもらいます。貴方は車を運転出来ますか?」
「したことないです。」
「じゃあ好都合です。明日から千里が治るまで車の運転と射撃訓練をしてもらいます。」
「え!?」
「だから車の運転と射撃訓練をしてもらいます」
急にそんな事を言われたので戸惑った
「どこにそんな所あるんですか? でも...」
「ここの敷地内にあるので大丈夫です、私がしっかり教えますから...まさか訓練を受けないんですか?教官長に私がお願いしに行ったのに...」
急に教官が顔を暗くなった。後、教官長とはここでの1番のお偉いさんだ
「く、訓練を受けますご指導のとこお願いします」
「分かりました。それではまた明日」
速水教官は部屋を出て行った。
数分すると
「ガラガラ」
扉を開ける音が聞こえた
「よっ!一菱大丈夫か?」
田中を始め4班のみんなが来てくれた。
「まぁ、一様大丈夫っぽい」
「いやー、俺はお前の着陸見てないけどお前の千里を見る限り派手に着陸したな」
「一菱くん本当に大丈夫なの?無理しないで」
(何この人天使かよ!)
新田さんが優しい声で心配してくれた。
少し話した後みんなは帰って行った。
「じゃあなお大事にな」
「来てくれてありがとう」
みんなが帰った後整備の人達が来ていきなり
深く礼をした。
「今回は申し訳なかった。何度謝っても足らない、すまなかった。」
「あ、頭を上げて下さい。僕も教官無事だったので...それでなんで急に燃料が無くなったんですか?いつもだったら後15分は飛べましたよ。」
「調べたんだが多分、増槽の接続部分のネジが破損していた、それが原因だと思う。それから千里は出来るだけ早く治す。」
そう言うと部屋から出て行った。
次の日
「教官おはようございます」
「おはよう一菱候補生、今から軽くこの93式歩兵車両について説明します四輪駆動のディーゼルエンジンを積んでいて初心者でも運転しやすい車です」
「じゃあ、この
「了解です」
93式歩兵車両に乗り椅子へ座った
(ふかふかしてる)
いつもは千里の固い椅子だったがこっちは違い、少し感動してると助手席に速水教官が乗り込んだ。
「鍵を回してそこにあるボタンを押して発動機(ディーゼルエンジン)をかけて下さい。もしかしたら1回じゃかからないかもしれませんそういう時はもう1回押して下さい」
「了解です」
ぽち
「キュキューン」
ぽち
「キュキューン」
ぽち
「キュキューンブロロロ」
車が小刻みに動いた。
「発動機がかかりましたね、手元にあるレバーを1番奥にして下さい、そうしたら右足の方にあるフットレバーを踏み込むと動きます。
さぁやってみて下さい」
「了解」
ガチャガチャ、レバーを1番奥にし右足のフットレバーを踏み込んだ
「ブロロロ」
発動機が音を鳴らし車が前に進んだ。
しばらく進むと射撃訓練場が見えた
「止まる時は左足のフットレバーを踏み込んでそうすると止まります」
フットレバーを踏み込み車を止めた。
車から降りると男性が1人立っていた車を止め立っている男性のもとへ行った。
速水教官が
「清水さんお久しぶりです。こっちにいるのが一菱候補生です」
「よろしくお願いします」
「よろしく俺は清水だ。俺はこの武器庫と射撃練習場の管理人だ。早速こっちへ来てくれ」
清水さんについて行き武器庫の中を紹介された。
「とりあえず銃は撃ったことあるか」
「はい、訓練で歩兵銃を撃った事はあります」
「歩兵銃って言っても種類はあるぞこれか、それともこれか」
たくさんの歩兵銃を清水さんは持ってきてくれた。
「あっ この銃です」
見覚えのある銃がそこにあった
「38式歩兵銃か、この銃は例の宇宙人に歯が立たん」
「それじゃ何を使って戦えと言うんですか」
思わず聞いてしまった、そうすると清水さんが解説してくれた。
「まぁ焦るなこの話にもオチがあるんだ敵に弾かれたっていうのは相手が重歩兵だったんだ、だけど普通の歩兵は歩兵銃で充分戦えるんだけど
「解説感謝します、しかしさっきのセミオートマチックって言うのが分かりません」
「すまないセミオートマチックっていうのは弾丸を自動で装填して撃つと言うものだ、解説だけじゃあつまらんだろう早速撃ってみるか」
「はい!」
98式歩兵銃と弾が入った弾倉を持ち射撃訓練場へと向かった。
射撃訓練は小屋が建っておりその前に傾斜がある運動場みたいなところに人型の的が数十個立っていた。
小屋のもとへ中には長机がありそこに歩兵銃を置いた。
「撃ち方を教えるから銃を持て、撃ち方は簡単だ下に銃の下部にある穴に弾倉を入れてコッキングレバーを手前に引くそうすると薬室に弾が装填されるそしたら射撃準備は完了だ後は引き金を引くだけ」
言われた通りに操作をし前方の的に照準を付け引き金を引いた。
「バーン」
発砲音と共に身体に衝撃が走った。久しぶりに銃を撃ったとは言え38式歩兵銃より強力な反動で唖然としてしまった。
すると清水さんが
「どうだ凄いだろ」
ご満悦な笑顔でこっちを見て来た
「は、はいこれならあの宇宙人と戦えますね」
「お前も分かってくれるか、でもお前達は航空隊だから多分使う機会なんてそうないだろうがな。」
笑いながらそう清水さんが話してくれた。
撃っては休む撃っては休むそして清水さんの話を聞くそんなことをしてると訓練終了時刻になっていた。
「一菱候補生そろそろ帰りましょう」
速水教官が迎えに来た。
「清水さん今日はありがとうございました」
「いえいえ美琴ちゃんのお願いならなんでも聞くぜ」
「じゃあその美琴ちゃんって言うのやめて貰えませんか」
「それは無理だな」
「じゃあ明日も一菱候補生を頼みますね帰りますよ」
「了解です。清水さんありがとうございましす」
深々とお辞儀して車に向かった。
車に乗りながら速水教官と少し話した。
「清水さんとはどんな関係なんですか?」
「私の親戚の叔父です、小さい頃からお世話になっています。」
そんな話をしてると朝、車が置いてあった所に着いた。
「一菱候補生今日はお疲れ様です明日もここに来てください」
「了解です今日はお疲れ様です」
そう言い今日一日が終わった
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