教会に置かれていた日誌 第二巻
第三紀287年 収穫の月24日
未だに巷を騒がす死者の呪いは王城には入ってきていないようだった。聖騎士の守護か、父の祝福か。私には分からない。
最初の騎士…現聖騎士団長がここアヴィオールに来て5年が経ったが、あの時はこんな事になるとは思いもしなかった。城の中は騒がしい。元老院の剣士達が妹の為に何かを伝えているのが見えた。
王の傍で芸を披露していた道化師が私を城の中から連れ出した。もうすぐ血族が現れるから旧市街地の教会に逃げろと言う。
外だ。初めての、外。
第三紀287年 収穫の月26日
私の大切な姉妹は死んでしまった。可哀想にーーーーーーーーーーーー
だが、まだ生きている。呪いではない。新たな世界へ妹は行ってしまった。
光の娘として。
最早聖騎士もいない。元老院もいない。宮廷画家も、王室教師も、近衛兵もいない。
なら私は?
第三紀287年 収穫の月29日
最早姉妹と言えない。私と妹は離ればなれ。態々重たいコルセットや走り辛いフリルをつける理由も無くなった。
だが、世界の為と悍ましい化物の体液を飲まされた妹があまりにも不憫だった。いつか誰かがあの子を苦しみから解放してやってくれるように祈る
教会では道化師と元老院の剣士達と共に過ごした。ここでの暮らしにもなんとか慣れてきたと思う。市街地の少年が履いていたであろう布のズボンは柔らかくて余裕があり、履き心地が良かった
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