第16話 第二章 2-4
レブロの紫。
ルツも同じことを言っていた。あの色はやはり、本当にそうなのだろうか。
ザーレはロブサールに行き先を変えたシンルに無言でついて来た。二人分用意された食料に何も言わなかった時点でこうなることは薄々察することができた。
村を離れた後直ぐに、馬の上でシンルの背中を温めていたザーレの胸が、声と共に震えた。
「おい、どう言うことだ?」
シンルは紫色の布を下服の中から取り出してザーレに見せた。こちらはルツのものと違い、手ぬぐいなので少し小さい。実はお揃いで自分の分も作っていた。
「俺が染めたんだ」
ザーレはどう思うだろう。レブロの紫を染められるとわかったら、シンルの意思を曲げて酷いことをするのだろうか。
「嘘じゃないよ」
これは賭けだ。出会ったばかりだけれど、この人を信じたい。信じさせて欲しい。
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