第24話 荷物持ち
「何つったてんだよ」
遥の声で我に帰る。遥の手には少し大きめの買い物袋がぶら下がっていた。
「お前に見てもらおうと思ってたのにどっか行くから。まぁ、店員さんが見てくれたからいいけど」
「すまんな。ちょっと居づらくて」
「罰としてこれ持っとけ」
遥はそう言うと、買い物袋を拓也に突き出した。ここも大人しく従うしかないようだ。
遥から買い物袋を受け取ると、彼女は軽くスキップしながら次の店に入っていった。次に遥が入ったのは靴屋だった。ここなら拓也も気兼ねなく入れる。
遥はしばらくスニーカーコーナーにいた。三つでどれにするか迷っているようだった。
さっき買った服の説明をされるが、ただでさえファッションセンスのない拓也では相談相手としては不適だった。
曖昧なことしか言わない拓也に痺れを切らした遥が口を開く。
「お前に。お前にもし彼女がいたら…どの靴がいい」
「…は?」
遥の方を見ると、遥は少し俯いて拓也の方を見なかった。照れているとも見えるが、拓也には遥が自分に対して照れるとは到底思えなかった。
「俺だったら…こっちの白かな…」
拓也が白のスニーカーを手に取ると、遥はそれを店員のところに持って行って在庫を確認し始めた。そして自分に合うサイズのものを見つけると、すぐに会計を済まして拓也のところに戻ってきた。
「帰ろ」
遥はそう言うと、スニーカーの入った紙袋を拓也に差し出した。こうなることはだいたい想像はついていた。
「夕飯何作るの」
拓也の顔を覗き込みながら歩く遥の足取りは少し早かった。
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