第15話 モデル
「遥ちゃんってどこから来たの」
「えっと…それは…」
答えにくい雰囲気をとにかく醸し出す。これでもかと言わんばかりに醸し出す。
どこの学校から来たのか。どこの県から来たのか。どれを聞きたいのかは分からないが、そもそも異世界から来ている遥にはそんな概念はない。かといって、嘘をつくと追及されたときに面倒なので、なるべくはぐはかすようにしている。
「なんか、異国っていうか…異世界っていうか…失礼かもしれないけどハーフみたいな、純日本人って感じがしないんだよね」
もうどういう超能力を使っているのか教えて欲しいと心の中で叫ぶ。
金澤が遥の体を上から下までじっくりと眺める。するといきなり「決めた」と言って遥の手を取った。
「私の作品のモデルにならない?」
「…は?」
慌てて自分の口を塞ぐ。もう学校でのキャラは崩壊寸前であった。
「私、絵を描くのが好きで将来そういう方面の職に就きたくて。それで、今度自分の絵をコンクールに出そうと思ったんだけど良いモデルがいなくて…だからお願い!」
金澤が両手を合わせて頭を下げる。
おそらく彼女は芸術の方面よりも、もっと適正のある仕事があるようには感じるが、そこにあえて突っ込むほどの勇気はなかった。それに、この依頼を断れば、さらに追及は厳しくなるだろう。
「私でよければ…手伝うよ」
金澤の頭が急に上がる。そこには目をキラキラさせて、まるで神を見ているかのような表情の金澤がいた。
「超助かる!本当に助かる!」
金澤が遥の手を取って上下に大きく振る。とりあえずこの場はどうにか抜け出せそうだ。
その後、遥は金澤と別れて自分の家にまっすぐ帰った。
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