第13話 下校
放課後。担任の浅川が遥を職員室に呼び出した。
「まだ部活に入っていないだろう」
浅川はそう言うと、デスクの中から「部員カード」を出した。
「これを入りたい部活の顧問のところに出せ。仮入部したいって言えば、数日間部活の体験ができる。ゆっくり決めればいい」
「何部があるんですか」
浅川が顎に手を当てながら棚の上を漁る。そして、下の方から少し大きめの冊子を引っ張り出した。かなりボロボロになった高校のパンフレットだった。
部活動一覧のページを開いて遥に見せる。
運動部は陸上部、剣道部、柔道部、テニス部、バスケ部、ダンス部、弓道部などがあった。
文化部は演劇部、文芸部、書道部、茶道部、化学部、生物部など。
どちらもいたって普通の高校にある部活で、何か特別なものがあるという感じはしなかった。
「個人的には陸上部に入って欲しいけどな」
陸上部の顧問である浅川はそう言いながら陸上部を指した。
「検討しておきます」
遥は軽くお辞儀をして、職員室を後にした。
拓也はもう帰っただろうか。下校の時間も被ってはならないため、そこらへんにも気を遣わないといけないのが非常に面倒である。
遥が階段を下りていると、後ろから「遥ちゃん」と呼ぶ声がした。振り返ると、そこには金澤の姿があった。
「どっちの方に帰るの」
「えっと。校門出て左に真っ直ぐ」
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろうよ」
金澤が駆け足で階段を下りてくる。あまり学級委員という感じはしないが、その気さくで学級委員らしくないところがクラスではウケている。
外はまだ明るかった。金澤は自転車通学だったが、遥と話すために自転車を手で押してきた。
「色んなこと聞きたいんだよねー。転校生ってなんか面白い存在じゃん」
金澤ニコニコしながら遥を見る。普段からニコニコしているのか、彼女の頬は常に上がっていた。
「なんでも聞いていいよ。隠すようなことないし」
本当は隠すことがほとんどではあるが、悪魔や同居のことに関しては突っ込まれるはずがない。その上、変に色々隠せばかえって疑われかねない。
まだそこまで話していない相手に対し、そこまで変な質問はしてこないだろうと、遥はどこかで高を括っていた。
「遥ちゃんってさ、拓也くんと何か関係あったりする?」
「え?」
一体これはどういうわけか。遥は口が半開きになったまま何も答えることができなかった。
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