第6話 同居人

染めてるのか…?

「なあ。ちょっといいか」

突然拓也に声をかけられた遥が軽く叫んで振り向く。女子に叫ばれるのは本意ではない。

「あ、ごめん…」

「え、いや、大丈夫だけど…どうかしたの?」

「後ろ髪…」

遥は自分の紅く染まった部分を掴んで「これ?」と言いながら見せた。

拓也が頷くと、遥は首を傾げて何かを迷っているようだった。何を迷っているのかは分からない。

「いや、まあ、世界は広いというか、文化は色々だから!俺がなんか突っ込んでいいような話じゃないのかもしれないけど!」と童貞溢れるカバーをする。そもそも女子をサシで話すことに慣れていない。

「あ、いや、そういうんじゃなくて…」

やはりタブーな話題だったのだろうか。今日一日で小隊が軽く一つは飛ぶくらいの地雷は踏んだだろう。拓也が謝ろうとすると、遥が少し困ったような表情で口を開いた。

「ここ…生まれつき染まってるんだよね」

「…え?」

生まれつき染まっていた。一体どういうことなのか。拓也が尋ねると、本人もよく分からないという。

「ていうか授業…」

遥が拓也に腕時計を見せる。もう授業が始まる1分前だった。

2人は走って階段を上がり、教室まで走った。



その日の夜。拓也が夜ご飯の準備をしていると、インターホンが鳴った。一度手を洗ってドアを開ける。

「どちらさ…って。なんで」

そこには、多くの荷物と共に遥がいた。

「え、なんでこんな時間に」

時間は夜の7時。一体何の用があってこんなところに。

「今日からここに住むことになったから」

「ここって…何号室?てか何で俺の部屋知ってるの」


「何号室も何も…拓也の部屋」

その言葉を聞いた瞬間、拓也の思考能力は完全に停止した。

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