同居のはじまりはじまり
第7話 青天の霹靂
ここに住む?しかも初めて「拓也」と呼ばれた。加えて、あの大人しい感じが全くなく、むしろ少し雑なくらいの遥の姿がそこにあった。
フリーズしている拓也を他所に、遥は荷物の入ったダンボールを玄関にどんどん運び込んでいく。
「いやいやいや、待て待て」
拓也が荷物の入ったダンボールの前に立ちはだかる。
「マジで言ってんのか。てか、何で?」
今日転校してきて初めて出会った美少女が俺の部屋で住む?どう考えてもぶっ飛んでいる話であることは間違いない。
エロースよ。これが現実なら少しやり過ぎじゃないか。
「理由は後ででいいから」
「いや、よくないから」
遥は深くため息をつくと、拓也を上目遣いで見つめる。
「これから…泊めて欲しいな…」
「そんなんで誤魔化すな」
童貞の拓也には間違いなく致命傷だが、そこを何とか持ちこたえる。
遥は舌打ちをすると、拓也に構わずズカズカと部屋の奥へ入っていく。
「割と綺麗…」
「なに勝手に入ってんだ⁉︎」
「まぁまぁ。ご飯でも食べながら話せばいいじゃん」
遥はそう言いながら鍋の中を覗いた。今日の夜ご飯はロールキャベツの予定だ。
とにかく理由を聞かずに無下な態度を取るものわけにはいかない。朝からのことを踏まえると、かなり色々な事情があることは分かっていた。
拓也は何とか機能している脳の一部を駆使しながら夜ご飯の準備を再開した。
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