第5話 紅髪

「お前アホすぎるだろ」

保健室に運ばれた光流は、しばらくの間、保健室で患部を冷やしながら横になっていた。

「いけると思ったんだけどなー」

「その無駄な自信はどっから来るんだよ」

2人が話していると、保健室のドアがゆっくりと開いて「光流君いますか」という声がした。その声の主はすぐに分かった。

「あ、こっち!」

光流が声を上げると、カーテンから遥が顔を出した。手には何枚かのプリントを持っている。

SHRショートホームルームで配られた手紙…持ってきたほうがいいかなって」

「マジ神です。てか、天使です」

光流は軽く頭を下げながら手紙を受け取ると、それを枕元へ置いた。

「なんで怪我したの?」

「こいつ、跳び箱を…」

光流が慌てて拓也の口を塞ぐ。

「あ、いや、道具運んでたら階段から落ちちゃって…ね?拓也君?」

口を塞がれたままの拓也が渋々頷く。調子に乗って9段から落ちたなんて誰が言えようか。友人としても恥ずかしいばかりだが。

「もう戻るね。お大事に」

遥が軽く手を振って保健室を出て行く。光流の鼻の下は完全に伸びていた。

「俺ももう行くから。早く治せよスケベ野郎」

拓也もそう言って保健室を出た。

拓也が階段を上がっていると、前に遥が見えた。


声をかけようとしたその時、彼女の後ろ髪の一部が紅く染まっていたのが見えた。

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